ワイン受験体験記~知識ゼロからワインエキスパートに合格するまで~
ダイニングバーでワインを選ぶ。
「白なら辛口」
「赤なら重たい(フルボディ)やつ」
・・・的なオーダーでも十分、お食事を楽しむことはできますよね。
私も長年、その程度。
ラベルの読み方も知らないし、トレンドも知らない。
おいしかったワインの国や品種をちょっと気に留めておく程度。
そう、その「程度」でワイン受験を決意しました!
九州の放送業界に25年以上在籍。
打ち合わせも打ち上げもまずは乾杯!で過ごしてきたただのワインラヴァーの私が、
2019年、日本ソムリエ協会の呼称資格認定試験にチャレンジしました。
飲食業ではない私に受験資格があるのは「ワインエキスパート」。
一次試験はソムリエと同じ。だからソムリエ相当の知識が必要。前年度(2018年)の合格率をみると32.8%!
たいした難関なのである。
しかし無謀にも「自分らしさ」という魔法の言葉の熱にうなされて、
受験準備をスタートしてしまった!
2019年。人類が新型コロナのパンデミックに直面する前の年。
3月のワインスクール受講開始から10月の二次試験までの7ヶ月は、
地道なノート作りに始まり、時にはとチカラ技の暗記対策へ・・・と、
手を変え品を変えて乗り切った、21世紀型のオトナ受験体験でした。
ワイン初級の私が異業種で働きながら、いかに勉強を重ねて合格したか。
下記のように3回に分けて記していきます。
chapter1 ワインプチ留学(国内、日帰り・笑)
chapter2 アナログ勉強法と受験様式のイノベーション
chapter3 テイスティング対策と二次試験
<Chapter1>ワインプチ留学(国内、日帰り・笑)
学校選び
少々贅沢かも知れないが、アカデミー・デュ・ヴァン大阪校に3月から通うことに決めた。
実は最初は書店で購入したテキストで独学を試みていた。
フランス・ボルドーのメドックに突入したところで、挫折。
どうせ受験するならしっかり勉強しよう!
そこで出会ったのがアカデミー・デュ・ヴァンというワインスクールの
「ソムリエ・ワインエキスパート受験対策講座」。
週1回、全20回で修了する。
一流の講師陣、独自のテキスト、練習問題と正誤を管理してくれるアプリ、そして何よりテイスティングの指導まであるのは、ワイン初級の私にとっては万全のカリキュラムである。
冒頭、「少々贅沢・・・」と書いたのは、私が住んでいるのは長崎県。
長崎にはこれといったワインスクールはないので、県をまたぐ必要がある。
贅沢といったのは、授業料だけでなく移動費もかかるからだ。
近隣の福岡まで行けば、ワインスクールは見つかるが、
自分が行ける曜日と講座の曜日が必ずしもマッチするとは限らなかった。
スケジュール、授業料、移動時間と移動費用、学校の実績などを総合判断した結果、価値のある経験はプライスレス!と納得してアカデミー・デュ・ヴァンに決めた。
ちなみに当時(2019年)は
土曜クラスが隔週あって、2週分を1日で受講できた。
つまり10回の大阪行きで20回分の講座をゴールできるのだった。
早割キャンペーン 受講料129,600円と登録料5,400円をクレジット決済で支払う。
こうして5ヶ月にわたるワインスクールデイズが始まった。
さしずめ、「日帰りワイン留学」(笑)!!!
あとで知ったことですが、このアカデミー・デュ・ヴァン。パリ発祥の有名なワインスクールだったんですね。
そこに気づいたのはテキストのアメリカの章で、ワイン史上に残るある大事件からなんですが、まあそれはいつかまた。
受講開始!
2019年の3月から7月の5ヶ月間。
大阪・梅田のアカデミー・デュ・ヴァンへ、隔週土曜日、長崎から通った。
土曜クラスは12:00~14:30、15:00~17:30の2コマ。
往路は飛行機、
復路は新大阪から新幹線+博多で特急かもめ、深夜に長崎着。
つまり朝イチの飛行機で飛んで、最終の特急で帰る。
普通に聞くとハードに聞こえるが、旅は好きなのでそこは苦ではなかった。
ときには大阪で一泊して、長崎では見られないライブを大阪でチェックすることもできた。たくさんライブ観てなんぼのFM局のディレクター。
仕事にもフィードバックすることができたので、一石二鳥でさえあった。
学校はJR大阪駅近くのホテル・モントレ大阪の建物内にあり、
新大阪駅へのアクセスもシンプルで、空港リムジンバスの発着所も近い。
おのぼりさんの私には多いに助かった。
そんな些細な“都合のよさ”がなかったら、
今回の受験に一歩踏み出すことはなかったかもしれない。
さて肝心の講義2時間半。
アカデミーオリジナルの分厚いテキストをもとに各章の講義が約2時間。
残りの約30分が二次試験対策のテイスティング指導。
アカデミー・デュ・ヴァンのテキストはとても秀逸で、
ポイントがとても分かり易い。
各章の最後にはその項目の過去に出題歴のある問題が掲載されていて、
復習にとても役に立った。
私が受講した土曜クラスは年齢も幅広く、飲食業とおぼしき若い方から
紳士的な身なりの年配のかたまで様々で、だいたい6~8名のクラスだった(出席率はまちまち)。
テキストをなるべく汚したくない私は、
ポストイットに講師のアドバイスや一言をひたすら書きとめて
該当箇所にペタペタ貼った。
講師の解説を聞くにつけ、独学で得られなかった受験のポイントが、
みるみる立体感を帯びて頭に入ってくる。
わたしのクラスの講師は、レストラン勤務からインポーターなど、
ワイン関連の職種をいろいろ経験された方で、
私にとって初めてできた「ワイン師匠」。
話はどれも興味深く、生きたワインエピソードを聞くことができ、
とても刺激になった。
講義の終盤にテイスティング。
毎回6~8脚のグラスが並び、目隠しされたボトルが生徒に回され、
規定の量を自分でグラスに注いでいく。
<外観><香り><味><適正温度やデキャンタージュの有無、余韻、生産国、生産された年、品種>などのコメントスキルを磨いていく。
磨くもなにも、私の場合はここもまったくのド素人。
「すいかずら」の香りって何???
「なめし皮」????
「ブドウ」じゃなくね?
しかし第一目標は問題形式の一次試験突破だったので、
テイスティングの不安は、一旦こころの隅っこに追いやる。
ひたすら講師の一言一言を書き留めて、あとからテイスティングノートを
ちゃんと作ろう・・・と必死でついていくのみ。
だがしかし、テイスティングは楽しい。
いくつになっても何かを教わるのは楽しい。
グラスをスワリングして香りをつかみ、ワインの輝きを目で確かめる。
アカデミーの白いシートをバックにグラスの淵の色味を見極めながら、熟成度やら収穫年を推察する。
心底、受講してよかったと思う。
「合格」という欲さえなかったら、
単純に楽しかっただろうな、とさえ思う。
テイスティングの勉強法は二次試験対策の稿であらためて述べるので
ここではこのくらいで。
Chapter2へつづく
追記:アカデミー・デュ・ヴァン創始者であり、日本校の名誉校長でもあられたスティーヴン・スパリュア氏が永眠されました。スパリュア氏時代の「STEP-2」修了証書を持っていることは、ささやかながら私の誇りです。一受講生として、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?