近美コレクション 鑑賞レポ
This is 北海道札幌市にある北海道近代美術館に行ったときのレポです。I have a pen。こんな英文に句点かよ。北海道なので。
今回は、2023/2/11〜4/9まで開催されている【シャガール・イン・プリント】と【この1点を見てほしい】と【戦時下の北海道美術】の展示を見てきました。
交通
札幌の主要交通網である地下鉄に乗って、西18丁目駅で降りれば、大体表示を見て進めばつきます。
あなたの最寄り駅→大通り駅
東西線に乗り換え(宮の沢行き)
大通り駅→西18丁目駅
が、基本かなと思います。
入館料は、一般 510円、高大生 250円。
シャガール・イン・プリント
シャガールの作品は、【死せる魂】、【出エジプト記】、【ダフニスとクロエ】の3つの物語、そして【パリの空に花】という絵画が展示されています。
死せる魂
とりあえず、作品を読んだことがないのでまずはストーリーをと思い、1周目はストーリー中心に、2周目から作品を見た。
急遽訪問を決めたため、事前情報を何も仕入れずに来たので今回はこうなってしまったが、行く機会がある方には先に読んでおくべきと言っておきたい。業者なら仕入れがない時点で終わりだからね。売上なんてあるわけがない。
死せる魂は簡単にまとめると、ロシアのいろんな土地の領主から死んだ農夫達の帳簿を買って、領主になって儲けちゃお〜♡だからいろんな土地の領主と交渉したり、パーティーにも出席しちゃう!歓迎されて嬉しいし、あの娘すっごいかわいいな…♡一方で、悪巧みがバレちゃう危険!?私、どうなっちゃうの〜?!みたいな作品。間違ってたら、ごめん。
死せる魂は白黒の作品で、いかにも挿絵。物語の挿絵なので数がとんでもなく多い。時間がかかるどころの騒ぎじゃなかった。
6章のプリューシキンの家の絵は圧巻で、同行者とも後に話し合った。この絵だけ異様なまでに細かく書かれている。なんでかな。好きなのかな。木が?木が。鬱蒼とした木々。鬱蒼とした木々が?うん。シャガールの特徴的なうねりのある線が特にここでは活かされて見える。自然の鬱々しさと建物の古めかしさとが。
6章のプリューシキンの家の内部である。ランプがこの近さにある、視点の高さはもちろんだが、それよりなにより、シャガールの特徴的なゆがみの線によって、全く平行じゃないにもかかわらずなぜこんなにもきちんと物が置かれているように見えるのか、不思議で仕方ない。しかしまた、そのゆがみによって、部屋の乱雑さが見て取れ、不気味さと暖かさが見て取れるのも良い。
7章の死んだ農夫の人生想像タイム。尋問のやるせなさというか、空気の重さがこの絵だけでありありと伝わってくる。丸みのある線だから服とか肉体の感じがよく伝わってきていいよなあ。こういう、弱者を肥やしにしているやつは丸々太ってて、頭が固いおエライサンが角々した表現だったりするのかな。いやそんなことなかった、細いけどそんなに角々では…ない…?シャガール、線が柔らかすぎて角々だろうとなかろうとわからない気がする。
8章の夜明けのシーン。静けさというか、人のいなさが伝わってくる。そして何より、この小説らしい表現というか、詩的な表現を表そうと思って表せるのが、すごすぎて、なに?てか街外れにもほどがあるくない?なに?町外れって、ガチで外れなの?アタリハズレでもはずれだし、仲間はずれだし。
1章から見たはずなのに後半に好みが寄ってしまうの、すごい俺っぽい。だからなんだよ。
出エジプト記
いわゆるモーセの話である。モーセの十戒とか、海割とか、そのぐらいのことはなんとなくは知ってるので、ストーリーを追うよりも作品に集中できた。死せる魂とは異なり、カラフルな作品たちである。
モーセの頭の角がヤギか羊かもしくは光かなどと悩んでいたら、同行者はうさ耳だと思っていたらしく、いくら同行者がコンカフェの体入に行ったからと言って、コンカフェに取り憑かれてるなんて思ってはいけない。
あとはやはり、絵全体が大きいからなのか、細かな書き込みというよりは表現とか構図に力を注いでいるような気がする。俺が言ってるだけだから気にしないで。
ダフニスとクロエ
またストーリー追いかけっこから。ただでさえ小学生時代、鬼ごっこは嫌いだったのに、展示も紙の関係なのか、ストーリー順じゃないからあっちいったりこっちいったり。見るのむずいんだけど?他の人たち、普通に見てね?うちらがおかしいんかな?とか言いながらしっかり堪能。楽し〜
ストーリーは、好き同士なんだけど性的な行為を知らないダフニスとクロエがなんやかんやあって性行為を知っていくみたいな…大筋すぎるな。まあいいか。
ちょっと、このスタイルの展示初めてすぎて、どう感じたらいいのか、どう説明したらいいのか、難しすぎる。めんご。
パリの空に花
解説付きの絵画。さっきまで見ていた絵と比べても1つだけかなり大きい。
モチーフや構図、シャガールの思想などがふんだんに練り込まれたこの1枚の絵画から見出すのは何か。解説には「愛の夢の絵」と記されていた。
ぜひ作品だけでなく、解説を見に訪れて見てほしい展示であるため、なんも語らんぞい!解説と大体同意見だぞい!がんばるぞい!古いですね。
この1点を見てほしい
この1点を見てほしいでは、「こんなことはなかった」が展示されていた。
「こんなことはなかった」はRealistic Virtualityという方法を用いており、作品とそれをリアルタイムで映し出した映像との同時展示をしている。
壁にはちゃんと解説があるんだけど、解説を見ずともこの作品の異様さというか、良さというか、気持ち悪さは見るだけで伝わってくる。
ぱっと見で目につくのはゴクリとかいうどこかで見たようなパッケージ、でもサイズ感異常だし。
この異常性が、この作品がフィクシィンであることを示しているのか、ニセモノでもぱっと見ではわかりにくいことを示しているのか、そのわかりにくさが世にはびこっている批判をしているのか、はたまた。
でもタイトルと関連してる気がすんだよな。タイトルも考察できますよね。
ゆっくりカメラが動くと、この日常的で明るいシーンからガラッと変わり、工場や施設の類のシルバーでトゲトゲした無機質で暴力的な面が現れる。
このコントラストは何を暗示しているのだろうか。日常のすぐそばに、もしくは、ニセモノの裏に、明るいあの面の裏には暴力的な面が隠れているということなのか、はたまた。
解釈が沢山生まれそうでいい作品ですね。
解説よんだ後に書いてるから、内容被ってたらごめん。これ見に来たわけじゃないけど一番好きかも。
戦時下の北海道美術
もっと血生臭い感じなのかと思っていたんだけど、そういうわけでもなかった。結構様々な作家さんの作品が取り上げられていて、テイストも様々。
中でも他と随分系統が違うと思ったのは土器。いーや埴輪???って思ったんですが、戦時下では日本の象徴だったらしいです。学がない。
高橋北修の作品はクロッキーやデッサンのようなものが多く、また、その内容からも実際にその地で書かれていたことがうかがえる。
戦地の中の日常を切り取った絵と、デッサンのようなスタイルとが合わさり、そこにいた人々の生が感じられるよう。
すげえ好きだなあ。
この展示のタイトルにもなっている戦時下の北海道美術、という言葉が非常に合う作品。
北海道の雪の中に力強く立つのは、北鎮と呼ばれる「北の守り」の二人。北鎮という名前から浮かぶのは戦力があったとされる第七師団。その猛々しさが伝わってくるようである。
締め
いや内容見てわかると思うんだけど興味の差がすごいのよ。まあそりゃ人間ですもの好き嫌いはあるんだけど、それよりも学のあるなしも大きい気がするよね。シャガールインプリントではヨーロッパやロシアの知識が、戦時下の北海道美術では戦争とその時期の北海道について知っておいた方が楽しめると思いますが、こうした展示会で感じたことから知識欲が刺激されることもあると思うので、きっかけづくりにしてもいいかもね。美術はそういう魅力もあると思うんだ。
外の彫刻をちゃんと見れなかったのが悔しいので、いずれまた行きます。
ちなみに同美術館ではサンリオ展もやってて人気だったなあ。俺は行きません。めちゃくちゃ高かったし人気すぎて心の中に住む鬼でちゃった。サンリオはうさはなが好きでした。もうどこかへ消えましたね。
それではまたいずれ美術館記、更新したいと思いますので、よろしく。