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⑤こころの中の図書館~暗闇の泉~

インフルエンザにかかって
少し更新がお休みになっていました。

みなさんも体調は大丈夫ですか?

それでは、物語の続きを
お楽しみください。

はじめにこちらをお読みください↓
こころの中の図書館~ビラ配りの老人と【僕】の旅の物語~はじめに~

②こころの中の図書館~プロローグ~と~ハムスターの回し車と自分時計~

③こころの中の図書館~オールド・ワイズマンとの出逢い~

④こころの中の図書館~こころの眼を開く道~

◇◇暗闇の泉◇◇

フスマを開けると・・・
老人が言った通り
そこには下へ続く木造の階段があった。

だけど、どれぐらいの階段を進めばいいのかは
予測がつかないぐらい先の方は真っ暗だった。

その階段に足を乗せると
映画で表現されるような
ミシッという音が鳴った。

僕が階段に足を乗せると
その足元と次の段の階段だけが
見えるように
壁についていたランプが点灯した。

どんなカラクリで
ランプが点灯するのか分からなかったけど
とりあえず、階段をこれで安心して下りる事ができると少しホッとした。

暗闇の中の階段を下りるっていうのは
僕は、映画なんかで見ていた時は
怖いイメージがあったけど

実際、その体験をしてみると
怖さもあるけれど、静けさの中にいる安心感みたいなものもあるんだと感じていた。

特に今のようなネット社会だと
情報が溢れているから

どこにいても、何をしていても
自分が興味があるかどうかに限らず
色んな質の情報が波のように
自分に押し寄せてくる。

食べ物だけでなく
情報においても過剰摂取で
何が本当に自分にいいのか
分からなくなってる。

そんな時代だからこそ
こうした何も情報がない真っ暗な空間は
孤独に対する不安や怖さもあるけれど

同時に静けさの安心感もあるんだなと
今まで感じたことのないような考えや感じ方が
湧き上がってきた。

どんどん足を進めていくと
何だか、生まれてくる前の参道を
通っているような気持ちになってきた自分がいた。

もうどれくらい階段を下りたのだろう。
時間がどれくらい経ったのかも分からない。

スマホを取り出そうとしたけど、
鞄を部屋に置いてきたのを思い出した。

時間って何なのだろうな~?
時計を見て時間を計るのが時間なのか?

時計を見ていないと
今、どれくらい経ったかさえも
この情報のない暗闇の中では分からないなんて。

時間って何をもって時間っていうんだろう?

僕は、普段の毎日じゃ、決して考えないであろうことを階段を降りている間、次々と考えた。

考えたというより、自分の内側から
そうした疑問のような問いかけが
泉のように湧いてくる感じだった。

過剰摂取をやめたら
こころやからだからの
声が聞こえてくるんだな。

いかに毎日
外側の情報を処理するだけの時間を
過ごしていたのだろう?と
そんな事すら思った。

次第に、階段の奥に小さな光が見えてきた。

どうやら、あそこが図書館の入り口らしい。

僕は不安と怖さのドキドキの原液が薄まり
ワクワクが僕の心を占領している事を感じながら
少しずつ歩みのリズムを速めた。

次回~老人の正体と老人の知恵~をお届けします。
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