白梅某日日記
某日。
X(Twitter)を使っていると「情報や感情の渦に巻き込まれている」と感じるようになった。毛穴という毛穴から過剰摂取したものが吹き出しているような感じがして、どっと疲れる。
まずいなと思い、えいやとアプリを削除して、必要があればパソコンから見たり呟いたりすることにする。情報は、各サイトや新聞などで得ることにした。
それ以降、なんとも穏やかな日だ。
これまで知らなくていいことまで知りすぎていたのだなとしみじみ思う。
某日。
初めてコロナにかかる。
発熱と、体の節々に五寸釘を打ち込まれてえぐられるような痛みに、インフルエンザだと思い受診したら、まさかのコロナ。
意識が遠のくような身体の痛さと気分の悪さで、待っている間、横になれないか尋ねたがそれも難しく、簡素な椅子に座ってじっと待つ時間はただもう地獄だった。
診察が終わり息も絶え絶え薬局へ。
一応伝えるべきかなと、処方箋を渡しながらカウンターの金髪の薬剤師の若い女性に「コロナなんですが」とこそっと伝えたら、
「コロナですね、全然大丈夫ですよ〜!でも一応端っこに座ってくださいね!」
と明るい笑顔で応対してもらえて、ちょっと泣きそうになる。やさしい。
弱っている時の、誰かのこういう素直な優しさは思いがけなくとんでもなく沁みる。
某日。
発症から1週間ほど経ってようやく回復した。
トイレ以外は部屋に引きこもっていたので、家族にうつった様子もなくとりあえず安堵。
寝込んでいたとき一度だけ、トイレに行く際に下の子に遭遇したことがあった。
「あっ…どうしよう…会っちゃったな…」という、自分のレベルでは倒せないモンスターにエンカウントしたようなこわばった表情でじりじり後ずさって逃げていったことが面白くもあり、ショックでもあり。
あの顔、多分これからずっと忘れない。
白梅。
冬が苦手。でも、梅が咲くともう春だなと勝った気持ちになれるので、梅が好き。「梅一輪 一輪ほどの あたたかさ」を毎年噛み締めている。
去年はこちら。ビール三昧してる。