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建物さんぽ#5「東京都庭園美術館」が大好きでちょっと苦手

趣味:建物探訪&散歩、「古い建物を見ながらコーヒーを飲みたい」が口癖の私が各地の建物を巡った記録をまとめていきます。

今回は、「東京都庭園美術館」です。

大好きなんだけど少し嫌いな庭園美術館

庭園美術館が好きだ。建物が美しく、その空間を生かした展示はいつも惚れ惚れとする。

しかし、実は少し苦手でもある。

…なぜならば。美術展を見に行っても建物自体が気になってしまい、アートを見て、建物を見る。アートを見て、建物を見る…。と、集中力2倍で2倍疲れるのだ。

大抵帰る頃にはぐったりしている。その日1日使い物にならない。

言うまでもなく、これは幸せ疲れなのだが…。何度行ってもこうなる。見ても見ても見どころがなくならない素晴らしい建物なのだ。

そんな贅沢な庭園美術館には、年に一度、建物公開展示と言われる庭園美術館の建物にまつわる歴史や装飾についての展覧会を行う期間がある。

これならば私も疲れないのでは…?と、昨年「1933年の室内装飾」展に行ってきた。

普段は撮影禁止の館内も、この期間中は撮影が可能になる。

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庭園美術館は、もともと朝香宮邸として作られ、当時流行していたアール・デコに魅せられた朝香宮夫妻こだわりの意匠があちこちに施されている。

そのモダンさと、細かいところまでこだわりぬいた装飾にはいつも目を見張る。そんなわけで、今回は建物の全容というよりここがいい…と思う細部の写真をアップしようと思う。

ドアノブにも足元にも目が離せない

玄関の扉から、すでにルネ・ラリックのガラス作品なのだから、いつも両手を上げて降参したくなる…。足元のタイルも惚れ惚れする。

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中庭をこの展示で初めて見た。鳥の像と邂逅。普段はカーテンで閉じられている大広間の窓から。

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左手側から庭園を見下ろせるベランダ。右手側にはバスルームがあり、ここは確かに人が住むところだったのだと感じさせてくれる。

クラシカルな第1階段と、ひかえめな第2階段

そして階段フェチの私も大好きな階段たち。

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大広間から続く第1階段は、多くのゲストの目に触れるためか、クラシカルで重厚感のある作りになっている。どこか日本的でもあり、椿のモチーフがかわいい。

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特に好きなのは、建物奥にある第2階段。この円窓の直線と曲線の組み合わせ、モダンだよなぁ。

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同じく第2階段。公開期間が限られているウィンターガーデンに続く。この大きな窓のシンプルな清潔さも好きだ。

上を見上げて、どのライトが欲しいか考える

このお屋敷が、非常にこだわって作られたことがわかる一端が各部屋のライト。ひと部屋ひと部屋違ったものが用いられている。

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こちらのライトもルネ・ラリック。

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あくまで一部。ゲストをもてなす1階の各部屋の照明も見事だし、2階の住居部分のライトもデザインがおもしろい。

どのライトが自分の部屋に欲しいか…なんて見上げながら空想するのも楽しい。


そして。

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建物の中で私が一番好きなのが、この鏡。

この楕円形の優美さ、透明感…。

そっと部屋の片隅で、訪れる人たちを映してきたに違いない。この奥ゆかしい存在感がとてもいい。どこにあるかぜひ探してみて欲しい。


…この日は、建物だけを見るから今回は疲れないもんね!とタカをくくっていたが、結局、全集中力を使い込みヘトヘトに疲れ、「ああーやっぱり好き!」という気持ちと「ああーやっぱり今回も疲れたなぁ…」というなんとも二律背反な気持ちで帰路についたのだった。


ちなみに庭園美術館は今、まさに建物公開展示のさなか。会期が変更され、9月まで行われている。この贅沢な疲れ、ぜひあなたも。