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アジカンの夏、Mrs.の夏。

この初夏は、とかく楽しく忙しい。

というのも。

私の音楽三大推しのうち、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとMrs. GREEN  APPLEが来たる7/5、同じ日にアルバムを出す。

5月の末くらいから毎日どちらかのなにやらが発表されたり、露出があったり、もうえらいこっちゃのお祭り騒ぎが続いていて、幸せすぎてもう心臓が持たない。

アジカンの夏

2008年にリリースされた「サーフブンガクカマクラ」というアルバムがある。

江ノ電の駅名を曲タイトルにつけた、パワーポップ感とローカル感のある、夏になると聞きたくなる1枚なのだが、それが今年「完全版」となってリリースされる。

2008年の際には抜けていた5つの駅名をつけた新曲を含んで、15駅、全ての駅を網羅することになるのだそうだ。

7/5のリリースを前にして、その新曲5曲が「サーフブンガクカマクラ(半カートン)」として配信が始まった。

数年前から完全版作るという情報はずっとずっとあって、やっとのリリースなのでもう辛抱たまらず聞いたのだが。

2008年版が若者の夏という感じである一方、15年経った完全版はその頃に思いを馳せる郷愁が溢れていた。

どこか乾いた、彩度のちょっと褪せた夏。

『日坂ダウンヒル』では「来た道をまざまざと振り返って その先の青さに驚い」て、『和田塚ワンダーズ』では「いつかの少年たち」や「駐車場を探し回って疲れたあの頃」に思いを馳せて。

いい年になって思い出す、仲間や恋人と過ごした、猥雑で濃密な夏。

いいことも悪いこともあっただろうに、繰り返す夏の日差しと風にその輝きも毒気もすっかり消毒されてしまったように感じることがある。

半カートン聞いてみて、そんな過ぎた夏の思い出をあれこれと思い出した。

円熟したバンドならではの表現だなと、聞きながらしびれまくる。

2008年版収録の曲も時代変化に合わせて歌詞が少し変わっているという噂も聞いた。そういう遊び心のあるアジカン好きなんだよなぁ。

Mrs.の夏

一方、Mrs.の夏は、「現在の夏」という感じでキラキラでまぶしい。

今回、リリースされるアルバム「ANTENNA」は、ドラマタイアップ曲『ケセラセラ』などを含む13曲。

中でも先日配信された『Magic』の、その圧倒的表現力に打ちのめされた。(いやいや、とはいいつつ、いつもボーカル大森さんの歌のすごさ、技巧的な曲で展開の多いのには圧倒されまくりなんだけれども)

涼やかな風のようなケルティックなイントロから始まるこの曲は、湿度の低い風の吹く、海際の避暑地にいるような感覚になる。

その爽やかさの中で、「いいよいいよ 自由でいいよ」「日々を楽しもう」と繰り返し繰り返し歌う力強さ。

毎日、なんやかやと細かな問題に突き当たったり、繰り返しの日々に飽きて悩んだり。日々を朗らかに生きるのは、とかく難しい。

それでも、日々を彩って豊かにする魔法はきっと自分自身の中にあるのだと現在進行中の私たちの生活を励ましてくるアンセムだ。

そして、毎日暑いししんどいけど、なんかいい夏にする予定を入れようか、そんな気持ちにさせる「もっと良いように」という前向きな部分9割に対して、1割は「そう簡単にはいかないな」という諦念もあって。

そのバランスがなんというかちょうどよいんだよなぁ。

『ケセラセラ』や『私は最強』も、生きるのちょっと頑張るかと思える曲でまぶしいんだけど、弱さもちゃんと含まれていて。

その心地いい塩梅が、最近Mrs.が若者だけでなく上の世代にもじわじわ支持されてきている理由なのかと思ったりもする。

他の収録曲はどんな感じか、タイトルからあれこれ想像するのも楽しい。

大きな、でも贅沢な悩み

そんなわけでタイプの違う2つのアルバムのリリースを思って毎日毎日楽しいのだけれど、大きな問題がひとつだけあって。

どちらから聞くか。

ほんとにそれが問題だ!

でもなんて、幸せで、贅沢な悩みだろう!


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