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あなた色に染まっていく。

夫にはじめて会ったとき、いいにおいがした。

デートのために身につける特別な香りとはまた別の、もっと日常の香り。
作りものではない、生活をしている人のもの。


こまめに洗濯をして、お気に入りの洗剤とこだわりの柔軟剤で衣類をお手入れしているであろう、香り。

そのにおいを身にまとう、夫が好きだな、と思った。



一緒に暮らし始めて、日用品のストック管理は夫に任せることにした。空いた時間にひょいひょいと発注をしてくれるので、頼もしいし有難い。

発注者の特権で、洗剤も柔軟剤も夫イチオシのものを使い続けている。

私もそれなりにこだわりはあったのだろうが、夫が放つにおいを、私も同じように身に纏えるのなら、いいな、と思った。

ふとした瞬間、夫のにおいがする。
これが、なんだかこそばゆくて、嬉しかった。



1年ほど生活を共にして。

そういえば、においがしなくなった、と感じた。

夫からも私からも、あのふわっと香る爽やかなにおいが、消えてしまったのだ。

鼻が慣れてしまった、だけのことかもしれない。ただ、あの香りに包まれる、その瞬間が好きだったのに、と少し寂しくもあった。



だが、別の発見があった。

好きな香りを感じなくなって、また別の香りに気がついたのだ。

夫自身にもにおいがある、ということに。


柔軟剤とかシャンプーとか石鹸とかの、人工的なものではない。

人が本来もつ香り。

アラフォーに差し掛かる夫に、さては加齢臭?と疑う。だがそれも違う。決して嫌でない。もっと、自然な人間のにおい。

すれ違うだけでは香らない、細やかなもの。夫婦の距離だからこそ感じとれるプライベートなもの。

夫がここにいる、と感じる。
どこか安心感をうむ香り。



最近のこと。

「あれ、夫のにおいがする」

出張で数日家を留守にしているというのに、どこからか夫の気配を感じるのだ。

衣類や布団についていたのかな?


そしたら、また、ふわっと香る。

ん?

衣類や布団からではない、もっと近くからだ。

もしかして??

と、自分の腕や胸まわりのにおいを嗅ぐ。


出会った頃のあの爽やかな香りが微かにする。

だが、それ以上に… 夫のにおいがする。


はは!!

とひとり笑い出してしまった。

だって、夫と妻の体臭が同じなんて、おかしくて。



そういえば、こないだ

「雰囲気が似てるね」と言ってもらえたことがあった。

私たちは顔が似ているわけではない。だが、どうやら一緒に暮らしているとなんとなくでも似通ってくるらしい。


同じ家で暮らして、同じごはんを食べて、同じ布団で寝ていたら、
考え方や生活習慣はもちろん、気づかないところで、些細なことでも影響を与え合っているのかもしれない。

それが匂いにも効果があるとは…
夫婦とは感慨深い。



まだまだ夫婦3年目。

これから、妻が夫に染まることもあれば、
夫が妻に染まっていくこともあるだろう。

連れ添うふたり、
いろんな色に染めあってゆこうではないか。




💌なつみ みどりさん
素敵なワンシーンのお写真、お借りしました^^
同じ「みどり」さんで、勝手に嬉しくあたたかい気持ちになりました🍂


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