【一駅日記】抱き締める覚悟はあるか ー 2022.12.08
帰りの電車で揺られながら一日のことをnoteにしてみる一駅日記。
彼女の話。
彼女は公認会計士の資格を取るための勉強をずっと続けている。
この前、日商簿記1級を受けに行ってた。
彼女はとにかく努力家。
私は何かを何日も頑張り続けることが、苦手。
思い通りにいかないことが無理。
というより、その"無理"にも許容範囲があって
「これは無理だけど、こうしたらいける?」
って時もあるし
「それは、はい、文字通り無理です」
って時もある。
多分そっちの方が多い。
noteだって、意図せず毎日更新してた時に
「○日連続投稿です!バッジ獲得!すごい!」
みたいなメッセージが出てきて、一瞬で冷めた。
いや、その称号欲しくて書いてるわけじゃないのよ。
とか言って自分の中の"無理"が溢れる。
私の話はどうだっていいんだった。
彼女はもう6年近く、会計士になるための勉強をひたすらひたすら続けている。
きっと彼女は、いわゆるヤングケアラー。
おじいちゃんの介護をしながら、家事をこなし、家族全員分の料理を作りながら勉強をしている。
そんな彼女が、先日、救急車で運ばれた。
世の中と私が珍しく溶け合うように日本代表とクロアチア代表のワールドカップの試合を観ている頃、彼女はストレス性胃腸炎で痛みが酷くなって搬送されていた。
安静にして治療を受けて帰ってきた彼女は、だいぶ参っているように見える。
それもそのはず。
公認会計士試験は今週末。
勉強時間を投げ打って介護をしてきたおじいちゃんは秋前に天国に旅立たれた。
悲しみに暮れる暇もなく、彼女は電卓を叩き始めた。
それが試験直前の、これ。
そりゃ崩れ落ちる。
ここまで頑張ってきたんだよ。
あともう少しじゃないか。
大丈夫だよ、諦めないで!
そんなこと、死んでも口にできるはずがない。
彼女はここまで色々なものを、投げ打って頑張ってきたのだ。
どこで力尽きようと、どこでその道を断とうと、
私には何もできることはない。
自分で考えたらいいさ!
好きなようにしたらいいさ!
諦めたってわたしはそばにいるよ!
そういって優しさという暴力を隠しながら抱き締める?
彼女の努力してきた日々を、私に抱き締める覚悟はある?
優しい言葉は時に、何よりも鋭い刃物になる。
無関心ほど悲しいことは…とは、言うものの
無関心であってくれた方が嬉しいときもあり。
彼女が見てきたこの数年間。
彼女が向き合ってきたこの数年間。
彼女が生きてきたこの数年間。
そこにどんな思いがあって、どんな価値があったのか。
私には関係ない。
けれど関係ないからこそ、考え続けないといけない。
今週末、どうなるだろう。
彼女は試験に行くのだろうか。
行ったらどうする?
行かなかったらどうする?
どちらにせよ、私にできることは…。
ただただ、抱き締めるだけの覚悟を持つ準備今はしておこう。
きっと、いま私たちに必要なのは優しさ、ではないから。
ただ、ただ。
今日はMister Wives「muse」とともに。