ご飯が食べられなくなったら
ご飯が食べられなくなったらもういいよ。
管に繋がれてまで生きたくないよ。
多くの方がおっしゃっていた。
なのにこれまたむずかしいわけで…。
飲み込むことができなくとも、胃から下がまだ少しは元気なら、栄養剤を流すために鼻から管を胃まで通す。
胃瘻をつくる。などの選択肢がある。
それが困難でも、血管からしばらくは栄養や水分を送る方法がある。
だが、本人が意思を伝えられないことも多い。家族が決めなければならないのだ。
これは重い決断で、何をどう選んでも、それが正しかったのかと悩むもの。無理もない。
「本人は、そうなってまで生かされているのは不本意だと思います。そう話していた事があるから。もうこれ以上は何もしなくていいです」と、泣きながらおっしゃる方もいらした。
「単に自分のわがままですが、どんな形でも、少しでも長く生きていてほしいんです」
そうおっしゃった方もいらした。
医療者はケアをさせていただきながら言う。こんな状態になってまでもうかわいそうだと。私たちとて辛く、何のために、と思うことも多い。
だが、ご家族が納得する時間もまた必要なのだ。それは遺された側が生きていくために大切なことなのだ。
そう思うようになった。
私も、一応、子どもたちに伝えている。こうなったら、こうしていいよ。でも、どう決めてくれてもいいよ。