「死に目に会いたい」
よく聞く言葉である。
しかし、これはなかなかそうもいかない。
時に神様らしき存在が、最高にうまくリードしてくれることもあるが、たいていはその瞬間まで右往左往するものだ。本人ではない。家族が…。
訪問看護をしていた頃のこと。
Kさんは、すでに余命長くない方だった。独居にはもったいないような立派なお家だったけれど、どこもかしこも何もかもが、硬く冷たく妙に寒いのだ。「階段あがって手前の部屋なんか怖くない?」などと看護師の間でもよく話にあがった。冬服を出すとかしまうとか、風通しなど