怖いおばあちゃん
私がまだ子供の頃、体が弱くてしょっちゅう風邪を引いていた
春でも、夏でも、秋でも
冬は特に寒いのが苦手なので、更に風邪を引きやすかった
私は子供の頃は、おじいちゃんとおばあちゃんと私で川の字に寝ていた
両親と寝るより多かったと思う
冬になると、おじいちゃんとおばちゃんのある2階は特に寒い
湯たんぽなどは用意していなかったので
布団に入るといつも、温まるまでは震えなが寝ていた
ある時、震えながら寝ている私を見かけたのか
おばちゃんが『こっちおいで』と言ってくれた
おばあちゃんの布団に潜り込んだ
『あ〜おばちゃんの布団温かい』と私はつぶやいた
『寒いだろう?』
おばあちゃんは、私の冷たい足を温かいおばあちゃんの足に重ねた
本当にどうしてこんなに、おばあちゃんは温かいのだろう?
とても不思議だった
それからは、寒い夜になると、いつも布団に入れてくれた
いろいろな過去の思い出や記憶が忘れてしまうことがあるが
この思い出だけは、記憶だけは、絶対に忘れたくない‼️
あの温もりを❗️
そんな、優しいおばちゃんが大好きだった
優しいおばあちゃんは・・・・・
優しい反面、怒った時のおばあちゃんは半端なく怖かった❗️
家族で朝食をしている時に、正座を崩すしたりすると
拳骨が飛んでくる❗️
私はおばあちゃんの横に毎回座っていたので
正座を崩すと直ぐに拳骨が飛んでくる❗️
どうして、こんなにも、おばあちゃんの拳骨は毎回痛いのだろう?
不思議に子供ながら思っていた
ふとした時に、謎が解けた。いや、見えたのだ!
指に金色の指輪があることを❗️
いつも、もらうその拳骨は普通ではなかった
指輪がジャストミートして私の頭を捉えていたのだった
痛いはずだよ・・・・・おばあちゃん
まぁ〜粗相した私が行けないのだけれども
拳骨の謎が解けても、しばらくは痛い思いをした
今となっては良い思い出だ
そんな、おばあちゃんはタバコも良く吸っていた
昔は禁煙なんてないから特にそうかもしれないが、バンバン吸っていた
髪を結って和装で、タバコと吸って、花札をするとその姿は
まるで、女親分みたいに迫力があった!
私が生まれて初めて『強い女性』を見た瞬間だった
家族だけでなく、近所の人たちも何かとおばあちゃんに頼っていた
凄いな〜男勝りと言うか、毅然とした態度にとても憧れた
多分、今でも憧れているのだと思う
強い女性で、優しくて、怖いおばあちゃん
私が20歳の時に亡くなった、おばあちゃん
病気で弱くなっていく、おばあちゃんを見て何度泣いただろう
急に元気になってきて、治るのでは?と嬉しかった直後に
急速に弱まって、おばあちゃんは亡くなってしまった
『人の死』というものに、私はそれまでに間近で立ち会ったことがなかった
実家の川の字で寝ていた、おじいちゃん、おばあちゃんの部屋に
おばあちゃんは、病院から帰ってきた
おかえりなさい、おばあちゃん❗️
ずっと部屋に居なかったおばあちゃんがいるのに・・・
あんなに、温かかったおばちゃんが・・・・
こんなにも冷たくなってしまうなんて・・・・
人は死ぬとこんなに冷たくなってしまうものか?
私は温かいおばあちゃんしか知らない
お葬式が終わるまで、私は泣き通した
涙が止まることはなかった
次から次へと思い出が蘇る
私にはとても、怖くて優しいおばちゃん
もっと永く一緒にいたかった
私が弱ったり、変な道にそれそうになったら
いつでも、拳骨を飛ばしてね
もちろん、金色の指輪付きで❗️
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