#07 スキーリゾートの選び方② 評判ではなく滑りやすさでスキーリゾートを選んでみる
前回は、有名リゾートはなんでも上質なものがそろっているので、スキーホリデーの目的地としては良い選択だが、実は目的によって有名リゾートではなくても十分に楽しめる場合があるということを、いくつかの例をあげて説明いたしました。
今回はその続きで、いくつか挙げた例の中の「滑って楽しい、滑りやすい斜面が多いリゾート」、つまり斜面の良し悪しで滞在するリゾートを選ぶ場合について、詳しく掘り下げてみたいと思います。
1.「滑りやすい斜面」とは?
斜面を選ぶ場合に限らずですが、この場合の「楽しい」「滑りやすい」「好き」は主観ですので、考えるスタート地点はかならず「誰にとって」です。
①誰にとって(初級者なのか上級者なのか)
まずはホリデーの主役の、体力と技量(初級者なのか上級者なのか)によって異なります。
②どのように(のんびりかガンガンか、パウダーをなのか圧雪をなのか)
上級者だって緩斜面を流して楽に滑りたいことだってありますし、初心者だってパウダーに挑戦してみたい時だってあります。また、滑り方や斜度や雪質によって1日に滑走可能な量も異なります。
③どのぐらい(1日に何時間で、何日間滑るのか)
誰がどのような滑りで何日ぐらい楽しみたいホリデーなのかを具体的に考えると、それにピッタリのスキー場や斜面を選ぶことができます。滑るのが1日だけなのと1週間毎日なのでは、ペース配分も、楽しめる山の大きさも異なります。疲れ過ぎてしまうと楽しいことも楽しめなくなります。
つまり誰が主役の、誰のためのホリデーなのか?でスキー場を決めようということです。
例えば主役が初心者の場合、コース幅の広い緩斜面が山麓付近に何本もあるような、雪質の良い、あまり混んでいないスキー場が適しています。
主役がパウダーを体験してみたければ、リフトで行ける範囲に比較的滑りやすい(滑走禁止斜面ではない)パウダーの斜面がある、降雪量の多いスキー場に、1月2月の厳冬期に行くべきです。
大事なのは、滑っていて気持ちの良い”楽しい”コースが
どれだけ多いか長いかということです。
2.具体的に、滑りやすさでスキー場を選ぶ
具体例(1)家族のスキーホリデー「リフトデビュー」
・両親はそこそこ滑る。
・子供はスキーを昨シーズン始めたばかりで、左右になんとか曲がれる
・今回、スクール以外で初めてリフトに乗る。
①誰にとって 子供のためのホリデーである
②どのように リフトデビュー。
コース幅の広い緩斜面をのんびりと滑りたい。
初心者コースが多い方が、上達に合わせて
スキー場内を探検できる。
③どのぐらい 3泊4日で、滑走可能なのは2.5日間。
慣れていなく疲れやすいので、午前2時間午後2時間程度。
この条件で、前回の「有名リゾート」から選んだ場合は以下の通りです。
・富良野 △
・ニセコユナイテッド 〇(ヒラフ以外)
・キロロ 〇
・ルスツ 〇
・妙高 〇
・野沢温泉 〇
・白馬 △(栂池のみ〇)
・志賀高原 △
〇 適している
△ あまり適していない
× 苦労する
(基準:斜度とコース幅と混雑具合)
「リフトデビュー」=山麓に広大な緩斜面があることが必須条件です。
たとえば富良野は良いスキー場なのですが、なんとか左右に曲がれる程度のお子さんにとっては山麓リフトの斜面は難しするので「△」としました。
白馬も志賀高原も、ごく一部の山麓リフトは大丈夫なのですが、全般に山麓から中斜面のところが多く「△」です。
具体例(2)友人同士「パウダーデビュー」
・中上級者の集まり。
・その中の数名が、まだパウダーを滑ったことがない。
①誰にとって パウダー未経験の中級者
②どのように パウダーデビュー。
スキー場内でリフトアクセス可能な未圧雪の斜面を、
短くても良いので何回も滑走したい。
③どのぐらい 3泊4日で、滑走可能なのは2.5日間。
慣れていなく疲れやすいので、午前2時間午後2時間程度。
この条件で、前回の「有名リゾート」から選んだ場合は以下の通りです。
・富良野 △ スキー場内に滑走可能な未圧雪斜面は少ない
・ニセコユナイテッド 〇 スキー場内にも多くの未圧雪斜面がある
・キロロ △ スキー場内に滑走可能な未圧雪斜面は少ない
・ルスツ △ 未圧雪斜面は多いが、管理区域内外が不明瞭
・妙高 △ 未圧雪斜面は多いが、管理区域内外が不明瞭
・野沢温泉 〇 スキー場内にも多くの未圧雪斜面がある
・白馬 △ 未圧雪斜面は多いが、管理区域内外が不明瞭
・志賀高原 △ 未圧雪斜面は多いが、管理区域内外が不明瞭
〇 適している
△ あまり適していない
× 苦労する
(基準:斜度とコース幅と混雑具合)
「パウダーデビュー」であることから、スキー場内に滑走可能な未圧雪の斜面があって、降雪量の多い(=パウダーの日に当たる確率が高い)ことが必須条件です。
*厳しいようですが、スキー場として「滑走可能」を明言していない
未圧雪斜面は「グレーエリア」なので、カウントしません。
3.スキー場は有名で広ければ良いというものでもない
前回の少しおさらいです。
国内でも20コースを越える、1日じゃとても滑り切れないほど沢山のコースを持つスキーリゾートはいくつもあります。
ですが大事なのは
そのうちのどれだけが滑って楽しいと思えるコースなのかということです。
しかも家族で行く場合は、あなたが楽しいというより、
一番楽しんでほしい家族にちょうどよいコースがあるかということです。
たとえば「未就学のお子さんの、初めてのスキーデビュー」という目的の
場合、必ずしも有名な大規模スキー場である必要はなく、むしろ山麓に
幅広の緩斜面がある小規模スキー場の方が向いている場合もあります。
ちなみに上手に滑れないことを恥ずかしがる必要は1ミリもないです。
本人的/主観的に”楽しい”と思えるコースを選んで滑れば良いだけのことですので。スキーというスポーツの良いところはどの体力/技量でも楽しめることです。なのでレジャーとしても成り立ちます。
あと、今回の本題である「斜面選び」からは外れてしまいますが、お子さんや初心者や女性にとって必要な設備は、快適で綺麗な休憩所とトイレです。疲れたり寒かったりしたらすぐに休憩できることや、清潔で使いやすいトイレがあることは、慣れていない人や子供や女性にとっては大変重要です。
人気のあるスキー場は、このような当たり前の気遣いとサービスの向上が出来ているから人気なのだと思います。
4.広大なスキー場のメリットとデメリット
コースが沢山ある広大なスキー場の一番のメリットは、どのレベルの人にもピッタリのコースがかならず1か所はあるはず、ということです。
英語でいうところの「Something for everyone」です。
たとえば一緒に行く人のレベルがまちまちで、全員がそれぞれ楽しみたい場合、まさに「初心者から上級者まで楽しめる」広大なスキー場で、それぞれ別々に滑るのがベストです。
また、コースがたくさんあるということは、飽きないですよね。
特に長期滞在のホリデーであれば、この点は重要です。
逆にスキー場が広大であることによる不便な点やトラブルもあります。
まず、不便なことは、迷いやすいことです。
お目当てのコースに着くまでに、リフトを何本も乗り継がないと行けなかったり、ホテルに帰るために急で難しいコースを滑らないと帰れないことも良くあります。
それが酷くなると、帰り道がわからなくなります。
広大なスキー場には山麓が一か所だけではないところも多くありますので、帰ろうと思って山麓まで降りてみると、そこは滑り始めた山麓とは別の山麓だったり。
それがさらに酷くなると、取り残されたり帰れなくなるというトラブルに発展します。
迷った挙句に別の山麓に降りてきてしまい、そこでリフトの営業時間が終了。結果、ホテルまでタクシーで帰ってくる羽目になったという話も、ニセコや白馬では聞きます。
あとはトラブルというより不満ですが、折角広大なスキー場に来たのに、悪天候や雪不足のため全コースを滑ることが出来ずに、広大なスキー場に来た意味がないということもあります。これもニセコの話ですが、滞在中毎日強風で山頂リフトが動かず、結果、山麓のわずか数本のコースしか滑られなかったという話も聞いたことがあります。
ですので、有名人気スキーリゾートであれば「絶対に間違いない」というわけではありません。尤も、あこがれのスキーリゾートを滑りたいという目的であれば、何があってもそのあこがれのリゾートを目指すと思いますが。
今回も読んでいただきありがとうございました。
次回も「スキーリゾート選び」の続きですが、次回からは滑ること以外の要素、ホテルやその他の設備やサービスについて書いてみたいと思います。