お絵描きソフト3D支援機能の弊害〜絵に必要なのはハウツーか、ハーツか(リターンズ)
前回のハウツー・ハーツ(オマケ)で終わりにするつもりだった。
んだけど、それらを書き終わったらとあるnoteが流れてきた。
のでそれを何の気なしに拝読させていただいた。
ら、私とまったく真逆の道を行っててお悩み中な方のものだった。
別に私の取った方針がその方より正しいのよ!とマウント取りたいわけではなくて。
似たような悩みを遠い昔に持ったことがあるからこそ私はその方と逆の道を選んだわけで。
もし昔の私の選択が反対だったら、やっぱり同じように悩んでしまったかもしれない。
いや、しかしね。
本当に真逆なのよ。
何が?
というと「自分の絵が埋没してショボいと自覚した後どうするか」である。
ちなみに、パッと見綺麗で丁寧な絵柄の方でしたよ。
でも絵に対する好みのツボは違うと思う。
まあそれは個人の好き好きなのでどうでもいいんだけど。
でもちょっと気になる部分もある。
たとえばその方の絵は動きがない。
止め絵なんですね。
パッと見美麗な止め絵。
理由はすぐわかった。
この方クリスタの3Dポーズ人形を必ず使用して人物を描くらしい。
それをするなら動きに関する観察力と「どうしてもこんな動きが描きたいんだ!」という強い強い脳内イメージ保持力が必要だと思う。
3Dポーズ人形が現在進行形で作ってる出来合いポーズを、元の脳内イメージ力が凌駕しないとポーズ人形の中途半端な木偶ムーブに負けちゃうんだと思う。
脳内イメージが木偶人形の存在感に負けちゃうわけ。
ポーズ以前に顔だけ描くのにも3Dポーズ人形使うらしい。
え?マジデスカ?
顔のアタリ線も邪魔くさい私には無理です…。
どんな顔が描きたいのかの脳内イメージがアタリ線やポーズ人形の頭部の存在感でかき消えてしまいそうになるから。
いくら脳内イメージ保持力強化しようと物理的に表示されてるものの前ではどうしても保持しづらい。
そんでもって顔だけ描くのにも3Dポーズ人形使ってるのに、人物の塗りは陰影もあんまりなくてふんわり漫然とした塗り…。
ええと、「3D」人形の意味とは一体…。
齟齬のない陰影で立体感出すためじゃあないのか…ちょっと使用目的がわからなくて混乱する。
んで、その件のnote内では、他所から持ってきた素材をコピペした上で顔を描き足す手法でイラストを完成させてたんだけど。
素材の存在感に自分の描いた人物が負けちゃうので、素材を影薄にする努力を重ねて自分のキャラの存在感の薄さに合わせるという、私には思いもつかない意外な作業を延々となさっていた模様…。
それも割としょっちゅうやってるみたい。
素材+人物のイラスト。
すごくしんどそう…。
自分の絵は素材よりはるかにショボい、と自分に念を入れて刷り込むような作業じゃないのかなそれ…。
私ならつらくて耐えられないな…。
というか、私も大昔試してみたことはあるのよ。
素材と自分のキャラの組み合わせ。
一発で後悔してやめたよね。
なぜなら自分の絵がどれだけショボいのかを痛感させられたから。
それで私が取った道は「素材そのまま貼り付けしないこと(可能なら自分の手で描く)」と「人物だけである程度マシに描けるようになること」を目指したわけ。
というわけで私はそのnoteの方と正反対の道を歩むことになった。
そんで「ハウツー・ハーツ」シリーズだけでなくおよそすべての画力に関する記事で毎回私が言ってる「陰影の法則」「3D→2Dビジョン」が必要になるわけである。
(言い回しはその時によって変わるが内容は同じこと言ってたりする)
あのー、確信あるんだけど、この方綺麗な絵柄だから「陰影の法則」「3D→2Dビジョン」を獲得できたらきっと素材に負けない存在感の絵を描けるようになるんでないかな?
さらに動きに対する感度をあげたらさらに良し。
何にせよもったいないと思う。
たぶん、推しの絵師さんとかいて、理想の絵のイメージや世界観やこだわりがあって、一生懸命やってるんだとは思う。
でも、その一生懸命参考にしてるのは既に3D→2D化済のあくまで「2D絵の輪郭線の形」なんだと思う。
とことん2D志向というか。
2D絵に2D以外の情報は含まれていないと思い込んでいるというか。
その、憧れてる絵師さんの、結果としての2D絵は実は「3D→2Dビジョン」による「3D情報込みで圧縮された2D絵」であることに気づいていない。
そこに気づけたらきっと化けると思うんだよね、だからもったいない。
たぶんですね、今の絵柄でそのまま陰影バッキバキにつけたら素材に対しても負けない人物画になると思うのよ。
ただ、陰影バッキバキにつける絵は流行りではないし、陰影の法則知らないとたぶん濃く隈入れるのは怖いと思うけどね。
けど、そもそも陰影バッキバキの素材貼ってる時点で、人物だけふんわりではそりゃ霞むってものよ。
だってその素材がしっかりしてて人物押しのけて目立って見えるのはバッキバキに陰影描かれてるからだもん。
んで男性描きたいのならバッキバキの陰影とは相性いいと思うよ。
油絵みたいなコッテコテの厚塗りとか。
ちゃんと雄々しい男性を描きたいみたいだけど、それならなおのこと陰影を味方につける、かつ3D圧縮済2Dを習得した方が断然いいと思うんだけどなー。
2Dのみでいくら肩幅広く描こうと3D情報圧縮済2Dじゃないと胸板の厚みとか表現できないでしょ?
3D圧縮済2Dって陰影だけじゃなくて線でも表せるのよ。
ただ、描いてる本人の中に「3D→2D感覚」がないとそうならないけど。
線一本で魅せる達人絵師ってこれができてる。
2D上のただの一本線に3D情報詰め込んでる。
ちなみに私は達人じゃないから秀麗な一本線で3D情報が詰め込めないので泥臭ーく垢抜けなーい描き方になるのね。
まあ好きでやってるんだけど。
てなわけで、どうにもこの方のお悩みの原因はクリスタの3D人形という2D作画補助機能におんぶだっこのため3Dの概念を放棄していても2D上の形だけは綺麗に取れてしまうことだと思った。
だって3D感覚を鍛えなくても形だけなら描けるようお膳立てしてもらってるんだもん。
使わない能力は退化していくのが生き物なので3D感覚もその存在を認知して使わなければ育たないと思う。
私も元々3D→2D感覚持ちではなかったから余計そう思う。
たぶん、
「一見そんなに私の絵と変わらないレベルに見えるのに、あの絵師さんの絵にはなぜ目を奪われるんだろう」
って感じる絵師さんに、陰影の法則の概念と3D→2D感覚を持たない人は誰一人いないと思う。
逆に言えば、なんとなく自分の絵が見栄えしないとお悩みのあなたが今すぐ陰影の法則の概念と3D→2D感覚を身につけたら、ガラッと絵の印象変わると思うよ。
いやホント。マジで。