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ウーパールーパーと私の不思議な縁 5
里親募集
それから、稚ウーパールーパーたちは順調に成長していきました。
エサをよく食べ、日々大きくなっていく姿は頼もしくもあり、同時に少し困った問題も出てきました。
それは、数が多すぎるということです。
最初は小さな水槽で管理していましたが、成長するにつれて手狭になり、
分けて飼育しようにも水槽のスペースに限りがあります。
水槽を増やすとなると管理も大変になり、さすがにすべてを育てるのは難しいと判断しました。
そこで、整体院に来る患者さんたちに「ウーパールーパーの里親募集」をすることにしました。
来院した方に「よかったら飼いませんか?」と声をかけると、思いのほか興味を持つ方が多く、「可愛いですね」「育ててみたい!」という反応もありました。
最初の里親は、クライアントの会社の同僚の方でした。
会社帰りに引き取りに来て下さり、彼女に「一番丈夫な子をあげます」とセルを紹介しました。
もちろん、その時のセルは元気だったけれど、少し狂暴な一面も持っていたので、その点もちゃんと伝えました。
その後、その方はそれきりで、セルがどうなったのかはわかりません。
けれども、実際、私が里親さんを探す過程で、少しずつお知り合いの方々が整体を受けに来てくださるようにもなったんです。
それがとても良い効果を生んだというか、ウーパールーパーの話をきっかけにお互いの関係が深まることもあり、ついでに整体も受けていただけて、私の仕事にもプラスになりました。
里親探しだけではなく、人と人とのつながりが生まれる瞬間というのは、何とも言えないありがたさを感じますね。
こうして、何十匹かのウーパールーパーが新しい飼い主のもとへ旅立っていきました。
旅立った子たちは・・・
最初のうちは「癒される」「動きがのんびりしていてかわいい」と好評でした。
しかし、しばらくすると、里親になった方からの報告が少なくなってきました。
気になって聞いてみると、「実は育てられなくなってしまって…」と申し訳なさそうに話す方が多かったです。
ウーパールーパーは見た目こそ可愛らしいですが、意外と飼育が難しい生き物です。
水質管理や温度管理が必要で、特に幼体のうちは食事の管理も慎重にしなければいけません。
そのため、里親になった方の多くが「思ったより大変だった」と感じ、残念ながらうまく育てられなかったケースが多かったようです。
正直なところ、こちらとしても「もう少ししっかり飼育方法を説明しておけばよかった」と反省しました。
ウーパールーパーを迎えた方々も、決して無責任だったわけではなく、一生懸命育てようとしてくれたはずです。
しかし、やはり生き物を飼うのは簡単なことではないのだと、改めて実感しました。
それでも無事そだった子たちもいるので嬉しかったです。
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世代が分かれる
そんな出来事がありながらも、整体院の水槽では最初の4匹とその子供の世代は元気に暮らしていました。
この頃は大きい水槽2つと小さいの1つだったかな?
親子を同じ水槽に入れて様子を見ましたが、親世代(最初の4匹)は居心地悪そうに見えました。
今まで4匹大きい水槽でのんびり過ごしていたのに、チビたちがわらわら沸いてきたのでストレスがあったんでしょうね。
小さい子に噛みつくのを良く見かけたので、住処は世代別に分けることにしました。
一方は4匹だけ、もう一方は小さいのが30~40匹くらいいるカオス。
数が多いとエサにありつけなかったり、他の子に齧られてしまうのもいて、相変わらずサバイバル状態でした。
そして、彼らが初めて産卵してから1年が経った頃、またしても驚くべきことが起こりました。
ある朝、なんか水槽に黒い点が・・・・
・・・・またかい
なんと、今度は子供たちが卵を産んだのです。
「えっ、もうそんなに成長したの?」と驚きました。
ウーパールーパーは1年ほどで繁殖可能になるとは聞いていましたが、実際に目の当たりにすると信じられない気持ちでした。
まさか、また新たな命が誕生するとは思っていませんでした。
この時、ふと考えました。
「このままだと、また同じ問題が起こるのでは?」
里親募集のこと、水槽のスペースの問題、管理の負担…
考えることは山ほどありましたが、それでも新しい命を放っておくわけにはいきません。
この時は「ああ、また忙しくなるな・・・」というくらいな、達観した気持ちでした。
こうして、ウーパーたちの第3世代が誕生しました。
今回はここまで。
次回で最後です。