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ウーパールーパーと私の不思議な縁 3

色がついてくる
気がつけば、あの小さな稚魚たちはすくすくと成長していました。
最初はほとんど透明で、「これ、本当にウーパールーパーになるのかな?」なんて疑いたくなるような姿だったのですが、日に日に身体がふっくらしてきて、少しずつ色もついてきたんです。

私が迎えたのは「リューシスティック」という種類で、いわゆるピンク色の身体に赤いエラが特徴のウーパールーパーです。
最初のうちはそのピンク色も薄くて、エラもどこか頼りない感じだったのですが、日に日にその赤がぐっと鮮やかになってきました。
まるで小さな炎が水の中で揺れているみたいで、見ているだけで癒されます。

成長の過程で、ただ大きくなるだけではなく、色の変化を見守るのも飼育の楽しさなんだと実感しました。
水槽の前に立って「お、今日もちょっと濃くなってきたね」なんて独りで話しかけてる自分に気づいて、思わず笑ってしまうこともあります。

それにしても、この赤いエラ。
水の中でふわふわと揺れるたびに、不思議と心が落ち着くんですよね。
整体師としての技を磨いている私ですが、ウーパーたちの姿が一番、私の心をほぐしてくれているのかもしれません。

来院者の反応
ウーパールーパーたちがすくすくと育ち、リューシスティック特有のピンク色の身体に赤いエラが目立つようになってきた頃、ふと気づくと来院者の皆さんの間でもウーパーの存在がじわじわと認知され始めていました。

最初は「これ何ですか?」と、水槽の前で立ち止まる方がちらほら。
そのたびに「ウーパールーパーなんですよ」と説明すると、「懐かしい!昔流行ってたよね!」と懐かしむ方もいれば、「こんなにかわいかったっけ?」と驚く方も。
あの独特な顔つきと、ふわふわ揺れる赤いエラのせいでしょうか。
かわいさとちょっとした奇妙さが絶妙に混ざり合って、気づけば院内の人気者になっていました。

中には「ウパの成長が楽しみで来ました!」なんて方も現れて、整体のついでにウーパーたちの成長をチェックするのが恒例になっている方もいらっしゃいました。
リピーターの方々はもちろん、ウパ見たさに新規で来院される方まで増えてきたのは、ちょっと意外で嬉しい出来事です。

整体院に来てくださる方々の身体だけでなく、気持ちも少しでも軽くできたらと思っていたので、ウーパーたちがそのお手伝いをしてくれていたのかもしれません。
ふわふわと水の中を漂う姿を眺めていると、不思議と心もほぐれていく気がします。
私自身も含めて、ですね。

そんなこんなで、ウーパーたちは優秀なスタッフとして、売上にも貢献してくれる存在になっていました。
整体師の私もびっくりするくらいの働きぶりです。


当時の画像です。画質悪くて申し訳ないです。


個体差が出てくる
ウーパーたちがさらに成長してくると、それぞれに個性が出てきました。
大きさや動き方、エラの揺れ方まで微妙に違って見えてくると、なんだか呼び名をつけたくなってくるものです。
そこで、思いつきで名前をつけることにしました。

コジロウ、クニエ、ソーニャ、そしてミドリ。
どれも深い意味はなく、ゲームをするときによく使う名前をそのまま使っただけなのですが、不思議なことに、それぞれの個体にぴったりハマっていく気がしました。
名前を呼びながら水槽をのぞき込むと、まるで彼らが返事をしてくれているような気さえしてきます。
まあ、気のせいなんですが(笑)

そんな日々を過ごすうちに、ウーパーたちはすっかり私の存在を覚えたようです。
このころから、私が水槽に近づくと「おっ、エサの時間か?」とでも言いたげに、そわそわしだします。
そして食事を与える為にエアレーションを切ると、すぐさま反応してこちらに寄って来るようになりました。
その姿がまたかわいくて、気づけばこちらも「よし、良い子だ、たっぷり食べなさい」なんて声をかけてしまいます。
こうして懐いてくれると、ますます愛着がわいてきますね。

しかし、そんなほのぼのとした時間の一方で、小さなトラブルも発生しました。
身体が大きくなるにつれて、ウーパーたちの口も立派になり、お互いのしっぽや手足をかじるようになってしまったんです。

最初は、小さな個体がどんどんボロボロになっていくのを見て、「これはまずい」と焦りました。
慌てて弱っている個体を別の水槽に移して、様子を見ることに。
数日して水槽をのぞき込んでみると――なんと、かじられていたしっぽや手足が生えてきているじゃないですか。

ウーパールーパーに再生能力があることは知識としては知っていましたが、実際に目の当たりにすると感動ものです。
ちょっとした“生きる力”を見せてもらったようで、ウーパーたちのたくましさに思わず心を打たれました。

今回はここまで。

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