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【セミナーまとめ】人を幸せにする「かまぼこ作り」嘉藤明美さんが語る仕事の情熱と地域への思い

先日、株式会社鐘崎の嘉藤明美社長の講演を聞いてきました。宮城県仙台で笹かまぼこを作り続ける鐘崎は、今年で創業77年。地域に根付いた老舗企業の社長が語る仕事への思いや、困難を乗り越えてきた挑戦の数々に、心が熱くなりました。今回は、その講演内容から特に印象的だったエピソードをご紹介します。

「パートから社長へ」まさかのキャリアの始まり

嘉藤さんはもともとサントリーに勤めていましたが、家庭の事情で一度仕事を離れ、家族の建設業を手伝っていたそうです。そんな中、友人に頼まれて、ふとしたきっかけで鐘崎にパートとして入社。それがなんと、いつしか正社員、そして最終的には社長にまで上り詰めました!

「まさか自分が社長になるなんて」と笑う嘉藤さん。でも、その道のりは決して平坦ではなく、働きながら親の介護や子育て、家族の支えも並行して行っていたそうです。嘉藤さんの話を聞いていると、一歩一歩着実に積み上げた努力が、今の彼女を支えているのだと感じました。

震災後の復興に向けて「ありがとう」の力

2011年の東日本大震災。鐘崎の工場も被害を受け、多くの店舗が壊れましたが、社員たちは一丸となって復興に取り組み、なんと数週間後には営業を再開しました。そのとき、地域の方々から「再開してくれてありがとう」と涙ながらに声をかけられたことが、嘉藤さんの心に深く残ったそうです。

「お客様から『ありがとう』を言ってもらえるなんて思ってもいませんでした。その言葉がどれだけ私たちの力になったことか。」この経験を通じて、笹かまぼこが地域にとって特別な存在であることを再認識し、地域のためにもっと貢献したいと感じたそうです。

健康に優しい「引き算のものづくり」
鐘崎では、無添加や低カロリーを目指した「引き算のものづくり」を行っています。嘉藤さんが開発に参加したきっかけは、お客様からの手紙。「卵アレルギーの子どもでも食べられるかまぼこが欲しい」という声に応え、卵白を使わないかまぼこを商品化しました。

「お客様が毎日食べても安心できる、体に優しいかまぼこを作りたいんです。」

添加物を減らし、素材本来の味わいを生かすことにこだわる嘉藤さん。そこには、「本当に体に良いものを届けたい」という思いが込められています。

「幸せ作り」会社の理念と社員の笑顔

鐘崎が掲げるスローガンには、「お客様が笑顔になるかまぼこ作り」「社員が幸せになる職場作り」「地域が元気になる会社作り」の3つがあります。嘉藤さんは、社員が生き生きと働ける職場を目指し、社員教育や社内の改革に力を入れています。

「ディズニーランドのように、社員が自分で考えて行動できる環境を作りたい。」

社員に自主性を持たせ、楽しく仕事ができるような環境づくりをしているのだそうです。社員が笑顔で働けば、その笑顔が必ずお客様にも伝わるという考えに、共感しました。

食品業界の責任と「人の命を預かる仕事」

2014年に、鐘崎で食品事故が発生。賞味期限の記載ミスにより、多くの取引先やお客様に謝罪をする経験をしました。その時、取引先から言われた「食品を作るということは、人の命を預かるということ」という言葉が、嘉藤さんの心に刺さったそうです。

「食品を提供する責任の重さを、改めて痛感しました。」

この経験をきっかけに、鐘崎は食品安全マネジメントシステムを導入し、より徹底した品質管理に取り組んでいます。

毎朝の日課「お客様からの手紙」に感謝を込めて

嘉藤さんは、毎朝出勤すると、まずお客様からの手紙に目を通すことを日課にしているそうです。震災時には、2万通を超える励ましの手紙が届き、社員と共にその手紙を見ながら仕事の意義を確認したと言います。

「毎日お客様からの手紙が届くことが、私たちにとっての宝物です。」

お客様との絆を大切にし、感謝の気持ちを忘れずに働く姿勢に、私たちも学ぶことが多くありました。

「幸せ作り」の未来へ

嘉藤さんの講演を聞いていると、笹かまぼこはただの食べ物ではなく、地域や人を幸せにする「幸せ作り」の一環であることが伝わってきます。社員とお客様、地域の人々と共に歩む鐘崎の姿勢に、多くの人が共感し、応援したくなる理由が分かりました。

嘉藤さんの言葉には、困難を乗り越えてきた強さと、温かい思いやりが感じられます。これからも地域の「幸せ作り」を支え続ける鐘崎の未来に、心から期待したいと思います。

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