見出し画像

No.9 一級建築士の上位資格

今回は、一級建築士の上位資格について書いていきます。

1.構造関係

①構造設計一級建築士

【資格概要】

構造設計一級建築士とは、平成18年12月改正建築士法により創設された資格です。一定規模以上の建築物の構造設計については、構造設計一級建築士が自ら設計を行うか若しくは構造設計一級建築士に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられています。

【受験資格】

「一級建築士」として5年以上の構造設計の業務経験を有する者。ただし、業務経験には構造設計の業務のほか、次の業務内容も含まれます。
 (1)構造に関する工事監理の業務
 (2)建築確認の構造に関する審査及びその補助業務
 (3)構造計算適合性判定及びその補助業務
 
 なお、構造に関する工事監理の補助業務及び構造設計の補助業務については、平成25年9月まで携わっていたものは業務経験として認められますが、平成25年10月以降に携わったものは業務経験として認められません。

②構造計算適合性判定資格

【資格概要】

建築基準法の一部を改正する法律(平成27年6月1日施行)により、構造計算適合性判定は建築主事等の建築確認から独立し、建築主が別途指定構造計算適合性判定機関に申請する仕組みになりました。制度改正に伴い、本協会は建築基準法第5条の4の規定により実施されるようになった資格です。

【受験資格】

受検資格者は、一級建築士試験に合格した者で、以下の業務に関して、合計5年以上の実務の経験を有する者に限ります。
(1) 法第6条の3第1項の構造計算適合性判定の業務
(2) 建築士法(昭和25年法律第202号)第2条第7項に規定する構造設計の業務
(3) 法第6条第4項若しくは法第18条第3項に規定する審査又は法第6条の2第1項の規定による確認のための審査の業務(法第20条第1項に規定する基準に適合するかどうかの審査の業務を含むものに限る。)
(4) 建築物の構造の安全上の観点からする審査の業務(法第6条の3第1項の構造計算適合性判定の業務を除く。)であって国土交通大臣が同項の構造計算適合性判定の業務と同等以上の知識及び能力を要すると認めたもの(平成27年国土交通省告示第179号として規定)

※構造設計一級建築士と異なり、実務経験の5年は一級建築士取得前の期間も含めても良いです。

※この資格は受験者が少ないため、3年に1度しかありません。2015年、2018年に行われたので、次回予定は2021年です。

2.行政関係

①建築基準適合判定資格者

【資格概要】

建築物や建築設備・工作物等に関する建築確認申請(及び計画通知)における建築計画等が、建築基準法や建築基準関係規定に適合しているか否かの確認や検査等を行う資格者のこと。

【受験資格】

受検有資格者は、一級建築士試験に合格した者で、建築行政又は建築基準法第 77 条の 18 第1項の確認検査の業務その他これに類する業務で次に掲げるもののいずれかに関して、2年以上の実務の経験を有するものに限ります。
(1) 建築審査会の委員として行う業務
(2) 学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)による大学(短期大学を除く。)の学部、専攻科又は大学院において教授又は准教授として建築に関する教育又は研究を行う業務
(3) 建築物の敷地、構造及び建築設備の安全上、防火上又は衛生上の観点からする審査又は検査の業務(建築基準法第 77 条の 18 第1項の確認検査の業務を除く。)であって国土交通大臣が確認検査の業務と同等以上の知識及び能力を要すると認めたもの(平成 11 年6月3日建設省告示第 1314 号(以下単に「告示」という。)として規定)

②省エネ適合判定資格者

【資格概要】

建築物等に関する建築確認申請(及び計画通知)における建築計画等が、2017(平成 29)年 4 ⽉に施⾏された建築物省エネ法の建築物エネルギー消費基準に適合しているか否かの確認を行う資格者のこと。

【受験資格】

以下の①~③のいずれかに該当する方に限ります。
① 建築基準法第 5 条第 1 項の建築基準適合判定資格者検定に合格した者
② 建築士法(昭和 25 年法律第 202 号)第 2 条第 2 項に規定する一級建築士
③ 建築士法第 2 条第 5 項に規定する建築設備士

2021年4月の法令改正に伴い、とても需要の増える資格だと思われます。

③住宅性能評価員

【資格概要】

住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に基づき、登録住宅性能評価機関(評価機関)で、住宅性能評価を行う資格者のこと。

【受験資格】

一級建築士・二級建築士・木造建築士、又は建築基準適合判定資格者検定合格者(建築士試験の合格者で、登録を行っていない方も受講できます。)

3.設備関係

①設備設計一級建築士

【資格概要】

平成18年12月改正建築士法により、設備設計一級建築士制度が創設され、一定規模(階数3以上かつ床面積の合計5,000平方メートル超)の建築物の設備設計については、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか若しくは設備設計一級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられています。

【受験資格】

「一級建築士」として5年以上の設備設計の業務経験を有する者。ただし、業務経験には設備設計の業務のほか、次の業務内容も含まれます。
 (1)建築設備に関する工事監理の業務
 (2)消防同意に関する業務
 (3)「建築設備士」として、建築設備に関する業務(一級建築士となる前に行った建築設備に関する業務も含まれる)
 (4)建築確認の建築設備に関する審査及びその補助業務
 ★上記(3)の場合、所定の業務経験を有する場合、講義及び修了考査のうち、「建築設備に関する科目」が免除されます。

 なお、建築設備に関する工事監理の補助業務及び設備設計の補助業務については、平成25年9月まで携わっていたものは業務経験として認められますが、平成25年10月以降に携わったものは業務経験として認められません。

以上が、一級建築士の上位資格、一級建築士+αの経験等で受験することができる資格です。つまり、受験者はほぼ全員が一級建築士。一級建築士を取得したあともまだまだ勉強が必要です。

ちなみに自分は今後受験資格を得たら、構造計算適合性判定資格、構造設計一級建築士を受験する予定です。

これから一級建築士を受ける方、一級建築士に合格してさらに一歩上を目指すという方の参考になればと思います。

いいなと思ったら応援しよう!