【長野県泰阜村】若葉のふるさと協力隊2024 活動レポート
4泊5日の農山村ボランティア「若葉のふるさと協力隊」
今年も8月から11月にかけて日本各地で開催しています!
今回は、8月に実施された長野県泰阜村からです。
5日間の様子をコーディネート役を務めた31期緑のふるさと協力隊・大原さんにレポートしてもらいました。
●日 程:2024年8月29日(木)~ 9月2日(月) 4泊5日
●参加人数:3名
1日目 8月29日(木)
伊賀良駅で集合し、買い出しをしたあと役場へ向かいました。道中自己紹介や参加したきっかけなどを聞きながら進みましたが、まだ緊張している様子で車内は静かでした。
役場でのあいさつの後、栃城へ向かいました。道の狭さや自然の多さに驚いている様子でした。道中、雨の影響もあってか落石や倒木がいつもより多く、車を止めて皆で降りて岩や木をどけたり、道路にはみ出してきている木を切って運んだりしました。最初に一緒にしたことが道路整備だったことは想定外でしたが、共同作業を通して自然とコミュニケーションが増え、到着する頃には少し緊張もほぐれた様子でした。私自身は、自然に囲まれていることや、雨の後の栃城線が岩だらけなことに慣れてしまってることに気づき、若葉の新鮮なリアクション・感想を通して泰阜村を再発見し、感動しなおす場面がありました。
栃城地区・木下千代さん宅にて、アマゴの塩焼きを食べ、五平餅は若葉隊員と一緒に炭で焼く体験をし、焼き立てを食べました。3名とも五平餅は初めて食べるということで、千代さんの五平餅の特徴や美味しい焼き方、五平餅という名前の由来などを聞きながら初めての五平餅焼き体験を楽しんでいる様子でした。私が泰阜村に来てから大好きになった泰阜村の郷土料理、五平餅を美味しい美味しいと言って食べているのを見て私まで嬉しかったです。
2日目 8月30日(金)
午前
栃城地区・木下藤恒(ふじつね)さんの熊檻の見回りに同行し、見学しながらお話を伺いました。熊をはちみつでおびきよせて捕ることや、栃城の山に熊の巣穴があることなどを教えて頂きました。その後、藤恒さんが営まれているアマゴの養殖場を見学しました。アマゴの性質や、養殖業を開業した当時のお話など、私も初めて聞く話がたくさんありました。若葉の3名とも質問をしたりしながら熱心にお話を聞いていました。栃城地区生活改善センターにて昭和30年代に栃城地区を舞台にして撮影された記録映画「五つの峠」を鑑賞しました。16歳の藤恒さんも映っていて、そのころの暮らしや撮影の裏話なども聞きながらの鑑賞でとても面白かったです。
午後
左京地区 ジビエ加工施設「もみじや」にて、オーナーの井野さん、地域おこし協力隊の横山さん、小泉さんのご指導の下、鹿の解体・精肉の体験をしました。ナイフで皮をはいだり、骨から肉を切り離す作業を体験させていただきました。また、ちょうど見学を始めたころにシカがかかったと連絡があり、急遽シカの解体の一部始終を見せていただけることになりました。捕ってすぐのシカだったので刃物を入れると血や髄液がたくさん出てきて悲鳴が上がりました。若葉の河上さんは、「見た目のインパクトが強く衝撃的ではありながらも、命を頂くことについて考えるいい機会だった」と話してくれました。精肉体験をしてパック詰めしたお肉は宿泊先のポタジェハウス三耕地に持ち帰り、もみじやで教わった調理法でカレーにして美味しくいただきました。
私は若葉前日に緊張と不安でなかなか寝付けなかったり若葉の前半二日がハードスケジュールだったこともあり、ポタジェハウスに着いた時には体力の限界で、ご飯を作って食べるのもやっとというくらいでした。若葉隊員たちも疲れが出てきている印象だったのでみんなで声をかけながら夕食を作りました。疲れてお腹が空いていた分、時間をかけて作ったカレーは格別のおいしさでした。
3日目 8月31日(土)
三耕地での流しそうめん大会が中止となったため、ポタジェハウスでそうめんと付け合わせを作りました。流しそうめんを一緒にする予定だった宮下さんが顔を出してトマトを差し入れてくださったのでお昼にさっそく頂きました。30日に持ち帰ったシカ肉や、宮下さんに頂いたトマトも使って、泰阜村産の食材を楽しみました。
昼食後はここまでの2日間を振り返り、どんなことを感じたかや印象に残ったことを共有して、活動報告会に向けての準備を始めました。活動や共同調理などを通してかなり打ち解けてきて、私が抜けても3人で順調に発表準備を進めていて安心しました。
4日目 9月1日(日)
大畑地区・早野玲子さん宅を訪ねました。玲子さんが「こんな機会があると、遠いところの新しい人と出会うことが出来るから嬉しいよ」と話されていて、若葉を連れてここに来れてよかったと思いました。ついたそばからお茶やお菓子を出していただき一服しながら自己紹介や若葉のこれまでの活動の話をした後、藁草履作りに移りました。本来は、農業に興味がある参加者もいたため早野さんの畑を見せてもらって農作業のお手伝いをする予定でしたが、連日の雨で畑が柔らかくなってしまって状態が悪いので中止になりました。藁草履作りでは玲子さんに直接作り方を教えて頂き、若葉一同苦戦しながらも熱心に制作していました。玲子さんは草履作りを簡単にやってのけていましたが、初めてだと難しかったです。
一つ目がある程度できたところでいったん一休みして五平餅を作り始めました。餅は炊いたご飯をつぶすところから、たれはクルミをすりつぶすところから、全て若葉と私とで一から作って、外で焼きました。目をキラキラさせながら五平餅作りをしたりいい焼き加減を目指して真剣に焼いている若葉隊員の姿が印象的でした。玲子さんも栃城の千代さんの五平餅を知っていて、みんなで「形が違うね、タレの味も違うかも」などと言いながら和気あいあいと五平餅作りを楽しみました。若葉隊員たちが、千代さんや玲子さんから聞いたお話と、若葉隊員たちが自ら気づいたことを絡めて、「各家庭の五平餅の違いはどう生まれるのか」を議論しているのを見たときは「計画を立てるときに期待したことが実際に起きている」と嬉しくなりました。五平餅と、玲子さんの手作り料理を食べた後は作業小屋に戻り藁草履の続きを作りました。1つ目より2つ目は皆上手にできていて、お互いに教え合いながら完成させました。
5日目 9月2日(月)
平島田地区 泰阜村役場にて、若葉のふるさと協力隊の活動報告会を行いました。短い準備期間ではありながら若葉3人で準備してきた発表は3人それぞれの色が出ているなと感じました。報告会直前までは緊張していた若葉隊員たちでしたが、発表が始まるといきいきと話していて、同じ5日間を過ごした私が聞いても興味深い発表でした。新鮮な気持ちで泰阜村を堪能した3人の言葉には、それぞれの感動が詰まっていて、私も負けてはいられないなと、残りの半年をより一層楽しんで駆け抜けたい気持ちになりました。
【緑のふるさと協力隊・大原さんの感想】
「若葉のふるさと協力隊」を通して学んだこと・感じたこと
これまでは「頼る」と「甘える」の線引きが分からず「まだ頑張れるのでは、これは甘えなんじゃないか」と 思ってしまってなかなか人に頼れなかったけれど、若葉の準備を通して頼ることが少し上手になったような気がした。私が主体となってプログラムを考えながら、村のことで分からないことは自分一人で考えても何も出てこないのですぐに村づくりのお二人に聞くようにするなど、「自分でできる範囲/できない範囲」を見極めて、 「頼る」と「頑張る」を切り替えることが少しは上手になったと思います。
体験プログラムの裏にはたくさんの人の綿密な準備が隠れているのだと感じました。これまで大学のフィールドワークや様々なインターンに参加してきて、表立って動いている人のことしか見えていなかったけれど、これからもしそういうプログラムに参加することがあれば、今回裏方として動いた経験をもとに、違った視点で見ることが出来るかもしれないと思いました。
「若葉のふるさと協力隊」を振り返って
約2週間の準備中、プログラムを考えたり、各関係者に電話をかけて準備をしたりするのが慣れない仕事ということもありかなりストレスでした。また、私がメインで、コーディネーターとして動いて、役場の方に指示を出すような場面もあり、先頭に立って人を引っ張るようなことがあまり得意ではないのでそれもまたストレスでした。あまりにもやることが多かったりストレスが多かったりで、若葉が始まるまでは「とにかく早く始まって早く終わってほしい」としか思えなかったし、村づくりの山崎さん、土岐さんにずっと弱音を吐いてしまっていました。自分でやると決めたことなのに、弱音ばっかりだったのは良くなかったと反省しています。
若葉の準備期間はとても頭を使って疲れていて前日は緊張とプレッシャーもありなかなか寝付けず、睡眠不足と疲労と緊張で体力的にも精神的にもぎりぎりでした。村づくりのお二人がついていてくれはするものの、実際に進行するのは私なので、常に気を張っていました。自分も一緒になって体験しながら、一歩引いて冷静になって若葉の3名が楽しめているかに常にアンテナを張って、とても神経を使いましたが、美味しかった、楽しかったと感想を伝えてくれるのが励みになって、力になりました。
悪天候で若葉初日に流しそうめん大会の中止が決まり、残念に思いながらも次の案を探すしかなく、若葉が到着して活動が始まってしまってから、土岐さんと相談して別の案を決めました。ジビエ体験をしている裏で宮下さんに連絡を取ったり、忙しかったです。これが「コーディネーターである」ということなんだなと思いました。
2日目の夜千代さんに、無事に次の拠点に着いた報告と初日のお礼のために電話をかけたところ、「あなたも初対面の若者を3人連れて5日間も活動して気を張って疲れるだろうから、役場の人や訪ねる先の村民にうまく頼って、疲れをためないようにしなさいよ」とねぎらいの言葉をかけていただき、母のような優しさで見守ってくれているように感じてとても嬉しくなったし、要らない力が抜けてほっとしました。村づくりの土岐さんも、若葉隊員がいないところでねぎらいや応援の言葉をかけてくださって、肩の力を抜くことができました。緑の協力隊は私一人だけだけれど、その後ろには泰阜村中の様々な人のやさしさや応援があるんだと再確認しました。
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