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若葉のふるさと協力隊2024 参加者感想文【前編】

2024年度全国11か所で開催した、4泊5日の農山村ボランティア「若葉のふるさと協力隊」。

参加した方々に感想文を書いていただいたので、その一部をこちらでご紹介します。




①「『個』の力の大きさ」 活動先:高知県大川村

私はこれまでの人生で人口約2000人の町で暮らした経験がありますが、そこでよく言われていたのは、「都市部では何百万分の一として個人が埋もれる一方で、この町では二千分の一という顔が見える関係性の中で動くことができる」ということでした。

人口350人程度という大川村に来て様々な方と交流することで、この言葉をより強く実感しました。特に、和田さんが「都会だと自分の能力が上手く発揮できない感覚があったけれど、大川なら小さくても自分の能力を少しずつ組み合わせて出していける」と移住の理由について語られていたことが、この言葉と重なり合いました。

帰宅して改めて大川村について考えると、この場所は「個」の力が大きく影響するところだと感じます。

そのように感じた理由を2点挙げます。
1点目は、村には上水道がないため、山からの湧水を直接生活用水として利用しているという点です。大雨等で取水口が詰まると自分で掃除をしていると伺い、いかに普段の生活で私たちがインフラ整備を他人に依拠しているかを感じました。さらに、湧水を直接使うということは、自然環境を少しでも汚染すると自らの生活に直結するということでもあり、「自然を大事に」という言葉の重さの違いを感じました。

2点目は、川上さんご夫婦が自ら植樹してさくらまつりを立ち上げたことをはじめ、イベントにおける個人の影響力が大きい点です。大川村は他の市町村に比べると人工的な観光資源が少ない環境ですが、ミニマムな場所であっても個人の行動次第で観光資源を生み出すことができるという可能性を感じました。

総括すると、個人ができる範囲を組み合わせ、重ねた結果、今の大川村が成立しているということが浮かびあがってきました。都市部に住むとどうしても人々を均一化したりカテゴリー化したりして考えたくなりますが、どんな場所も、様々な背景を持つ個人が集まって今のまちを形作っていることを忘れないように生活したいと思います。



②「人がつながる町 小国」 活動先:山形県小国町

小国町での3泊4日(※1)の農山村体験を一言で表すと、「つながりの町」です。
(※1 プログラムは5日間でしたが、参加者の方は所用のため、4日間のみ参加しています)

国内の自然豊かな農山村での暮らしを体験してみたかったこと、東北地方 特に日本海側の地域を訪れたことがなかったことから、小国町での若葉のふるさと協力隊に応募しました。
あいにく雨に見舞われた4日間でしたが、予定変更があったからこそ小国町の人の温かさ・つながりを知ることができたのではないかと思います。

民宿 奥川入では、横山さんご家族と高校でALTをされていたマリーさんご家族にお会いしました。横山さんご家族とマリーさんは長年親交があるとのことで、楽しくお話されていた姿が印象に残っています。

自身の地元では、ALTの先生と地域の人々が交流するという機会はなく、また先生同士のコミュニケーションも希薄でした。他方で、小国町では地元の方も町外から来た講師の方も皆が“小国の人”として生きていると感じました。

これは、小国町の人が外から来た人を温かく迎え入れていること、そして小国町に来た人も町に貢献しようと小国の一員として活動されていることの両者があって成り立っているのではないかと考えました。

実際に、地域おこし協力隊の方々と夕食をご一緒したときに、隊員同士で地方創生・小国町について熱く語り合っていた様子にも表れていました。決して誇張しているわけではなく、自分が行っている活動が町に貢献できているのか、今後どのような活動を行っていきたいのか等、小国町に真摯に向き合われています。

核家族世帯、共働き世帯の増加に伴い、地域コミュニティが希薄になる中、住んでいる地域のことを深く・熱く考える若者がいる自治体は多くありません。また、「地域のことは地域で考える」「住民自治が行える」自治体が理想ではありますが、都市部では住民同士のつながりや帰属意識も薄れつつあるのが現状です。

小国町でも少子高齢化、過疎化等 日本全国に降りかかる課題を抱えていますが、自分ごと(地域ごと)として考えている小国町の姿は理想的だと考えます。社会教育を学んでいる身として、小国町の姿を参考に地域づくりについて考えていきたいと思います。



③「群馬県上野村への遊学」 活動先:群馬県上野村

初日に下仁田駅に向かい、集合して暫く活動するまでは農作業ボランティアという気持ちでいました。
しかし5日間、この村の隅々まで案内をして頂き、単なるボランティアではなく、留学に近いように感じました。そのため、国内外で故郷を離れる意で使用される「遊学」という言葉をタイトルに付けました。

1日目には上野村の集落や昔から伝わる伝説等を教えて頂き、村内を少し周りました。夜は協力隊の方が役場の方たち数人に声をかけて下さり、歓迎会を開いて頂きました。多くの人で繁盛していたレストランは、品一つひとつが大盛りでした。東京では中々見ない、必ず満腹になるであろう量には大変驚きました。

2日目はサツマイモの農業体験をしました。陽が強く差し込んでいる中、サツマイモの蔦を鎌で刈り、備中鍬で掘り起こす作業は、足腰や腕の強さと体力が必要で、小まめに休憩をとりながら行いましたがすぐに疲れてしまいました。
この作業を通じて、農業を営む人が高齢化し、若い人が減少している深刻さを直に考える機会になりました。ただ日本の食が好きだからという理由のみで、農作業の体験を楽しみに申し込みしたことがきっかけでしたが、思うよりも重大な問題であることを再認識いたしました。

3日目には御巣鷹山に登り、その後の郷土料理体験では、他大学のゼミ研修で白井に足を運んだ学生たちと夕食をとりました。そこで協力隊の方の凄さ、強みという部分をまた感じる機会になりました。

4日目に訪れた不二洞は、人工的な部分はありましたが、長い間出入りのしやすい環境を整え、観光客や地元民を呼び込む取組に恐れ入る気持ちでした。
また、グラウンドゴルフされている団体の中にご一緒させて頂きました。私の祖母と同じ年齢の方もいらっしゃいましたが、皆さんが活気にあふれていて、生き生きとされていたのが印象的でした。

協力隊の方のおかげで、濃く詰まった5日間になりました。

しかし、反省点として、明確な目標があやふやだったことから、自分はこの期間であまり成長できなかったということも痛感しています。
だからこそ活動が終了した今、活動中にかけて頂いた言葉を大切にし、活かしたいと考えています。またこの活動を通して、定まっていなかった自分のやりたい事の方向性が見えたと感じています。

ご協力下さった方々に感謝申し上げます。この度は本当にありがとうございました。



④『泰阜村から学んだこと』 活動先:長野県泰阜村

 私は8月29日から9月2日までの5日間、長野県の泰阜村に滞在しましたが、この活動を通して、「泰阜村のような場所はこれから先も誰かに必要とされ続けていくのだろう」と思いました。

 泰阜村に滞在していた1,2日目は栃城という地区で活動を行っていたのですが、泰阜村の中心から栃城に向かうまでの細い道のりや2日目の熊檻を見学するために通った道は、台風が近く天気が不安定であるということもあり、沢山の角が尖った石や折れた木が道に転がっていたり、車のすぐ右は崖で、一歩間違えれば落ちてしまう可能性がある道であったりと、東京にはない初めてだらけの経験をしました。そんな経験を経て、村の方々の逞しさを感じるとともに、都市のような「自然<人間」といった自然を感じずに情報を受け続ける状況とは真逆の「自然>人間」という状況にワクワクする自分がいました。

 また、2,3,4日目に過ごした三耕地では人のやさしさに沢山触れ、自然と笑顔になる素敵な時間を過ごしました。泰阜村の村民の方々はオープンマインドの方ばかりで、快く私達「若葉のふるさと協力隊」を受け入れてくださり、ご自身のこれまでのお話も沢山聞かせてくださいました。数日の活動を通して、オープンマインドの人が多いのは自然の中で暮らすことの大変さをそれぞれが理解しており、村全体で協力しようという気持ちが根付いているからなのだろうと思いました。

 この5日間を通して、私は泰阜村がとても好きになったと共に、これまでの都会での暮らしでは感じない気づきや感情を沢山感じることができたのではないかと思います。そして、都会には都会の良さがあり、それを好む人もいれば、泰阜村のような環境を好む人もこれから先も存在し続けると思いました。

 私が今回若葉のふるさと協力隊に参加した動機は、日本の農業を実際に体験してみたいというものだったのですが、この5日間を通してそれ以上のことを感じることができました。


南信州新聞9月4日号に掲載されました

おまけ(事務局より)

農山村の地域づくりに取り組むプログラム『緑のふるさと協力隊』の第32期(2025年度)隊員の二次募集が始まっています。(2025年1月15日(水)まで)

『緑のふるさと協力隊』は、農山村の暮らしや生き方に興味がある若者と、地域を元気にしたい農山村を結ぶ1年間のボランティアプログラムです。来期で継続32年目、OBOGは全国に850人以上います。総務省が行っている「地域おこし協力隊」のモデル事業であることはあまり知られていません。あなたが変わる一年間、そんな"1年"をぜひ過ごしてませんか?

☆申し込み方法や資料請求など、詳しくは下記ホームページまで☆
今期よりオンラインでの申込も受付しています。まずは、こちらからお問い合わせください。

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