『君の名前で僕を呼んで』好きという感情に理由なんていらない【映画コラム】
舞台は美しい北イタリア。17歳のエリオとエリオの父の仕事の手伝いでやってきた24歳のオリヴァー。ふたりがいるその場所は、まるで、用意された着せかえ本から、エリオとオリヴァーをひとつずつ綺麗に切りとって天才画家がかきあげた発色の良い風景画のキャンバスに、そーっと置いたみたい。
だって、空は嘘みたいな青色で、ヴィーナスが優しく吹きかける息みたいに、風が心地よく流れている。神々しい木々には、絵の具で塗りつぶしたみたいなオレンジ色のアプリコット。いい塩梅に古びたおっきな屋敷。人のぬ