Book: 檸檬
久しぶりにこの本を読み直した
10代の頃に読んだ時
なぜレモンなんだろう
なぜたった1つのレモンが
彼を解放したのだろう
釈然とせず何か その檸檬が
自分の記憶のどこかにとどまっていた
今 読み返すと
彼の中に巣食う胸の塊
おはじきや 何か
冷たく無機質なものへの愛着
自分が好きだった画集を
狂うように見返しながら
何の興味も持てず塔のよう 積み重ねる
ネオンの輝く街から隠れるように暗い 果物店
でもそこに並ぶ 瑞々しい 果物達
どうしてその頂点のような檸檬
それが 爆弾となって
好きだけど 得られなかった世の塔を
清々しい 塊で消してくれるのだ
この名作は
時に読めば読むほど
また新たな視点を与えてくれるだろうな