新型コロナで「介護崩壊」?!〜現場のリアル〜
「もうコロナの話題飽きたわ〜」
朝の情報番組を見て、ダイニングでトーストをかじりながらため息まじりに呟いたのは、小学校休校中の娘だ。
学校も習い事もなく、さらに大好きなディズニーランドにも行けないことで、不満はかなり溜まっている。
そりゃ、ママだって飽きたさ!
ディズニーランドも行きたいさ!
毎日毎日コロナ対策のために、新聞やメールをチェックし、通知。
介護認定の延長に係る書類など、今まで経験のない業務に追われている。
そんなことを子どもに言っても仕方ない。
「早く収束してほしいね〜」などと適当に返事をして、パジャマ姿の娘を背に、仕事に向かった。
コロナウイルスの影響で、1番問題視されているのは、「医療崩壊」だ。
これは言うまでもない。
他にも、教育崩壊や、経済崩壊、など色んな言葉が飛び交っている。
中でも、私が最も心配しているのは、「介護崩壊」だ。
介護保険に係る仕事をしているので、このことに関してはかなり深刻だ。
実際に、周りでは、「デイサービスを休んでいる」や、「デイからショートステイに切り替えた」など、対応はさまざまだ。
県内で施設内での感染も報告されており、現場には緊張感が漂っている。
感染していなくても、施設自体が閉所されてしまうと、ADLの低下や家族への介護負担が考えられる。
わたしが働く町では、閉所にまでは至らず、細心の注意をはかりながら、時間短縮などしながら営業を続けている。
そんな中、1番相談が多いのは、「新規での利用が受け入れてもらえない」ことだ。
新規申請で、サービスを利用しようとしても、殆どの場合、断られる。
先日も、認知症で徘徊があり、施設に入れたいと考えているが、この状況で受け入れられるのか....と相談があった。
とりあえず新規申請し、ケアマネを決め、調査も行った。
すると、新規でも受け入れ可能な施設があったのだ。
行政でも、施設の空き状況や、新規の受け入れの有無などを把握していないのが現実だ。
今は、インターネット等で簡単に検索できる時代。
諦める前に、一度問い合わせてみるのも良いだろう。
また、利用の仕方が分からなければ、市町村の「地域包括支援センター」に相談すると良い。
何かしら、良い方法があるかもしれない。
今、介護のことで困っている人がたくさんいる。
まずは1人で悩まず、誰かに相談してもらいたい。
私たちも、これから、引きこもり生活をしている高齢者に対して、どのようなアプローチをしていくかが課題だ。
ここで1人で考えるのではなく、みんなの知恵を振り絞り、要介護者を増やさないよう、全力を尽くしたい。
そんな熱い思いで帰宅すると、
パジャマ姿の娘が、朝と同じ場所で、同じ角度で、同じ姿勢で座ってテレビを見ていた。
この家だけ、時が止まっているのかもしれない。
娘の「生活リズム崩壊」が、我が家の課題だ。