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メンメンと写真さんぽ
私とカメラ
幼いころから父の一眼レフやデジカメで写真を撮る習慣はあった。だが、成長しスマホを手にするようになってから、カメラを手にする機会は全くと言ってよいほど無くなった。
そんな時、博識な知人からカメラを勧められた。ちょうど時間のあるときだったのと、知人のプレゼン力もあり流れで購入したのが始まりだった。
OM-D E-M5 Mark III
勧められたまま購入した、例のカメラがこちら。
殆どの写真は付属している14-150mm II レンズキットで撮影している。
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メンフクロウのメンメン
ところで、鷹匠という職業をご存じだろうか。鷹匠とは、鷹を訓練して、狩りをする人間の総称である。
一年前、私の友人が山形の鷹匠に弟子入りした。学校を卒業したら、山に入りしばらく修行をするらしい。
卒業するまでは実家で訓練を続けるため、それまでは一匹のフクロウ──メンフクロウのメンメン──が相棒としてそばにいる。
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私がカメラを好きになったのは、このメンメンの存在が大きい。
訓練を手伝うついでに1~2枚、などとメンメンを撮影するうちに、カメラで被写体を追うことの難しさと楽しさを知った。
そんなメンメンだが、普段は近所の公園で訓練をしている。
今回は気分転換と慣らし(新しい環境へ慣らすための訓練)を兼ね、かねてより気になっていた成田山公園へ赴くことにした。
電車に揺られるメンメン
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ところで、フクロウの電車移動というと、どのようなものを想像するだろうか。
私はてっきり鳥専用のケース(所謂鳥かご)のようなものを想像していたが、実際のところはイヌネコと同じキャリーケースも用いられるらしい。
イヌネコと違うのは、周囲の環境に驚かないよう段ボールで窓が塞がれているところだ。
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成田山公園へ
爽やかな秋晴れに迎えられ、早速目的地である成田山へ向かう。
成田山公園に近づくにつれ、新勝寺から線香の香りが漂ってくる。
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据え回し
公園の中に丁度良い広場を発見。飛ばす前に、周囲の環境に慣れさせるため少し据え回しを行う。
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訓練
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メンメン然り、鷹匠が狩りを共にする彼らは私たちが想像する「ペット」とは違う。
人の下で生きるのではなく、人と共に生きる「相棒」なのだそうだ。
狩りの訓練では、刺激(笛の音や人の掛け声)を受けた後に肉を食べられる、というふうに覚えさせることで、実際の狩りでも、獲物を取った後に安定して鷹匠の下に戻って来るよう、体に染み込ませる。
まずは体重のチェック。僅か数十グラムの違いも、体を触れば分かるらしい。
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体重が適量減っていることを確認して、飛ばす。
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掛け声に反応してメンメンが飛び立つ。訓練の成果もあり、数か月前と比べて格段に反応が良くなっている。
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友人がリュックの底に一日放置したウズラの肉を入れて訓練に来たときは、卒倒しそうになった。
調子が良いので、距離を広げて何度も飛ばす。
奥から手前の撮影はC-AF+TR・プロキャプチャー(L)、横からの撮影はM・静音連写(H)を使っている。
カメラの楽しさを身をもって実感したのは、こうしたメンメンの姿を捉え始めたときだった。カメラを持ち始めたばかりの私でも、メンメンの美しい翼をこうして収められるというのは、大きな魅力だった。
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メンメンが山形へ飛び立つまでに、もっと写真の技術を上げたいものだ。
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獲物で腹が満たされると、メンメンは来なくなる。大抵の場合、それが訓練終了の合図だ。
人の食事
人も腹が減ったので軽食を取ることに。
公園内を散策していると、素敵なお店を発見。
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公園の様子
池には鮮やかな鯉、鴨、亀など様々な生物がいた。癒しを求めて休憩するには丁度良い場所だ。
ただ、鳩はメンメンの存在を感じ取るなり一斉に距離を取っていた。
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帰路
一通り楽しんだのち、帰路へ。
人間はもちろんのこと、メンメンにとっても楽しい散歩となったようだ。(終始、公園の木に留まろうと羽を広げていた。)
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メンメンの訓練はこれだけではない。
人の腕に慣れるための据え回しはもちろん、疑似餌を使った訓練や、低所から高所へのジャンプアップ(人でいう筋トレ)など、日々様々な訓練を行っている。
成田駅に到着。メンメンにはゲージに入ってもらい、今日の訓練は終了。
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友人とメンメン
クマタカと共に狩りをする技の、唯一の継承者が友人らしい。
数十年後、今度は友人が弟子を取る番が来るのだろうか。その瞬間にもシャッターが押せたら私は嬉しい。
なんにせよ、メンメンが教えてくれた写真の魅力を、これからも存分に楽しもうと思う。
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