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C104の同人誌感想集(漫画イラスト編1)

※今回ちょっと疲れ気味なので茶番すくなめ

お久しぶりの方はお久しぶりです。あおきみどろです。
2024年の第104回同人誌ファイト全国大会こと、C104にサークル側で参加してきました。(来て下さった方やサポートしていただいた方、応援してくれた方、ほんとうにありがとうございました。キュンだぜ……)

体力、財力、時間の制約で欲しい本の数割しか入手できなかったのですが、ザっと読んだ感じ超~~~~良い本が多くてね。もうね。最高でした。

普段感想はTwitterでしてるのですが、本の写真いちいち撮って一冊一冊感想書くのはベギラゴン連発するようなMPの喰い方をするので、今回はリンクと画像を駆使しつつ、紹介できる範囲で紹介していこうと思います。
小説編は読み終わったらやるので、そちらもよろしゅう!

レビューの温度感とテンションを統一したいので、ジャンルやレーティングではなく、個人的に感じている区分けで紹介していきます。


①でっかい愛を感じたよセレクション

こういう本を読むためにお金を出してるんだよねェ!俺は!
ほとんどの本はこのカテゴリーに入るのかも。
一冊一冊がでっかい愛情、でっかい感情。そういうものって、なかなか読めません。マジで暑かったり忙しかったりする中、本を出してくれて……ありがとう…………そんな9冊。

これ着て!!アイリ!!(アイリ)


可愛いから愛するのではありません。愛するから可愛いのです。

タイトル通り栗村アイリに色んな服を着せるキュートな漫画。
アイリがすごくスタンダードなキャラな上、以前のイベストで公式が美味しいネタをお出ししてきたので普通ならそちらに引きずられる……のだが、そうならずに確固たる意志で可愛い服を着せているのは愛あってこそ。
さらっとアイリの色んな表情、色んな服を描いているが全部上手に描き分けてのけているのもやはり愛あってこそ。
キャラ愛って、魂と技術の体幹でございますからね。
スイ部推しはダイドーに並ぶ前にこの本を買え! と思ったが多分言うまでもないことですわ、これ。


夢と向日葵(アビドス)

(サンプルのリンクがわからなかったのでお品書きのツイーヨで代用)

素敵だね。粋だけど。

世間をにぎわせたアビドス編に触れてからの、アビドス本。
当日ギリギリまでちょこだいすさん(著者の方)がポストカードを刷っているのをTwitterで知り「ガチの限界じゃん……」と思いながら心配していたが、蓋を開けてみればなるほどポストカードが必須コンボパーツだった……と納得。俺こういうギミックだいすき。
以前の本でも感じたが、飛び道具の使うタイミング使い方がお上手。これをどうしたら読者が何を感じる、というバランス感覚がなければできない事だと思う。アビドス箱推しの方はどこかの機会でぜひ入手してほしい。愛に満ちた本でございますゆえ。


憧れトゥルーナイト(アコ成人向け)

https://twitter.com/SANsan_san321/status/1821120598904275239

しっとりした貴重なアコ純愛本。
マジで貴重なんすよ。ギャグじゃないアコの成人向けの本って。それこそ自分も一度自炊を試みたくらいには。
ずっとギャグとか雑なやつばかり見ていて飽き飽きしていたところにこういう本を出してくれるんだからたまらないよね。アコの心理描写が丁寧丁寧丁寧で大変ハオでした。上品な成人向けの本から感じる艶やかさを濃く感じられる。
もっとアコの心理描写書いて欲しい。導入500ページくらいにならない? ダメ?

アコ好きなら読め!! って言おうと思ったけどうちが言うまでもなくアコ推しは多分もう買ってるんだろうなと思いました。おすすめです。

先生!私もプールにつれてって!!(ジュンコ)

相当な使い手と野良のオタクに言われたらしいが、実際そう。

ざっくり言うと、ジュンコとプールに行ってイチャイチャする本。可愛いね……。
上述のアイリと同様、ジュンコもかなりスタンダードなキャラでお話を組み立てるのが個人的に難しいと感じるのだが……それを抜きにしても、10冊以上同じキャラを書いておいてネタと愛が尽きないのは使い手でしかない。
あとがきに「想いの強さを抑えた」という記述があったが、それを実際にできる意志と判断もやはり手練れ。
連載ラブコメ漫画として過去作と一緒に読むと威力倍増。やってみな。飛ぶぞ。


BLUE ANECDOTE2(オールキャラ)


よくこんなん描いたな(引き気味)

チュートリアル組に焦点を当てたシリアスアクション漫画。著者の方の画風が劇画チック(表現あってる?)のとアクションの相性がよいのですんごいカッコよく感じる。
とは言ったが、この本。ものすごいのはページ数でも画風でもなく話の構成だと個人的に思う。複数キャラを主軸に置きながら話を進めるのって一手間違えればゴチャつくし、間違えなくても管理大変だしでまぁ難易度がトマトなのだがANECDOTE2はそれをやってみせている。
相当な熱量に加えて技量やらなんやらがないとできないウルトラCに加え、連邦生徒会長に向ける激重感情も健在。ブルアカの二次創作が増えた今でもあまり見かけないカテゴリーの漫画なのでぜひ読んでみてほしい。

ミレニアムバニーガーデン(セミナー)


ただのバニーガーデンのパロディじゃねぇぞ。ド級の……

ちょっと前に流行ったバニーガーデンのパロディ。フォーマットたる原作をなぞるだけ……という事はなく、キャラへの劣情がパロディを貫通してにじみ出ていてる。なんで全年齢で通しきれたの? これ。
キャラ別に劣じょ……熱の差も感じさせず、キャラの箱平等に扱いつついい感じに話を落とすというのは簡単にできることではない。
それから、真田さん(著者の方)の本は読んでいるのだが、何かこう……何がどうアップグレードされているのか言語化できないが普段以上に楽しく読みやすい作品になっている。疲れ切ったコミケ1日目の頭で理解できたのはこの本だけだった。
かつ丼をお出しされたかと思ったら、食べ応えと味がかつ丼のお粥だった。非常に奇妙な感覚である。
疲れている人だと非常に味を感じるのではないだろうか。

ギガモモイ!!!(モモイ)

でけェって!!!!

この著者の方を知る者なら「あれ?様子がおかしいセレクションじゃないの?」と思うかもしれない。
だが彼の出した本を全て読んでいるいちファンとして、今回の本はこっちのカテゴリーに入れさせていただきたい。何故なら、ギガモモイはどう見ても理性を残して描いている内容なので。

ギャグのキレは変わらぬまま、絵柄はよりかわいく。内容が彼のフルスロットルよりマイルドに感じるのは、絵柄の進化も勿論あるのだがなんだかんだ彼がモモイ大好きなので手心を加えてしまっているから……なのかもしれない。全部自分の推論なので真実はわからないし、人によって捉え方は変わってくると思うが「あぁちゃんと可愛い本描けるんだな……」というほっこりした気持ちを覚えました。こういう系統の本もちょいちょい出して欲しい。

AvecSummertime(チヒロ成人向け)


サブタイ……いや主題か? まぁいいですわ。とりあえず副題をそのまま借りて紹介するのなら26歳のチヒロが旅行を計画して先生を癒しつつ旅先であは~んな事する漫画。
この著者の方の絵柄は、特にこの方だけにしかだせない「爽やかさ・甘すぎない甘さと丸さ・洗練された線」のブレンド比があって好きなのだが夏の旅行というテーマとシナジーを発揮していて、こう、晴れた日にクーラーの効いた部屋でゆっくり読みたくなる漫画になっている気がする……わかる? この感覚。
内容もやはり全一各務職人(全国1位各務職人の略。なんの1位なのかは知らない)。愛オブ愛である。
これもまた疲れているときに読んで癒されたくなるタイプの本。読もう。


姉の、ままで。(モモイ)


才羽アオが出るけど出ない(抽象概念)

モモイの姉観にまつわる漫画。あんまりこういうアプローチのモモイ本ってなかったのではなかろうか。静かでしっかりと味わい深い。
事件やキャラをガンガン動かさず、会話比重多めでこう感じられる作品はかなり稀有である。著者の方が持っているバランス感覚が上手に作用しているのだろう。

読んでみると、後述の特殊な区分けである”重力”に近しい空気を持っているような気がするのだがそれはきっと著者の方が「この話書く必要ある?(雑な意訳)」と詰められながら作った作品だからかもしれない。
かなりおすすめ。デスモモイとかでキャッキャした後に読むと多分整う。







②様子がおかしいセレクション

セレクションと言いながらも2作品だけ。それだけ特殊、というか区分けの難しい奇作かつ良作。
でっかい愛を感じなかったか? と問われれば勿論ひしひし感じるし面白い。がそれ以上に読後感の唯一性や方向性のウェイトが重いのがこの区分け。一度はこういうものを作ってみたいが……狙ってできるものではない。閃きとセンスがあってはじめて生まれるものだと勝手に思っている。

227号狂気山脈(シグノド)

でかいシグレは???

「狂気山脈」とシグノドの悪魔合体。元ネタが元ネタなので、ホラー作品に片足突っ込んでいる。まぁうちは元ネタのTRPGまだやったことないんですけど。
それはさておき、様子がおかしい扱いの理由についてだが、なんと最後がきっちりシグノドで〆られているのだ。
そらシグノドだからそうだろ、とこの記事を読んでいる人は思うかもしれないが、そうではない。悪魔合体の要素に気を取られすぎててそんな綺麗な終わらせ方してくるとは微塵も予想できなかったのだ。
よくよく考えればこう……ノドカの天体観測要素が、うま~くクトゥルフ神話とフィットするのだが、それにしても……ねぇ?
実際に読んで確かめてほしい。完売だから在庫あるのかわからないが。
いつか本家の山脈もやってみたい。

Pavane TimeLeap Magical Chimpo(リオ成人向け)

何を食べてこれを思いついたの???

説明すると少し頭が痛くなるあらすじなのだが、先生がタイムリープしてすごくでかくなったアレで聖なる交渉をし、パヴァーヌ編を平和的に終わらせようとするシリアスめな話。マジです、これ。
伝わるか怪しいが「景の海のアぺイリア」という美少女ゲームと系統が近い。空気感をすこ~しだけシリアスSFに寄せた「ぬきたし」と表現すれば多少通りはいいか。
読後の「何を見せられたんだ……俺???」と首を傾げもう一度読み、うわエッド・フェニックス……とか言ってたらまたよくわからなくなって首を傾げてもう一度読み……。情報のスルメ。
これで作品を成立させられるのだから、お話担当の方と作画担当の方の連携がひじょ~~によいのだと思う。
いいよね。そういうバディうちもほしい。

今回の戦利品で多分一番ぶっ飛んでるので、同じように読んだ人がいたなら感想をちょっと聞いてみたい。


③うわえっど……セレクション

わざわざ書くまでもなくわかるでしょ。このコーナーが成人向けって。

※普通に感想をこの記事で書こうと思ったのだが、もう力尽きそうなので以下の作品は小説感想記事と統合して書きます。ゴメンネ ヨワクッテ。
どれも大変よかったので、お気に入りのページ数だけ書いておきます。買って確かめてみよう!

大型犬のしつけ方(アスナ)

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2487600

14、15

密航者尋問記録(スタレのホタル暗め)

11、12

キモトス当番日誌(ノア暗め)

11~13

FUCK THE HACKER(チヒロ)

https://twitter.com/hoyhoy_colo/status/1818225342471114979

15、16

メルティーシュガードロップ(マリー)

https://twitter.com/shoa_tksm/status/1819714707009466867

20、21

夜を使いはたして(チヒロ)

https://twitter.com/ryusei0629ster/status/1820086496583622756

後ろから数えて5、6。

あたしのすべて(穹ホタ)

https://twitter.com/tai_02018/status/1821898123842875873

ほぼ全ページ だってキャラの組み合わせが好きだから……


④””重力””の四選


これに関しては少し前置きを長めに。
極まれ~に感じる、読後、重力に引っ張られるような感覚にさせる作品。そういった品は「当たり」とか「傑作」とか、そういう言葉では表せない妙な魔力を持つ。その作家の魂とかアンサーとか表現するのが正しいのだろう。

まぁ買い手であるこちらが勝手に感じているものなので、そんなものないと言われればない。
ただお前の好みの作風なだけだろと言われればそうかもしれない。

案外適当に作ったものが重力を纏っているケースもあるだろう。で、ある以上どうあっても錯覚でしかないのだが、手に取った人間にそのような感覚を抱かせる本が一体いくらあるか、という話だよね。大抵その空気を帯びている作品はとんでもなく良い本なので、オカルトだと理解しつつも自分はこの”重力”の存在に焦がれている。

今回は非常に運が良く、四つも重力を持つ本を手にできたので紹介したい。



ヒフアズの空 補習授業の夏(補習授業部)

事前にノーマークだった本。
歩いていると、ふと表紙が目に入ってビタッと足を止めて気づいたら買ってしまっていた。

内容は短編二つ。どちらも百合といえば百合……なのだが、押しつけがましさやあざとさを感じない丁寧で優しい作品だった。
心理描写やキャラの動かし方もひじょ~に丁寧。何がすごいって、キャラの台詞が多いはずなのだが、そう感じさせない。読んでいて疲れるということがない。
台詞の位置や、必要かつ自然なワードの選びが上手い……のだろうか。何故そう感じるのか、核心をつけている自信はないのだが、こう……とにかく水みたいに味わえる漫画だと思う。
語弊がないように「無味」という意味ではなく静かで誰にでも受け入れられる、洗練された作品と書いておく。一応。

軽快な絵柄と夏の空気の質量。夏休み前と、休みの間一人で過ごしている静かな時間。そういう情緒を絵を通して味わえる漫画って貴重だと思うんですわ。あたくし。
たまたまこの本がある通路を通ってよかったと思わせてくれる一作。


逃避行(ARONA成人向け)

アロナ……君は最後まで付き合ってくれるよね……。

IF、というよりプレナパテス世界線の先生とプ……アロナがお話の軸。
自分の出した1年前のアロナ本の設計思想を継いでくれている……部分もあるのだけどやはりとんでもなく著者の方の腕が良いのでパワーがダンチ。
壊れそうな大人のメンタルをAIの少女が支えるには、こういう歪なやり方しかないとか、アロナが好きと言った瞬間にちょっと空気が凍る関係であるとか、この後結局先生は……といったところを考えると無限に味がする。世界を跨いでアロナではなくなった少女の笑顔、その裏にある感情を慮るとやるせない。
これ続編でませんかね? ねぇ 出ませんか。ねぇ…………

それはそれとして先生が銃構えてるコマ、大変えっちですき。ムキムキの男いいよね。



白幕、夜を隠して(ヒナ成人向け) 

ソシ・ソシテ!! お前はいつも俺の感情をかき乱す…………いつも!!

珍しく著者の方の名前をきちんと出し……いやきちんとではないけど。出したのは、彼とそこそこ親交があるから、というわけではない。
単純に今回自分の出した作品とキャラ・テーマがかなり近く、昨年はセリナ本で俺の情緒を焼き、分野を超えた敗北感を与えたのが彼だからである。

今回もそんな感じ。
自分が変則的に避けた部分に、真正面から向き合ってきちんと高クオリティの作品に仕上げているのでやはり敗北感を覚える部分がある。腕が出てる。

具体的に言えば、自分が今回現パロ小説にしたのは「先生と生徒という関係がある以上どうしても二人は対等になることがない」という問題を解決したかったから。解決策はキヴォトスを離れるしかない、と考えたからだったが……彼の漫画を読めばそれ以外の選択肢があったというのはわかるだろう。
それから話の構成。宗教上というか二次創作上の自分のカラーの都合で毎回オチから除外していた選択肢があるのだが、彼はそういったもので話を締め括っている。特にキャラ選上、常人なら選ばないオチだと思うが……この男…………やる…………!!

飛び道具を使わなければ向き合えなかった要素を全部真正面からどうにかしてるのを見れば、こうも読み手に配慮をしない長文を書きたくなる。
すごいです。this comic。
次の本も非常に楽しみである。

明晰夢(ノア)

https://twitter.com/kappanagare/status/1820060069511504344

2024年じっとり二次創作全一。

この漫画もまた、今回の自分と近しい題材選出をしているのだが、ふたをあけて読んでみれば脱帽モンだった。
著者の方曰く「現パロ」なのだが、この本、実は全く現パロではない。
「現代」という舞台装置をフル利用して、普段余裕しゃくしゃくの本編の生塩ノアの情緒をぐちゃぐちゃにするとんでも本だったのだ。

面白い手を……使う……!!

確かページ数はトータルで62か、それぐらいだったと思うが中身はそれ以上の密度が詰まっている。多分必要最低限の構成でそのぐらいのページ数になったのではないのだろうか。だって必要なパーツしかないもん。
誇張抜きに、ちょっとした笑いどころ、日常パートなどで高度をつけてから一気に地の底に蹴り飛ばす構築なのでマジで序盤は全て必要。
そして、落としてからの展開も綺麗なものである。著者ご本人は「説教臭い」と自分で言っていたが、全くそんなこともない。というかかっこいい男描けるのに今まであえて描いてなかったのか……という驚きがでかかった。
見事な構成のデッキを見て感嘆するのは、カードゲームもお話づくりも変わらない。


生塩ノアというキャラに関してはnoteですら二記事出してるので、わざわざここに関して長々語らないが、確かに自分の求めていた回答のひとつがこの本にはあった。
ノアに対して自分と同じ思想を持っている人はあまり見かけないのだが仮にいるのならば、この明晰夢を読んでみるべきだと思う。きっと満足できるはず。
ノア。俺は。


以上。長くなったが漫画部門前半戦の感想はここまで。まだ半分もあるんですか!?!?!? うあーん!!!!
後半戦は小説を読んでその感想も書くことになるので、ほんの少し時間が空くかもしれないがきちんと書きたい。
それで救われたことが何度もあるので、自分のちょっとの努力でいいものを作る人間が救えるかもしれないなら、きちんとやりたいと思う。
まぁ思ってるだけなんですけども。ナハハ。   


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