水遊びで命を守る「最低限これだけは」
いよいよ夏本番になりましたね。片耳の歌う防災士ゴリィこと後藤です。防災士の他にも色々やっています。詳しくはサイトを見てね。
と、最近自己紹介がいい加減なのはさておき(笑)、今日は「夏の水の事故」について書きたいと思います。正しい知識を持って、しっかり夏を満喫しましょう。
子どもだけで行かないよう注意
まず、海にしても川にしても、子どもだけで行かないことが大切です。子どもは夢中になると知らない間に危ないところにいってしまうことがしばしばあるので(僕も経験があります)、誰かが見守ってあげていたほうがもちろん安全です。
高校生も水の事故によく遭っていますが、ここでは「高校生以上」ということにしておきます。ちゃんと「見守りをするんだ」という自覚を持ってもらった上なら自分たちも慎重になるでしょう。
で、可能であれば1人1本、2リットルの「ペットボトル飲料」、できれば「スポーツドリンク」や「麦茶」を持たせてあげてください(熱中症対策も兼ねています)。
川遊びはオススメしません
正直、「川遊び」はあまりオススメしません。その理由は主に2つあります。
まず、海と比べて水の流れや川底が不規則なこと。足を取られやすいのです。
もうひとつは、雨で増水しやすいこと。厄介なのが、今自分たちのいるところだけでなく、その上流でゲリラ豪雨が降ったりすると急に川の水位が上がり、流れも速くなります。
その点、海は、海底が急に深くなるとかそういう場所がまったくないとは言えませんが川よりは分かりやすく、突然増水したり流れが速くなることが「少ない」ので(ないとは言わない)、水遊びに行くなら「海水浴場」がやはり安全だと思います。
海水浴場、今年は4割やっていません。
とはいいながらも、今年は全国の4割の海水浴場が「開設されない」そうです。理由は「新型コロナ」の感染拡大防止です。もう嫌ですね、コロナ。
行きたいと思っている海水浴場が開設されるかどうかは、市区町村のサイトで確認することができます。折角できるだけ安全に水遊びが楽しめるように作られた海水浴場が利用できない、というのは残念ですね。
海水浴場が開設されないと、まず「海の家」も開設されません。それだけで僕なんかは行く気が失せます。そして、監視員さんやライフセーバーさんも配置されません。
「なーんだ。海水浴が楽しめないわけではないんだ」。
・・・そう思った方は絶対にいると思います。そういう方は、「監視員さんは」「ライフセーバーさんは」という「主語」に注目してこのあとの記事を読んでください。
以下は、6割の「開設されている海水浴場」で遊ぶ場合を想定しています。
溺れた!どうすれば!?
僕も経験上そうですが、溺れたときってじたばたすればするほど悪循環です。そして、じたばたしている人を助けるのも体力が要ります。
ここで役に立つのが冒頭に書いた「2リットルのペットボトル」。投げて届きそうな距離なら、中身を全部捨てて近くに投げてあげます。うまくいけば、それにつかまることで安心感が生まれ、おとなしく浮いていることができます。
並行して、監視員さんのところに溺れていることを伝えましょう。監視員さんは常に「異常を見張っています」が、伝えたらライフセーバーさんが「救助してくれます」。
大切なのは、大人の力を借りること。そして、大人も水深が深いところならば無理に助けに行かないこと。最悪な話、119番通報して救急車到着までの十数分子どもを静かに浮かせておくことに集中した方が救命の確率は高いかもしれません。
地震だ!津波だ!
砂浜を歩いているときに気付くことのできる震度は、「震度4」~「震度5弱」程度です(気象庁HPの震度解説「外を歩いている人の気付く震度」より)。海の中にいる人が気付ける震度はさらに高いかもしれません。
この震度って、じゅうぶん「津波」があり得るんですよね。
監視員さんは、地震のあったことを伝えてくれます(震度は地域による)。そして、監視員さんは、「津波情報」が出たときにも教えてくれます。「津波注意報」でも海水浴場と陸を隔てている「防潮堤」の陸側には避難しなければなりません(「津波注意報」では「高台避難」は不要ですが「防潮堤より陸側に避難」は必要です)。
あとは、監視員さんが「津波フラッグ」を使って海の中にいる人に津波情報が出ていることを教えてくれます。
もし、監視員さんやライフセーバーさんがいないと・・・?
さて、では開設されなかった海水浴場や、海水浴場ではない砂浜、そして川で泳ぐとどうなるか。
もういちど上の説明を読み返し、「監視員さん」や「ライフセーバーさん」が「主語」になっているところに注目してください。
けっこう、危険なのが分かりますよね。
開設されている海水浴場やプールで事故がないかと言われればそんなことはありませんが、やはり水の事故が多いのはそれ以外の場所が多いのです。
つまり、誰かが監視員さんの代わりやライフセーバーさんの代わりをやらないといけない、ということです。ライフセーバーさんの代わりは正直難易度が高いので考えないことにして、せめて監視員さんの代わりは誰かがつとめないといけません。
キャンプで渓流で川遊びって楽しいですよね。それをなんでも「危険だから」といって止めるつもりはありません。決めるのはあなた次第ですし。ただし、なかなかの危険も伴っていることをしっかり理解してくださいね。
まとめ
今日から東京2020も始まり、ステイホームする人、テレビはそればっかりだからお出かけしたい人、さまざまだと思います。そして、「密」を避ける意味でも「キャンプ」という選択や、「海で遊ぶ」という選択も増えるのではないかと思っています。
危険を監視してくれる人(監視員)がいない場所、救助の専門家(ライフセーバー)がいない場所、加えて川では見えないところでの雨で急に増水するかもしれない場所、というリスクの高い場所で遊ぶなりの「備え」を改めて確認しましょう。
①誰かは「監視員」役として、常に状況を見ておく。また、「監視員役」スマホを常に携帯しておく
②溺れた人をペットボトルなど「浮くもの」につかまって落ち着いて浮いてもらいながら救急隊の救助を待つ(※救助できる場合は救助OKだが、過信はしない)
③川遊びの際は、「上流での雨の降り方」にも目を配る
そんなわけで、今回は「水の事故」に関して取り上げてみました。これで完璧ではありません。私なりの「最低限の備え」を説明させていただきました。
あなたや大切な人の命を失わないよう、水遊びは細心の注意を。
今回も最後までご覧くださりありがとうございました。
轟RADIO「トドろき防災」
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