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追憶の世界「蜘蛛の巣」(3)

ドキっとしたがよく見ると
下から一人の男性が登ってくるのが見える

「なんだ人か」

僕は一気に緊張が解けると
軽快に下山をしていった

下山してるとふと思い出したのが
迂回して通った蜘蛛の巣のことだ

「あっ」

この辺りだなと周辺を注意しながら下山していると
光る場所を見つけ僕は巣を払わず再び迂回した


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蜘蛛ちゃんにさようならを告げ下山を続けていると
頂上付近で会った人のことを思い出し疑問に思った

「待てよあの人も蜘蛛の巣を避けたのか」

蜘蛛の巣は払われておらず残っていた
頂上に行く道も1つしかなかったはずで
同じコースの方から歩いてきていた

あの人も僕と同様に別格である胤栄の言葉がよぎり
わざわざ迂回して頂上まで登ってきたのか

「そんなバカな」

あの言葉がよぎったのは僕だけだと信じたかった
でも現実に蜘蛛の巣はまだ存在していたのだ

この時、山怪という山人が山で体験したきた
不思議な出来事が沢山ある事を思い出した

山中には”不思議な構築物”とかいう
謎めいた標識もあったぐらいだから
狐か狸に騙されてるのかとさえも思った

「んー」

そんなこんなで頭を悩ませていたら
あっと言う間に登山口まで着いてしまった

「あれは人だったのだろうか」

そこでロマン好きな僕はある仮説を立てる

あの蜘蛛の巣という結界を払わず進んだ僕は
“別次元の神域に”辿り着いたのかと考えた
そしてその神域にいたあの人は山神か

ヴゥゥン…

少し離れたところから車の走る音が聞こえてくる
流石マッサン、僕が伝えた正確な時間に登場した

僕は何だかマッサンを見たら気が抜けてしまい
結局この出来事を消化しきれずまま帰路につく

その夜、今日の出来事が気になった僕は
中々寝ることができなかった

「そういえば」

その昔、天狗山は”熊野山“と呼ばれていた
くまのやま…くものす…蜘蛛の巣…

蜘蛛の巣を描くときは8角形が多い
今日の日付は5月3日で5+3=8
山の前にある県道は53号線で5+3=8
天狗山は八束郡八雲村(現在は松江市)

8を横にすると∞(無限)
空間がねじれる

グルグル…ギュゥルヴゥル…

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…ヴゥルヴゥゥ…ヴゥゥン…

1999年5月3日
今日も熊田が渋いクラウンで迎えにきた

「今日はどこいこうか”クモ”ちゃん」

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高橋 悦史
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