サイクルロードレースって面白さが分かりづらいよね、という話
ツール・ド・フランス2021が始まりましたね。
今年は第一ステージから大きなクラッシュがあったようですが、2週間後に誰がマイヨ・ジョーヌに袖を通しているのか。とても楽しみです。
2年ぐらい前にYouTubeを夜中たらたら見ている時にサイクルロードレースの熱い映像(カンチェラーラのまとめ)を見たのがきっかけで追いかけるようになったので、僕自身は自転車には全くの門外漢です。
ツール・ド・フランスは昔、フジテレビの深夜に放送していたのを覚えています。たしかその時はランス・アームストロングがめちゃ強だった時代。
ただ、その時は集団でダラダラ走っている映像ばかりがずっと続いていて何が面白いのかがよく分かりませんでした。おそらくF1と同じノリを求めていたのがその理由だと思います。
そんな僕にとっての「これが分かったからサイクルロードレースを楽しめるようになった」をまとめたいと思います。
1つのレースがめっちゃ長い。大会期間もめっちゃ長い。
サイクルロードレースの一つのレース(ステージ)ってだいたい200kmぐらいあります。レース時間も5〜6時間ぐらいかかる。どのレースもほぼ1日中走りっぱなし。しかも時速40kmぐらいで。
僕が子供の頃に乗っていた自転車にはスピードメーターが付いていて、当時全力で漕いだ時の最高速が時速20kmぐらいだったのを覚えています。ということはサイクルロードレースはその倍のスピードで1日中走ってるというのだからちょっと常人では考えられない体力と筋力です。
さらにツール・ド・フランスを含めて3つある「グランツール」と呼ばれる大レースとなると開催期間も長くて2〜3週間ぐらいあります。(しかもその間の休みは2日ぐらい!)
東京から200kmというと福島、新潟、静岡ぐらいなので、その距離を2週間毎日自転車で走れって言われても絶対にやりたくない。食事もレース中に摂ったりするのですが、体内の栄養が枯渇してしまってレース中に身体が動かなくなってしまう「ハンガーノック」を起こしてしまう人も出てきたりします。
まず大前提として「体力オバケたちの天下一武道会である」ということが分かったことが、サイクルロードレースに興味を持つ第一歩となりました。
個人戦ではなくチーム戦である
レースという性質である以上誰が勝ったか?に一番の注目が集まるのは自然なことですが、サイクルロードレースは1チーム8人ぐらいのチームとして参加してレースを行います。
チームの中には”エース”と呼ばれる選手がいて、レースの中ではチームの全員がそのエースを勝たせるために連携しながら走っていきます。要するに「エース以外は全員アシスト役」ということになる訳です。
「エース以外の人ってやってて楽しいの?」という素朴な疑問が湧いてきますが、その辺りは長い歴史の中でエースの勝利、チームの勝利に徹して戦うという文化?が根付いているのがサイクルロードレースなのだと思います。
あと、チームには必ずスポンサーがついているものなので、スポンサーからすると「チームが勝てば(=会社が目立てば)1位になるのは誰でもいい」ということになるので、チームとして戦う考え方のほうが自然なのかも知れません。
この辺のお話は映画「茄子 アンダルシアの夏」を見ると分かりやすいです。
色々起こる
「レースが長い&チーム戦である」
この2つの要素が絡み合うことでサイクルロードレースは大会中に色々なことが起こります。
今年のツールドフランスは21ステージあるので約3週間の戦いです(東京オリンピックの開幕前に終わらせるために例年より1週間ぐらい開催を早めたそうです)。
大会を通じてのチャンピオン(マイヨ・ジョーヌというジャージがその証)は、各ステージの勝ち負けで決まるのではなく全ステージの総合タイムが一番早かった人が勝ち取ることになるのですが、21ステージもあるとエース個人のコンディションもさることながら、アシストの調子も全体の結果に大きな影響を及ぼします。
「引っ張る」という言葉をレースの放送を見るとよく聞くのですが、アシストの選手はエースの選手の走行の負担を下げるために、エースの前に出て走ることが多くあります。前に出る選手は風の影響をもろに受けるので消耗が激しいんですね。
しかも、アシストの選手はエースの選手よりも能力的に劣っていることが多いので、常にオーバーペースで風をまともに受けながら長時間走り続けることになります。
当然、レースの後半は体力も付きてしまうのでそのアシスト選手は下位に沈むことになるのですが、大会後半となるとレースをリタイヤしてしまう選手も出てきます。たとえ一人でもリタイヤする選手が出てくるとチームは戦力ダウンが否めず、レース運びにも大きな影響が出てしまいます。
また、グランツールのような大レースレースは国中を行脚するようなレースになるので、街中を走ることもあれば、2,000mを超える山頂がゴールの場合もあります。選手の中には平坦な道を走るのが得意な人もいれば、山道のときにしか画面に出てこないような人もいます。個人的には「走る道によってそんなに実力差って出るもの??」と思ってしまうのですが、レースを見てると大体そんな感じなので得手不得手というのがあるようです。
あと僕は個人的に「逃げ」が好きです。「逃げ」はレース序盤に数名の選手が突っ走っていくレースの戦法の一つなのですが、チームもバラバラ、利害関係もバラバラの選手たちが一団となってレースを作っていく、あわよくば逃げ切ってやろうという駆け引きや下心が見え隠れするのがとても面白いです。
他にも見どころや僕自身「これってどういうことなの?」と思うことはまだたくさんあるのですが、その辺りはまた別の機会に書いてみようかな?と思います。
では、最後に僕がサイクルロードレースにハマるきっかけになった動画をご紹介します。
カンチェラーラ強い!そしてかっこいい!