決算報告書ってそのうちAIが作れるようになるよね?という話
このコラムでもジェネレーティブAIの話を何回か書いてきましたが、いよいよ止められないところまで勢いづいてきた気がします。
IT既得権益者たちが開発を止めようと躍起になっていたり、Googleが難癖つけてきたり、はたまた日本にOpenAIのCEOが来日して政治家と話をしたり、2023年はAI元年になるのかもしれません。
AIで仕事を失う人の特徴と仕事を得る人の特徴
じゃあこのAIをどうやって使っていくのか?ということについてですが、大学生がやっているようなレポートを書いてもらったりするやり方、即ち自分の仕事をAIにやってもらうことでラクをしようとしている人というのはどんどん価値を失っていくと思います。だって”あなた”にやってもらう必要ないことを自ら証明しているようなものなのだから。
AIに限らずインターネットとIT技術はこれまで数え切れないくらいに生活や仕事を変えてきましたが、これまであったものの代替品としてはそれほど大きな変化をもたらしてこなかったと思っています。唯一、革命的に世の中を変えたのはオンラインショッピングぐらい。
その点でいうとWeb2.0時代に生まれた”ソーシャル”はインターネットによって表出させられた価値観で、それによって社会はそれ以前のものとは一変したといっていいと思います。
つまりはネットを使ってラクになったり便利になることよりも、それ(ネット)を使ってこれまでになかった仕組みや枠組みを作っていくことについては常に可能性は残されています。
ITも30年以上あれやこれやをやってきたのでその可能性もかなり小さくなってきた感じもありますが、そんな時代にやってきたAIは新たな枠組みづくりの希望の光といっていいと思います。
決算書類をAIに作ってもらう
じゃあAIをどう使えばいいの?
という疑問に対してはのヒントは、まず「誰かにお願いしていたこと」をAIにお願いできないか?を考えるのが第一歩です。
先ほども書いたように自分がやるべきことをAIにやってもらう(かつ自分よりよくできてしまう)といずれその仕事はAIに取って代わられてしまうので、それをやってはいけません。
僕が今一番これだろ!と思っているのは
決算書類をAIに作ってもらう
です。
現在でも財務・経理関係のオンラインシステムはたくさんありますが、決算書類を作ってもらう作業は会計士さんにお願いせざるを得ませんでした。
たぶん人の手を介さないとできない複雑で面倒な部分がたくさんあるんだと思います。そしてそれはITのレベルでは実現できない”さじ加減”も含まれていたんだと思われます。
実はこの”さじ加減”の部分にめちゃめちゃ強いのがAIやディープラーニングの技術で、最初は精度が低くても時間が経てばいずれ精度は向上していきます。しかもこの精度が上がるスピードはニーズが高ければ高いほど上がっていくのが特徴でその最たる例こそがChat GPTです。
Chat GPTも最新のバージョンでは司法試験(たぶんアメリカの)に受かるレベルにまで到達しているらしいので会計士さんがやれることを凌駕していく可能性も極めて高いと思います。
AIは「集合知」の権化
Web2.0時代によく言われていたのが「集合知」という考え方でした。ネット上に様々な情報が溢れ出ることによって幅広い知識の共有がなされ、それが新しい価値を生みだしていく。みたいな話です。
ただ当時話されていた「集合知」はまだ概念のようなもので、ネットマスターならば多くは共感できたことがらではありつつも「集合知ってあるよね。わかるー」ぐらいのレベルだった気がします。
なぜそこに限界があったのかというと、ネット上には大量な情報が溢れていたとしてもそれに触れられる量には人間側の限界(時間、体力、労力)があり、新しい価値を生み出せる量にも限界が合ったからです。
かたやAIは人間の限界を遥かに超える処理能力を有しています。集合知化できる情報は今の時点で無数に存在していて人間がそれを引っ張り出すのを待っている状態何じゃないでしょうか。
その観点で考えるとChat GPTに求めるべきは「これってどう思う?」的な投げかけなのかもしれません。
自分の考えに対する正解や解決を求めるよりも可能性や選択肢を投げかけてもらい、それを材料に自分の仕事を作ったり精度を高めていく。
非常に抽象度が高い議論になると思うのですが、それをやってもらう相手としてのAIは非常に有能です。何が有能ってAIは時間と場所を選ばないから。
最初の方にオンラインショップだけは既存の代替品として世の中を変えた、と書きましたがその一番の理由もおそらくは時間と場所を選ばないという点。
これも何かのアイデアになりそうですね。