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はじめに
昼下がりは日差しが強いし、トタンの屋根なら家の中も暑い。日陰が涼しい軒先へ小さな椅子を持ち出して、そこに腰掛けたまま何時間も過ごす。
日向では、鶏やアヒルの親子が仔犬の昼寝をのんびりと横切る。聞こえてくるのは、小さな子供たちが少し遠くで走りまわる声だけ。
ときどき、村の人がバイクに乗って山の麓へ出かけたり、重そうなカゴを背負って農作業から戻って来たりする。「どこへ行くの?」「なにが採れた?」と声をかける。
ノンカイ村では、すべてが緩やかに調和している。
人、動物、自然、時間、空間。
光、色、匂い、音、味、温度。
互いの間に線引きをせず、ありのままに溶け合う様に魅了されて、何度も何度もここを訪れた。
そんな憧憬れは、いつでも私の大切な拠りどころだ。毎日を慌ただしく過ごしていて、ふと迷子になったとき、この村へ立ち帰る。
ノンカイ村からもらった縁を、だれかにお裾分けしたい。
この一冊は、私の隣人へ送る「たより」として綴ってみた。
あなたの生きる「たより」になりますように。
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