呼ばれてしまった話。
私は、子供の頃は団地に住んでいたのだが、その団地の北側の入口に向かって、緩やかな坂道が伸びてる場所があった。
その場所は、本当に何の変哲もない道だった。
ある日、何を血迷ったか、夜中に突然家を飛び出して団地の北川入口に向かった。
其処に暫く佇んでいると、坂道の方からコツコツとハイヒールで歩いてくるような音が近づいてきた。
暗くてよく見えないので、目を凝らしてみた。
すると…街灯に照らされて、ちらりとその物体が見えてきた。
赤いハイヒールを履いた女性の足のようなものが見えたが、膝から上が無いように見えた。
一瞬でやばい!と思って全速力で走って家まで引き返した。
家に帰ってその旨を母親に伝えるとまず、夜中に黙って外に出たことを怒られて、そんなところへ独りで行くなと叱られた…。
自分でも、なんで外へ出て其処へ行ったのかわからない。
行きたくていったのではない。気が付いたら衝動的に家を飛び出したのだ。
やっぱり呼ばれてしまったのか?
今から思い返しても、あれは生きているものではなかったのだと思う。
思い出すたびに身震いしてしまう出来事だった。
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