学校にいるアイツの話。
いつも夕暮れ時になったら、居るんですよ。そこに。
ほら、ちょうどあの保健室がある前の廊下に立ってるんです。
それでグラウンドの方をいつもジイッと見つめてるんですよ。
彼は、背が高くてね。白いワイシャツと黒のズボンを履いていて合服っていうのかな?春とか秋に着る制服を身につけてるんですよ。冬でも夏でもその格好をしているんです。多分、過ごしやすい時期にアレしちゃったのかなって思うんです。
それは僕の憶測ですけどね。でも、ずっと彼の服装が変わらないからそうなのかなって。
で、たまーにですけど、彼が椅子に座って窓に腕をかけて腕に顎を乗せて窓枠に、もたれかかってグラウンドを見ている時があるんです。
その姿が、あまりに自然だから滅多に学校に来ない業者の人とか、外部から部活の練習試合に来た人とか、新入生とかは彼のことを全く知らずに話しかけちゃんですよ。
話しかけても彼は、何にも言わないんです。何も言わないから「あの〜?」とか「聞いてます?」とか彼の顔を覗き込んで声をかけるんですけど、そうすると
彼の黒目がどんどん大きくなって瞳孔が開いたみたいになっていって遂には白目も覆ってしまうんですよ。
それで、今度は顔もどんどん大きくなって元々顔色が悪かったのに、更に顔が青白くなっていくんです。大きくなった顔は、話しかけた人にぐう〜〜〜〜〜っと近づいてくるんです。
みんな驚いちゃって当然、その場から逃げるんですけど、今度はろくろ首みたいに、首を伸ばして更にぐぐぐぐぐ〜〜〜!っと、大きな顔だけが追いかけてくるんです。全速力で逃げて校門までたどり着くと、そこから先には進めないみたいでそれ以上は追いかけてこないんですけどね。
今や彼の名前も誰も知らないんですけど、彼の着ている制服が今現在の制服じゃないんですよ。だいぶ古い前の制服なんです。
だから、彼は今の人じゃない。彼の身に何があったかわからないんですけど、やっぱ相当な遺恨が残ってるんじゃないですかねえ。
誰かに酷い虐めを受けたとか、受験に失敗したとか、教師に暴力振われたとかじゃないですか?それか大失恋しちゃったとか?
追いかけてくる顔も尋常じゃなく怖いですから。追いかけてくる時も何にも言わないで黙ってひたすら目も逸らさず一目散に目標を追いかけてくるんです。
何せ、昔の人すぎて詳しい事情はわからないです。
え?彼から逃げられなかった人はどうなるかって?
校門まで振り返らずに辿り着けなかった者は、どうなったか僕も知らないんです。逃げ切れた人の話しか聞いてませんから。君も、彼には気をつけた方がいいと思いますよ。決して○○○位で話しかけちゃいけません。何故なら○○○ませんからね!
肝心なところが擦れていて読めなかった。
終
※こちらの話は、創作です。