コロコロ変わる名探偵
探偵は一同を集め、長い沈黙を経て口を開いた。
「犯人はこの中にいる」
どよめく一同。
「教えてください。犯人は誰なんですか?」
「そう犯人は、お、お……お前だ、A」
驚いた顔をするA。
「いえ、だって私には完璧なアリバイが」
「いつだって完璧なアリバイのあるやつが犯人と決まっている」
「ちゃんと納得のいく説明をしてくださいよ」
「ち、違う、犯人はAではない。犯人は、お、お……お前だB」
呆れた顔をするB。
「まったくもって僕には動機がありませんよ」
「まわりまわってそういうやつが犯人というパターンもある」
「そんなことで犯人呼ばわりされたくないですね」
「ち、違うんだ、犯人はBではないんだ。犯人は、お、お……俺なんだ!」
ざわつく一同。
「探偵さん、あなたが犯人だったんですか?」
「……やっと言えた」
そう言って、探偵はポケットから拳銃を取り出す。
静まる一同。
探偵はそっと自らのこめかみに銃口を当てた。
「そう、犯人は、この中にいる」