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渡邉帆南美「聞こえない声の可能性(4日目)」
この日は、前日の意見交流会にお越しくださった方から、
おすすめのスポットのご紹介とURLがSNSにDMで送られてきたので、
そちらへ伺うことにしました。
大変ありがたかったです。ありがとうございます。
そちらが、伊豆長岡と戸田。
「伊豆長岡の方は、北条氏を始め祖先が幕府を築いたと言う誇りを大切にされている人々が多いので、史跡巡りはもちろん、お話を聞いてみるといいかもしれません」
そんな言葉と共に下記のリンクが添えられておりました。
どうやっていったらいいのかGoogleマップに上手く表示されず、なんであんなことになっていたのか不明ですけれど、これはどうやっていくんだという疑問が生じました。全然地理的なものを把握できておらずでしたが、ホストのかたと他の旅人のお二人だったか、どちらか一人だったか、どっちだったか忘れましたが、ご一緒に行かれた場所が戸田だときいて、ああ!なるほど、そうだったのか!とようやく理解。
意見交流会聞いたのに、ボケとんちゃうか。笑 と言われそうですけど。笑
言った人の言葉は覚えてるのに、顔と名前は覚えられないみたいなのこういうところに出てるなと思ったり。笑
とりあえず伊豆長岡駅へ。
駅前に人が並んでなんともいい感じの歌を歌っている。何かの宗教団体の布教活動でした。とても心地よかったなあ。地元の民謡とかないんだろうか。
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そして、駅の看板を見て持つ疑問。
反射炉って何だと思います?
「反射」という言葉の強さと、
黄色が妙にサブカルというか、アングラというか
パンクっぽい。
何故かINUを思い出すという。笑
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てくてく歩く。晴天。そして、猛暑。
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まずは近くの眞珠院へ。
源頼朝との仲を割かれた八重姫が悲恋を嘆き、「我が身を捧げ女人の守護神となりましょう」と近くにあった梛のひと枝を取り、当時の真珠ヶ淵に身を投げて亡くなる。それが供養されており、ハシゴがあれば助けられたのにという思いから、願いが叶えば、ハシゴを持ってお礼参りに供えるという風習があるのだそう。
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本堂を参拝した後に、敷地を廻ります。
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実はかなりお墓の中へ入っていく作りになっており、写真は遠慮しました。
人様のお墓にどんどん入っていく経験というものはあまりないので、
なんだか不思議な気持ちです。
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これはかなり1302年の塔。流石に屋根はありますが、各地にあるお地蔵さんのように、こんなに屋外に普通に剥き出しで安置されていることはすごいことかもしれません。
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非常に山の付近なのですが、
道を歩くとガザガサと近くの茂みが揺れます。
確実に何かがいる。
それは時たま横切るイモリなんでしょうけど、
もし違ったら、なんだと思いますか?
姿かたちの見えないものの存在を感じます。
その気配に不思議な気分を味わいます。
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こちらも石を彫られた石像。かなり貴重なもの。
苔むした感じがすごくて言葉を失う。
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鎌倉時代初期、北条時政によって創建された寺院。
願成就院へ。
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入って一番に目にしたお墓の小さな案内看板。北条時政公のお墓もここにあります。
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なんとこのお寺では、ちょうど本当にタイミングよく、
解説をされる方がいらっしゃり、かなり詳しいご情報を教えていただきました。
お写真の撮影は禁止されており、お写真はございませんが、
阿彌陀如来坐像・国宝・運慶作・1186年(文治二年)
不動明王・矜羯羅童子・制吒迦童子三尊立像・国宝・運慶作・1186年(文治二年)毘沙門天立像国宝・運慶作・1186年(文治二年)
があります。
戦火により、完全に燃えてしまったこの地。当時の僧侶などが苦労して持ち出し、
指先は溶け中指と親指をくっつけるポーズであったはずが溶けてしまいましたが、仏像は、残されているということ。
昔は池があったのですが、埋め立て碁盤の目の土地となったこと。
仏像の背にある札により運慶作となったが、寄木造のため、後付けと疑われたことなど。三谷幸喜さんが大河ドラマの撮影で、実際ここにいらしていたことなど、さまざまなことを教えていただきました。
受付の方が外国の方で、珍しいと思いましたが、お話すると、イギリス人だということで、この方がお寺の婿様ということでご結婚されてこちらにいらっしゃるそうです。
たくさんお話を伺った後、どちらから?雑談をいたしまして、
持参したパンフレットをお渡しし、MAWのことや、自身の活動のことをご紹介して、お礼を言って次の場所へ。
本当に贅沢な素晴らしい時間でした。
昨日ここをご紹介してくださる方がいなければ、勉強できなかった素晴らしい機会です。ありがとうございました。
「偶然性の出会い、とてもいいね。それがいいと思うよ」と先日沼津市の林さんに言われましたが、無計画なようでいて、人からおすすめの場所を廻る旅は本当に面白い可能性が詰まっているような気もします。
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こちらは信者のみ見学できるということで、観光客はNGでした。
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北条政子が生まれた時に水をここから取ったということです。民家のところに、そのまま井戸が残されているのがすごい。
ここまで歩いてきて、もうかなり暑さが厳しく、境内で涼をとらせていただきました。クーラーもありましたが、外から入る風が涼しく、ありがたくお参りして次の場所へ。
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反射炉へも行くことも検討しましたが、あまりの暑さと、戸田へ間に合うのかという疑問もありつつ、ひとまずカフェへ避難。
駅の近くのレトロなカフェ。
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カフェで涼んでいると、
「あっついねー」と近所のご年配の男性が入店。
「スイカ上がっちゃったよー」などと言いながら、
タバコに火をつけつつ、
カフェのママに話しかける。
「この辺はさあ、駅も無人。三谷幸喜が大河やった時だけ賑わっちゃってさ、結局今はもうそれも引いて、元通り。何にもなくなっちゃったねえ。駅が無人なのが悪いね。駅も栄えないと街が栄えない。」
その言葉を聞きながら、ああ、これは、聞こえない声だと思いました。
MAWをただアート観光をし、キラキラした文章で、
全てなんとなく「良い時間でした。」と書くこともできる。
でも、真面目に考えた方がいいこともある。
この地から、吸収することも大事だけど、私にはどんな種が何が残せるだろうか。
実はこういう旅を続けると、絶対に声にならない声と遭遇することが必ずあるとは思っていました。こういうネガティブな言葉がおそらくこの地にもっと、意見として、どこかに届くべき声なんだろう
そのような可能性のある声です。
実は私は今、福井のまちづくりの代表理事の方に伴走していただきつつ、
イベントを運営するようなことを計画している状態です。
そこで、駅の可能性についてもぼんやり考え始めているもので、
あ、この方の声は、私に向けられている声でもあるんだなと感じました。
そういえば先日の意見交流会に来られたとある方の言葉が印象深かった。
「ぶっちゃけ、何かあるみたいにこういうイベントで言ってますけど、
本当は、ここには何にもないですよ」
おそらく、
「アートに何かができる」は烏滸がましい。綺麗事。浅ましいこと。
でも可能性を探究するという綺麗事には理由がある。
先日、インタビューを受けていてプロデューサーに言われた一言。
「渡邉さんは逆境に強いんですね」
可能性の探究、これは逆境から生まれた言葉。
世界の拡張、知覚の拡張、私自身の行動の拡張、
どう考えたってくだらない人間の自分。
でも、絶対に自分をダメにしないという信念。
諦めない戦い。
地方には地方を諦めない力もあるかもしれない。
何ができる。何がしたい。
なんで、こんなことになる。
色んなことを考えます。
そして、戸田行きのバスは本数がなく、行っても時間的に無理なので断念。
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宿ちかくに戻り、夜は、天丼を食べたいと思い
ネットで高評価だったお店へ。
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静岡は優しい味が多いのかもしれないなと思いつつ、
ご馳走様でした。
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あと、耳栓ですが、沼津駅の案内所の上のお店に行くと、
薬局があって、そこにありました。
全然なかったので、助かりました。
もしこれを見られてるかたで、来年のMAWに参加される方で、忘れた時は参考にしてください。その時には、あるかどうかわかりませんが、探してみるといいかもしれません。
ゲットして寝たのですが、この日、かなりぐっすり眠りました。
やはり不眠は、あからさまに、環境音が原因でした。
私は騒音性難聴になった時、実は耳鼻科で聴覚が異常に高いということがわかっており、なんで難聴なのに、ここまで聞こえてるのか、難聴になる前は、どんな音が聞こえていたのか、などと、かなり医者にびっくりされた経験があります。
私みたいに音に敏感な方かなと思われる方は特に、宿に泊まるときは、お気をつけてください。