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タン・ルイ「(滞在まとめ)」
滞在の初日のnoteに自己紹介を忘れていましたので、改めて自己紹介をマレーシア生まれ育ちのタン・ルイと申します。普段は身の回りにある日常的なものを通じて、「普通とはなにか」を感じたことを美術作品で表現しています。よく知られている作品は、洗濯バサミを使って作る空想の生き物たちのオブジェです。美術家です。現在は静岡県袋井市に住み、「アーティスト・イン・レジデンス in JAPAN」と称しながら、日常生活の出来事を通じて、新たな視点から再発見する作品を制作しています。
MAWの旅へ行く前にいくつか制作することを計画していたが、人と会って楽しくなちゃって、黙々作業をやめて、まず交流しておこうと思いました。文の最後に旅で出会った人々の職業、活動や交換した名刺や資料を記録としても、noteでみんなと共有させていただきます。
1、モノづくりの道具と機能
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初日、Fablab浜松の有希さん宅にお世話になった際、小学二年生の娘さんが、おにぎりを作ってくれました。キッチンでお母さんの隣に立ち、左手には子ども用のスイカ柄のお茶碗を持って、「ラップを使う?」と聞かれると、「手でにぎる~」と答えて、小さな手で塩水をつけながら一生懸命握る、少し不格好なおにぎり。
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でもその素朴さには温かい心が感じられ、子どもサイズのおにぎりを10個ほど作ってくれました。
この「スイカ柄のお茶碗」は、彼女のおにぎり作りを支える道具であり、手にぴったり合う、自分専用のお茶碗のように見えました。
お母さんの有希さんは、3人の小さな子どもの育児、送り迎え、自身の仕事、さらに「旅人」の私たちの面倒も見ており、多方面で『機能』を発揮していました。家族、仕事、社会に対して、それぞれに果たすべき『役割』があって成り立っているのだと感じます。
モノの『機能』と、人間が持つ『機能』について改めて考えさせられます。ここで言う『機能』とは『役割』とは異なり、「何ができるのか」ということ。人は生きていく中でさまざまな『機能』を必要とし、持っていますが、では美術やアート、芸術にはどのような『機能』があるのでしょうか?単に心を豊かにするものなのでしょうか?それとも日常にささやかな彩りを加える存在なのでしょうか?今の自分には、まだその程度しか思い浮かびませんが、…
2、自分だけの宇宙で暮らすーどんな状況であれ、それがその人にとって最も理にかなった空間
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浜松で文化的な場所といえば、鴨江アートセンターがすぐ思い浮かびますが、もう一つ印象的な場所があります。それが『レッツ』(特定非営利法人 クリエイティブサポートレッツ)です。10年ほど前にその名前を耳にしたとき、障がい者のための場所というイメージを持っていました。今回、MAWのきっかけで初めてレッツが運営する『たけし文化センター』を訪れました。
商店街に面したガラス張りの建物に入ると、様々な描かれた作品や物、服がハンガーにかけられ、天井近くまで並べられていました。その隣には大きなカニの絵が飾られ、建物全体が独特の雰囲気を醸し出していました。入ってすぐに、目が合ったスタッフの方が、ここは主に重度の知的障がい者の方が利用している場所で、自由に見学して構いませんよ、と親切に案内してくれました。そして、「荷物は事務所に置いてもいいですよ。この辺に置くと中を開けられるかもしれませんし、2階に行くならスリッパに履き替えた方がいいですよ。床にヨダレが落ちているかもしれません」と、笑顔で優しく教えてくれました。
中には、人形を抱いて虚ろな目をしている人、目が合うと不安そうな表情を見せる人、大きな声で独り言を言う人、相手がいないのにぶつぶつ話す人、物に向かって真剣に話しかけている人、入口の前にうつ伏せで何かを考え込んでいる人、ひたすら何かを探し続けている人、引き出しを開け閉めする人など、さまざまな人々が、それぞれの「自分だけの宇宙」で生きているようでした。
私自身は障がい者の認定されていませんが、社会的な立場や国籍、性格などでマイノリティの位置にいることが多く、最近では、スマホに没頭し周りと会話のない人もまた「自分だけの宇宙」に生きていると言えるかもしれません。
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この場所は、スタッフも含め、多元的な宇宙が集まっている空間です。その日、私は階段に腰をかけて、大きな空間の中で、自分だけの宇宙に浸っているような感覚を味わいました。ここでは、お互いがそれぞれの自分でいることが許されている気がしました。
※互いの宇宙が重なり合うこの場所で、唯一の共通言語は『日本語』でしたが、それ以上のつながりがそこにはありました。
3、多文化共生
今回の旅を通して、日本国内で多文化共生や国際交流を推進するイベントが多く開催されていることに気づきました。10月からはFablab/Take Spaceでお世話になっている竹村有希さんが、JICA浜松に着任されていることを知り、竹村さんと朝食を共にしながら、多文化共生について話し合う機会が増えました。
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私は多民族社会であるマレーシアで育ちました。単一民族の国日本にきて、めっちゃいいな〜と思いました。言語一つだけ勉強すればいいし。マレーシアの映画では、マレー語、マンダリン、英語などが同時に字幕表示されることが多く、言語の多様さが日常の一部となっています。マレーシアではマレー系、中国系、インド系、ユーラシアン(欧亜混血)、先住民族など、多様な民族がそれぞれ独自の文化や言語、習慣を持ちつつ共存していますが、その共存には多くの困難もあります。私の祖父は約1920年代に中国の広東から南洋へ出稼ぎに、戦争の影響で中国に戻れず、現地で新たな生活を築きました。私たちは、1957年にマレーシアが独立してから国籍を持つようになり、現在は「華人(中国系マレーシア人)」と呼ばれています。
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多文化社会の良い面としては、国全体が多宗教であるため、各民族のお正月には他の民族が協力し合う習慣があることや、多彩な食文化が共存していることが挙げられます。また、マレーシア人は複数の言語を混ぜて会話することが多く、2つ以上の言語を理解できないと話についていけないこともよくあります(笑)。近年、中国の経済力が強まったことで、他民族の生徒が中国系の学校に通うことも増えており、中国語を話すYouTuberや歌手も登場しています。
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袋井市に戻った翌日、娘の小学校の運動会に行きました。今年の運動会では、日本語のほかにも、ブラジル、中国、インドネシア、ベトナム、フィリピンの言語によるスローガンと国旗が掲げられ、多文化共生を意識した内容になっていました。日本とブラジルはどちらも単一言語の文化が強いですが、学校の連絡アプリにはポルトガル語も取り入れられており、日本語にまだ慣れていない保護者への配慮が見られました。これは過渡期の取り組みかもしれませんが、特に静岡県西部では、幼少期からポルトガル語を学ぶ機会を増やすことも良い取り組みかもしれません。こども館や子育て支援センター、幼稚園や保育園、小学校などで多言語教育を取り入れることで、言語の壁や差別が少しずつ解消され、翻訳支援もさらに活用されていくことでしょう。
4、お礼と今後の展望
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この旅を支えてくださったMAW2024アーツカウンシルしずおかの皆さん、Fablab Hamamatsu(竹村真人さん&有希さん)、共に旅をした宇宙軒明星さん、橋爪亜衣子さんに心から感謝します。
とても充実した旅となりました。次回の制作にも必ず活かせると信じています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
5、出会った人々とのリンク
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タン・ルイ/TAN Ru Yi IG: @the.tanruyi
https://tanruyi.blogspot.com/
tette+(スズキサチコ&タン・ルイ)IG: @arttette.plus
https://arttette-plus.blogspot.com/
地域の皆さんに「自分の手で、自分になる」創作の楽しさをお届けするため、さまざまなアートワークショップを企画しています。2024年4月結成したばかりです!よろしくお願いします!
展示・活動のお知らせ
Fablab浜松(Masato Takemura)とタイのアーティストHenry Tanのコラボ作品。
Pillars of Creation
By Henryandpartners
Fablab Hamamatsu
2024
Emergence: Art from Life as part of PST ART presented by Getty
2024年10月8日ー12月15日 会場:JACCC
https://www.fathomers.org/emergence
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竹村有希「思い出茶隧道ずいどう」
掛川茶エンナーレ2024「Moving~日日是動日~」/公募アートプログラム
2024年11月2日ー17日
会場:掛川市西郷ファーム
https://www.chaennale.jp/2024/
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宇宙軒明星(本名:北野留美)IG: myojo_uchuken
生活文化研究、町歩きの小冊子をつくっていくうちに、その実践に興味を持ち、民謡の勉強をはじめる。2016年より、東京にて初代桜川唯丸流・江州音頭を研究するモノガタリ宇宙の会に加入。音頭ネームは宇宙軒明星。
オバケダイガク
https://obakedaigaku.themedia.jp/
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宇宙軒明星さんが我妻恵美子さんが手がける舞踏公演「そぞろ」に参加。墨田区の旧工場で、「北斎漫画」オリジナル江州音頭を披露。
2024年11月8日ー10日
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橋爪亜衣子さん IG: @hashizumeaiko
別府市にあるアーティスト・イン・レジデンス/企画チームの(ゆ)、土間つき物件ドマコモンズを運営。
橋爪さんから母国マレーシアの「Buku Jalanan Chow Kit」施設を知りました。BJCKはKL市内チョウ・キット地区の国籍(多くはインドネシアやフィリピンからの出稼ぎ者の子女)や人種の関係で市民権を得られないことで、学校に行けない子供たちの施設。
https://www.facebook.com/BukuJalananCK/
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Fablab浜松(代表:Masato Takemura /事務局: Yuki Takemura(専門Code &糸)
鴨江アートセンター https://kamoeartcenter.org/
特定非営利法人 クリエイティブサポートレッツ(レッツ)https://cslets.net/
たけし文化センター
ちまた公民館
プスプスby Zing リソグラフ印刷(吉田朝麻&すずし)
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横尾歌舞伎資料館
静岡県浜松市浜名区引佐町横尾、白岩地区に毎年秋に上演される江戸時代前期から伝わる農村歌舞伎です。最古の記録は寛政6年(1794年)となっています。地域の保存会が地元の役者やスタッフと共に運営。公演は回り舞台を備えた開明座で行われます。〔横尾歌舞伎定期公演 ——— 毎年10月の第二土曜日と日曜日に定期公演 ※要確認〕
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浜松市博物館
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/
浜松蜆塚公園(浜松市中央区蜆塚4丁目22-1)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/04smzkap/kouen.html
ツインギャラリー蔵(貸しギャラリー&カルチャースクール)
https://www.gallery-kura.com/
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心を託す場所 付近のお寺
浜松市佐鳴湖湖畔 臨済宗寺院 西湖山 龍雲寺
https://www.ryouun.com/
「光の納骨堂」
臨済宗妙心寺派 白華山 永福寺
https://eifuku-ji.com/
浜名湖と佐鳴湖を結ぶ新川放水路が前面にある。
浜松発明研究会
竹村惠津子氏(浜松エリア 出張着付け)
「着物の美を、あなたの身近に。」着物歴28年。成人式や卒業式、入学式など、特別なイベントでの着物を楽しむ方々に向けて、心温まる出張着付けサービスを提供しています。
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竹村義秀氏(杭州寒蘭の愛好家・鉢作家)
民宿あら磯
(10月22日/雨の日。自転車で民宿まで行きました。一泊二食付きの民宿に初めて一人で泊まりました。建物はどこか懐かしいレトロな雰囲気で、きれいに手入れされています。初日は緊張して静かに夕食を食べましたが、翌朝はお母さんと楽しくお話しできました。チェックアウト時には手作り品をいただき、嬉しかったです♡ 宿の息子さんは漁師で、フグの免許も持っているそうです。お母さん、ごちそうさまでした!)
浜名湖畔にある料理自慢のアットホームな民宿です。
静岡県湖西市新居町新居3288-9
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すし衛門(入野店)
お持ち帰り寿司専門店。
浜松市西区入野町14838-1. TEL・FAX:053-440-9555
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更紗屋 - アジア各国料理
浜松市中央区田町325-10
https://sarasaya.gorp.jp/
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炭焼きレストランさわやか
県外の人が静岡に来たら、炭焼きレストランさわやかのげんこつハンバーグをぜひ食べてもらいたい!