今宿未悠「あとじまい(7日目)」

最終日、朝四時に目が覚めました。隣の部屋に住んでいらっしゃる方なのか、ずっと人の気配がしており、扉を開けたり閉めたりする音、大きな、私は先日の豪雨でひいた風邪をぶり返し、朦朧とする意識の中で、熱の中に浮かびながらその音を何度も聞いていました、深夜に。2時にも3時にも同様の音がしていたので、もしかしたら人ではないのかもしれません。
朝四時に完全に目が覚めてしまい、すりガラス越しの三島の街の暗さをぼんやりと眺めていました。電灯のあかりがまるく白くて、それ以外は薄暗く、でも時間が流れるにつれその白いのの輪郭が徐々に薄まっていき、暗さはほどけていき、気づけば同化して朝が来ていました。

最終日は、よく晴れました。富士山も見えました。

晴れた空の下、荷物をひきながら、熱に浮かされた私は帰路につきました。ここに来ている間に起きた自分の変化に思いを馳せながら、でも電車はゆっくりとした一本の道しかゆかずに、その単純さがなんだかとても頼れるものであるように感じました。

水も、人も、地面も、時も、全てが流れていて、そこに生きることを思うとき、少しだけ自分の窮屈さから離れられる、そんな気がしています。

1週間お世話になりました。特に西島さん、さまざまな機会において気にかけてくださり、心からありがとうございました。

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