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渡邉帆南美「ご縁をふたたび(6日目)」
先日大変お世話になったモンミュゼ沼津 沼津市庄司美術館 副館長の松永純さんにドライブで町を行き、海岸沿い、山を深い歴史のお話を交えながら、ご案内いただいり、アーティストのすぎあこさんや、松永さんからご紹介いただいたアーティストの本田照男さんとお話するなど、この日もかなり密度の濃い出会いをいただきました。
先日美術館を訪れた際、すぎあこさんが展示準備中で、ここ最近の暑さのせいで、梱包材が作品に付着し補修をしたりもしなければならないとも、おっしゃっており、展示準備中の絵画の迫力に、完成した展示もとても気になったので、ちょうどまだ日数があることだし、また完成した展示を見に行きますとお伝えしておりました。
そして展示を拝見。伺って良かったと感じました。
行ける方、始まったばかりなので、ぜひ観に行ってください!
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針金アートがぶら下がっていたり、水彩なのかと思ったら、デジタルで描いているというプリント作品がある面白さ!
濃いギラギラした私の絵とは全く違うタイプの繊細さや柔らかさや、美しさを持ったすぎあこさんの絵。その違いはあるけれど、実は私と同様にデジタルもアナログも差を感じずに自由な表現をされているということで、すごく面白く拝見しました。
すぎあこさんには、展示作品だけでなく、ゲームのキャラクターデザインをしていた当時の貴重な作品の資料を見せていただいたり、
絵画の構成の話、光の抜き、力の入れ方、写実描写とデフォルメへのこだわりなどの話にまで発展し、すごく勉強になる良い時間を過ごさせていただきました。
また、表現する媒体によって違う手応えの良さがあり、全然違うそれぞれの差異を沢山楽しめるのは、色んな作風を持っている作家ならではの経験であると実感しました。
そして、非常に印象深かったのは、私が金魚に赤ちゃんの様な印象を持っていながら鑑賞していたら、最後に赤ちゃん(子供)の肖像画が飾られていたことで、非常に納得がいったこと。
すぎあこさんが、「描いている金魚が鳥に見えることがある」とおっしゃっていて、本当に作品を拝見していたら、インコのように見えてきたこと。
これらモチーフは、別々の造形でありながら、一貫してすぎあこさんの印象が繋がって見えたことは、とても面白く、それは核心というものが変わっていないことの表れで、どのような媒体となっても崩れない何か美意識があるからなのだろうと感じました。
金魚の造形も写実とデフォルメのバランスを考えて描かれている
すぎあこさんのすごい技が面白い展示と思います。
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その後は、副館長の松永さんと、お話をさせていただきました。
本当にご親切に沢山お話をしていただきました。
ハザードマップを見ながら、昔、どのあたりに文人や皇族がいたのか、
どこで漁をしていたのか、地形がどうなっていたのか、もしも津波がきたらどうなってしまう恐れがあるのか、川の流れのこと、
ここの地域性、イベントを運営する時の人の流れのこと、
などなど、とにかくものすごい濃い沼津の歴史、文化や、
美術館の運営、地域のイベントの難しさ、様々なことを教えていただき、
かなりすごい時間を過ごしまして、お話だけで、気づいたら3時間!
本当に貴重な知識を沢山教えていただき、ありがとうございます。
お話の中で、私が千本松原を見たことがないという話になり、沼津に来て千本松原を見ていないのはまずい!と、松永さんが案内をしてくださりました。
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この松を見たらいかに風が強いかがわかると松永さん。
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マツクイムシから、松を守る際の薬剤散布が、毎回かなり大事になるのだそうです。風があった時で、50m飛ぶくらいの範囲だそうです。
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また、美術館では松永さんが
「せっかくだから、普通じゃ見られない収蔵庫、見てみます?」
「え?いいんですか?」
この日、何度目かの「え?いいんですか?!」。
一体、何回、口にしたのでしょうか。感謝しかありません。
収蔵庫では作品をどのように所蔵しているのかや、展示されてない版木、
すごい装飾の嗅ぎタバコ入れのコレクション、小説の表紙になった絵と版木、ワークショップで作ったお散歩する犬のオブジェなど展示されていない数々のものを見せていただきました。言葉にならないほどすごい刺激を受けました。
やはり、作品の形状、大きさというものは保存に影響するというお話などをしました。
その後、美術館閉館後には、松永さんがドライブで色んな場所に連れて行ってくださいました。
「これが貴重な石碑。これが東海道五十三次の道。」などなど。
私は、目に見えない存在を意識して絵を描くこともしていますが、
教えて頂かなければ、通り過ぎたかもしれない街の魅力というところに、
その感覚を重ね合わせ、やはり、こういう視点を持つことは大事だと感じました。
素通りする日常の街かもしれないけれど、可能性がこんなにあるんだということ。知ると街の見え方まで変わってしまうこと。
こういうところに宝はあるものだと実感します。
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山を登ったりもしました。
少し薄暗い山道を登っていくと、文人が歌を詠んだから建てられた石碑があったり。なかなか観光じゃ、誰も来ない場所にご案内くださり、
ありがたかったです。
地元の人は桜を見にきたりするらしいです。
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マップで見た街をリアルに見ます。
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松永さんに、アーティストの本田照男さんをご紹介いただきました。
この日、ちょっと前に美術館でご挨拶したのですが、改めてアトリエへお邪魔しました。
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本田さんの作品はものすごいパワーがあり、圧を感じました。
以前は長く焼肉屋さんをされており、
急に音楽を聴いていて、絵描きに目覚めたそうで、
それからずっと作られています。
初期衝動の特有な勢いというものが存在しますが、
エネルギーは高い方がすごい強いものが描けると思い、
私の初期衝動、どうなってる?もう一度、
取り戻したいという気にもなりました。
また直接、雑貨に描く活動を以前していたので、かなり共感しかありません。
本当に面白かったです。
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基本的にはペンで描くのが好きだそうです。
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種田山頭火の良き言葉があったから、この資料持ち帰って読んでみてと本田さんにいただきました。孤独の強さ、沈黙の深さ。
私も逆境があったから、可能性を探究することができていると思います。
一度内側に行った人間は強烈に開く、そのような岡本太郎の言葉を思い出しながら、
やはり、心の奥底の衝動だよなあと、
もっともっと楽しく、そして自分に正直に描こうと思えました。
また本田さんは「アーティストは平和を願っているべきだ。」という思考もお持ちで、作品だけでなく、ご本人もすごく情熱的な方でした。
何をお話していいのかわからなくなるような、ずっと見てしまうエネルギーの大きな作品ばかりです。
このように、この日はかなり濃い時間を過ごすことができました。
全て松永さんのおかげです。感謝しても仕切れません。
なんだか私、いい人にばかり巡りあってる。
以前、版画について教えていただいた時も、心に残って離れない言葉がありましたが、今回も非常に心に残る貴重な体験と温かい気持ちになる思い出となりました。
「もしかしたら、渡邉さん、静岡に移住するかもね」
そんな謎の予告の言葉をいただいた時は、笑いましたが、
深く身を置けたり、関わりができるかもしれない場所になる気がします。
今回は、一度いただいたご縁を、再び深く結びつけていただけるような
貴重な一日となりました。
今回いただいた温かいパワーを胸に活動や、私にできることを通して、
いつか沼津や、松永さんや、お会いした方々、世界中の皆さんの元へお返ししたいと思います。