関口彩「この町で暮らすということ(2日目)」
吉田町、滞在2日目。
海街っ子の私。今日は必ず吉田の海へ行こうと思い、朝から車を走らせました。
走らせた、といっても、わずかな距離。運転をしていると、吉田がほんとうに小さな町だということを体感します。あっという間に任務エリアから出てしまいそうだけど、昨日「エリアから少しくらい出ても大丈夫ですよ」とお墨付きをいただいたので、そこは安心してどんどん行こう!
さて、ナビ上では海に着いた。しかし、海がない。目の前に立ちはだかるのは、なんと海抜11.8mの防潮堤。
南海トラフ地震に備えて作られたものらしいけど、見たことのない物々しい堤防を見て「要塞のようだ…」と、とたんに怖くなりました。もちろん人の命を守るためのものなんだけど、「命を奪う前提の何か」を連想させる人工物は、安心よりは恐怖。見慣れた海と対比したときの自分の心の動きが、とても興味深いものでした。
それでも海を求めて11.8mを登ると、てっぺんは遊歩道になっていました。その目下には太平洋。今日も富士山は見えない…!
海に引き寄せられ波打ち際に近付いたけど、またあの防潮堤を登るのか…波が来たら死ぬな、と怖くなり、長居はしませんでした。この辺りの海は石と砂が混ざった浜で、砂が黒いのは印象的だなぁ。
お次はGoogleマップで気になっていた「津波避難タワー」へ。避難タワーってなぁに?とえはらさんに質問すると「歩道橋の道幅が広くなったような、津波が来たときに逃げるための建物です」と教えてもらっていました。マップ上の赤いのが避難タワー。結構あります。
私が住む富山県は、今年元日の能登半島地震で被害のあった土地ですし、能登自体は何度も震災の被害を受けている土地ですが、そびえ立つ防潮堤も避難タワーも初めて見た。同じ日本でも「裏日本」「面日本」という言葉が生まれるくらいには、人の意識の違いがあるということを、まざまざと見せられたようでした。
ところで、「吉田は何もないよ」と地元の人から言われていましたが、確かに何もないかもなぁ…と田舎出身の私でさえも感じているところなのですが…
何もないのに、あんなに立派な防潮堤や避難タワーを作るわけがないのです。そこには人がいて、人がいる理由があるから「町」がある。そこには必ず歴史や文化があるぞ…!と午後から図書館で町史を読んでいましたが、まぁ、長い上に(縄文時代くらいから遡るから)眠くなってしまったので、また今度。
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