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佐野風史 / 早田仁知 「[kʰakʰʲi̥kʰo̞] (6日目)」
みなさんこんにちは、10月28日から静岡県は白須賀周辺を探索している 佐野風史 / 早田仁知 です。
私たちは、「音象徴」を切り口に、聴こえてくる音を言語音に変換すること、そしてその音(おん)を再構成したときに立ち上がる情景を探究するPhonoscape Projectという活動をしています。
1日目以降のnoteは交代交代で書いていくつもりでしたが、昨日に引き続き、今日のnoteも再び2人で共同編集しながら書いています。
それでは、ここから下は、今日を振り返った色々な話…。
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今日は、おいでん村からスタート。おいでん村とは、地元の農産物が直売されている場所のこと。実際に行ってみると多種多様に野菜が売られていてとても美味しそうだった。なんと今日から焼き芋がスタートらしく、初売りの焼き芋を食べることに。「まだ全然熟成されてないから…」と言われていたけど、実際食べてみると蜜もしっかりしていてとても美味しかった。たまたまお芋を作ってる方にもあって、おいでん村の温かい雰囲気を味わいながら心も体も温かくなった。
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そして、このおいでん村には「燿変天目」という焼物が販売されている。この柄がまた美しく、僕らも器の前で足を止めてしまった。じっとりとショーケースを見ているとお店の方が声をかけてくださり、ショーケースの中を見る機会をいただけた。さすがに見惚れる美しさ。引き込まれる色、模様。ここでは、研究者の大平さんが制作している作品が販売されているらしい。なんとも盛り沢山なおいでん村だった。
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そのあとは、白須賀の古い街並みが残る通りを車で走ってみる、そして足で歩いてみる、ということをやってみた。双方視点位置が違う方法を比較しながらやってみることで、見える景色や、聞こえてくる音、気付ける道が異なることに気づけた。車で走っているときは街全体の雰囲気を掴むことができて、歩いてみると細かいところが見えてきたり、裏道にまで入り込めた。また、車で走っているだけでは気づけない音もたくさんある。
ふらっと周辺を散歩してる時に気づいたのだが、今回よくお邪魔している白東館の近くには道路の下を通る地下通路がある。この通路はまっすぐ一本の道が繋がっていて、音の反響が面白い。端っこでパン!と手を叩いたりズボンを叩いたりして音を鳴らしてみると、数秒後に反対の端っこから音が返ってくるようにして聞こえる。ちょっとした時間差で音が返ってくるのが楽しくて少しの間遊んでた。
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お昼ご飯には、3日目にお世話になったシラスカリフォルニアの杉山さんのお店、ミナトジュニアでご飯をいただいた。早田はロコモコ、佐野はタコライスを食べた。二人とも大盛りにしてもらったので満腹になるまで食べた。フライドポテトが入っているのが嬉しかった。
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毎日の日課的に、今日も海に向かった。白須賀の海は天気が良くても少し荒い印象を受けるが、今日は特に荒かった気がする。いつもなら波がどこまで浜におしよせるかなんとなくわかるが、今日はそれが分からなかったので、自然の怖さのようなものを感じた。
豊田佐吉記念館へ、前回訪れた時はできなかった人力織機の体験をしに行った。「シャットル」と呼ばれている、横糸を運ぶ小さな船みたいな部分が、縦糸の間を自動で往復する機構を間近で見ることが出来て非常に面白かった。人力織機で布を編むには、「踏む→押す→トントン」という動作を繰り返す必要があるのだが、かなり力加減が絶妙で、思っていたよりも難しかった。リズム感が大切だそうで、編むリズムが途切れ途切れになってしまったりすると編み方にムラができてしまうそう。
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この織機で指導をしてくれた方から色々な話を聞けで面白かった。特に、「新居のお店には昔からの名前が残っている」という話が面白かった。例えば「まんじゅや」。まんじゅうや、ではなく、まんじゅや。これは万寿とかいてまんじゅらしい。そして、地元の色が強くでている「かきこや」。初めて聞いたときは牡蠣の小屋なのだろうか?と思っていたが聞いてみると、カツオ節を削った時に出る粉のことを「かきこ」というらしい。これが由来となって「かきこや」なのだとか。一説。
本当なら車から降りて周りの音に耳を傾けながら散歩したかったのだが、とんでもない雨風に襲われてしまった。ひどすぎる雨が続くならどっかのスーパー銭湯でゆっくりしようか…などと話し、一旦浜松の方へ車を走らせることにした。塩見バイパスを車を走らせている時にとてつもない横風に煽られて少し怖かった。
夜ご飯には、道中にあったさわやかでハンバーグを食べた。焼き加減がレアなのが嬉しいし、牛肉ってやっぱり噛みごたえがあって満腹になる。
ハンバーグを食べながら、Phonoscape Projectの今後について少し話し合った。岐阜・京都・静岡と実験(?)場所を転々としてきて気づいたこととかを二人で話し合った。僕らにとって面白いだけじゃなくて、その地域の人にとっても何か面白さを残していけると良い活動になっていくよね、という話だった。
さわやかを出ると雨が上がっていた。わざわざ浜松の方まで出てきたが、雨が降ってないなら湖西の方に戻ってちゃんと旅人を全うしたいということになり、白須賀滞在の最後のお風呂に、再びみどり湯へ向かった。
みどり湯の番台のおばあちゃんとのやり取りも今日で最後と思うとほんのり寂しい。また来よう。
そう心に決めてみどり湯を出て、少し経ってからシャンプーをみどり湯に忘れたことに気づいた。こんな早くにまた来ることになるとは…。