Atelier Monte Piccolo Hostまとめ


こう見える予定でした

9月末の富士山はshy girlで、なかなかスカッとその全貌を披露してくれなかった。この町の唯一のキラーコンテンツなのに・・・と少々恨みがましく西の空を仰ぐ。
旅人はお二人。沖縄とヨーロッパを飛び回っているなおちゃんと、劇団を主宰しこれまた全国を飛び回っているいっち。
そんな豊富な経験値の中で、おそらく最も不便なこの町での生活はどうだったのだろう?と、NOTEを読み返す。
美しい写真、素敵な言葉たちが目と胸に飛び混む。一緒に歩いた山道やお酒を酌み交わしながらの会話を思い出す。
不便な町に滞在いただき、Hostとして十分なケアができていた自信は全く無いけれど、お二人がとても楽しそうにしていて下さったおかげで、1週間を無事に終えることができた。
案内しながら自分も町を見つめ直し、いつもの人々といつもとは違う話をした。
見えているのに見ていないもの、聞こえているのに聞いていないことの多くに気付かされた。
そして、あまりにも自分がこの町を「知らない」ことにも。

数十年前。生まれ育ったこの場所に戻ることを決めた時、私は何かを捨てた気がしていた。むしろ確かな喪失感があった。
今「ここに戻らなければあったかもしれない未来」を想像してみても、それが魅力的に見えないのは、ここにいる自分が幸福だからなのだろうと思う。
この町が好きかと問われたら、答えに窮する。住む街を探しているという人がいたら、決してお勧めはしないだろう。でも、私は幸せに暮らしている。
その理由の幾つかを、お二人は滞在の中で確かに見つけてくださったと思う。本当に些細な事柄に気づき、慈しんで下さる姿勢に打たれた。
ポチッとすれば明日届く多くの物や、検索すればすぐにでる答えは、確かに我々を豊かにしてくれているのだけれど、ものごとを汲む感性は、丁寧に対象と接しなければ育たない。
スーパーには並ぶことのない数々のキノコ。
ミイコさんが嫁いで来た時の気持ち。
ようやく顔を出した富士山。
ミランダの早朝の密かな楽しみ。
見直して、聞き直して、丁寧にココロにしまった。

今、旅先でこれを書いている。
しまったものをちょっとだけ取り出して書いている。
とりとめなくて、とても「まとめ」にはなっていないのだけれど、書いていたらちょっとムズムズしてきたw
多分これが、今回のMAWで私達が得たナニカなんだと思う。

このナニカに名前をつけてしてしまうと、途端に嘘臭くなる気がするので敢えて避ける。
それがいつか形になるように。


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