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早渕仁美「みなが目指すもの。(6日目)」

こんにちは、吉田町を旅する早渕仁美です。

今日も昨日に続き、商工会に所属しあらゆる町の事業に取り組まれ、そしてご自身はデザイナーをされている遠藤在さんに、旅人の関口彩さんと一緒に町をご案内いただいた。

まず向かったのは、吉田の芋まつばを製造販売されている松浦食品さん。
芋まつばって私は馴染みがなかったけど、芋けんぴのと同じ呼び名の一つ。

松浦食品の松浦さんにお話を伺った。
まず芋まつばという呼び方について、松の葉に似ていることから来たのでは、と松浦さん。この呼び名が好きだと語る。

松浦食品有限会社

吉田は昔、さつまいも畑がたくさんあったらしい。さつまいもは砂地で育つため、海に近いからさつまいもを育てる人が多かったのかなと予想した。

松浦食品の先代は当初水飴を作っていた。それが芋を今の形で加工することに発展。
当時はさつまいも農家が会社までリアカーや軽トラで売りに来て、秤で計測して買っていた。
松浦さん「分かる?こう重りと照らして計るやつ」
分かる。多分実家にあったやつだ、台に荷物を置いて、秤の重りを増やしていき金具が浮いて釣り合いの取れたところがそれの重さとするやつ。少しだけ感覚を研ぎ澄ます作業。
農家が売りにくるたびに、計って買っていたそう。

会社は製造の過程をより進化させていって大きくなり、たくさんの製造が可能に。
そんな中、さつまいも農家は減少。吉田では採れないので県外から仕入れるようになる。
松浦さんは語る。「変わらざるを得ないことがある。吉田のものにこだわっていては作れなくなる。」
そんな中でも、吉田から離れることはない。
さらに松浦さんは「やっぱり地元の人に喜んで欲しい。地元のものとして芋まつばがあって欲しい。」と語る。

コロナ禍での記憶に新しい。変わったもの、変わらないものという点。
変わることで生まれたことや、もうしなくなったこと。
芸術も同じ。時代や技術、社会背景が変わる中で作品も変化していく。
ただ、本質は変わらない。忘れかけるけど、また、変わるということによって、それを気付かされる。

松浦さんは地元に根付いた芋まつばを作る。
今でも技術進歩のために会社内で検討を重ね、あらゆる食品も手がける。
それはただただ美味しいものを作り、まずは地元に届けるために。

続いて!
NK整備さんにお邪魔した。
一瞬でおちゃめで親しみ深い人と分かる、中村功尚さんが出迎えてくれた。
NK整備さんは町の水道屋さんなのだけど、ただのそれではない。

水鉄砲

工事の制作過程で使用する3Dプリンターを活用して水鉄砲を制作。イベントでは子どもたちの人気ものに。
中に剥き出しの塩ビパイプが入っていてかっこいい。

ノベルティをもらった。
ロゴは遠藤さんデザイン。

支援学校の生徒さん向けのパズルも。
トイレ

これは介護用トイレ。ベッドの横に設置する介護用トイレをなんと水洗に。下水工事をしなくても近くの下水排水にホースを伸ばせば可能に。私の実家も祖母と祖父がいるので、とても身近に感じる。驚いた。

説明してくださる中村さん

こちらは災害の時に水を汲み上げる試作品。将来的には一家に一台、備えとして置いておくべきものになる。

外付けのトイレ
中はこんなに豪華

これはイベントなどに使用されるトイレ。
我慢して入るトイレではなく、快適に過ごす場所として。

視力検査自販機と夏用ミスト噴射システム。なんでも作る。

中村さんはトイレを大切な生活の一つの場面として捉える。
みんな綺麗なトイレを使いたいし、毎日何回も行く場所。
よく考えると、どこかでトイレは生活から逸脱していて、生活とは分断するように意識しているかもしれない。
当たり前だったんだけど、トイレがどれだけ身近で、どれだけ私たちの生活を豊かにするのかを気付かされた。

ここでランチタイム。
吉田はここに行かなければ分からない、逆にここに行けば吉田が全部分かるという謎の噂もされるカレーショップきしばたへ、。

カツの切り方と盛り方を選べる
カツカレー普通盛りの中辛。¥1,200

全席カウンター、真ん中の厨房もすでに味がする。
パラパラのライスにスパイシーなカレー。かつもやわらかい。
めちゃ美味しかった。

ここで遠藤さんとは一旦別れ、
今回のホスト小山城夜市を運営するえはらしゅんすけさんに会いに、
経営するお店CHILLIN COFFEE(チリンコーヒー)へ。

飲み物を作ってくれるえはらくん
ダルゴナ(カルメ焼き) 香ばしくて美味しい‥!

えはらくんとゆっくり話をした。
彼は小さい時、お母さんと知り合いの喫茶店に
営業時間外にいることがよくあって、
何をするわけでもないその空間が心地よかったと話してくれた。
営業時間外だから、電気もそんなについていない、
静まった穏やかな空気が記憶に残っていて、
お店をやりたい気持ちはそこからあったそう。

とても良い話で。
人には色々いて、美味しいコーヒーを淹れたい人、
コーヒーの香りを特別に感じている人、
ただ喫茶店にいたい人、無限にいるよなぁと思いながら話を聞く。

えはらくんがコーヒーはとてもカジュアルだから、と繰り返し語る。
コーヒーを淹れてもらい、お茶することで、
そこにいる人と共通点ができてお互い何かしらの許可がおりる。
そうやってカジュアルに、人と、空間と、もちろん美味しいコーヒーの味と繋がることができるんだな、って思ったりして、とても良い話をした。


さてさて!忙しいよ!
夜は商工会にお邪魔した。
もうすぐ開催される吉田野営の準備で忙しくしているみなさん。

青年部部長の高橋大吾さんにお話を聞く。
吉田野営は吉田公園でのキャンプを中心に飲食ブースやショップがきて、
花火まで上がる超豪華キャンプ企画。
キャンプ場で整体もできるよ!

全部手作りするこだわりの商工会

企画が凄すぎて商工会青年部の中で関東代表になって表彰されたらしい。
それもなっとくの企画。
キャンプの魅力の発信とともに、吉田への移住も検討できるというねらい。
会社終わりに準備するみなさんの熱量が込められた企画。

キャンプさいこう!!

この流れで株式会社SAKANEさんをご紹介いただいた。
坂根哲博さんと広報担当のさわざきいさおさん。

魅力的なプロジェクトを始動されている。
「空間と!(おどろき)をカタチにする」
をテーマに、屋台のような移動式居酒屋を展開。
プロジェクト名は『Cadens Craft』

先日のクラフトフェアにも出店されていて、
私もあれはなんだろう、、と横を通り過ぎていた。
怪しい日本様式の屋台居酒屋に人がたんまり座っていた。

昔、坂根さんのお爺さんは繊維の機織り工場を営んでいて、
そのお爺さんが当時使っていたリアカーを見て、
もう一回蘇らせたいと思ったそう。
坂根さん自身はキャンプが好きで、しかもその空間が好きだと語る。
ナイフの置き場も、ナイフに差す光も、自分好みに仕上げる。
そういった空間というものが、移動式のこの場所に宿る。

移動式の屋台居酒屋は、ゆくゆくはレンタルの形式をとるらしい。
何もない場所に急に空間が現れ、ひとしきり特別な時間を作って、
あとは何もなかったようにその場からいなくなる。
キャンプで残して良いのは足跡だけ、といわんばかりの、
人々の楽しげな声だけが痕跡を残すのだろうか。

広報のさわざきさんは、にこやかに記録を残すのが好きだと語る。
おもしろいと思ったものを、残したい。
youtubeもやっていて、さわざきさんのストレージは計り知れない。
活発な企画のバックには、こういった人がいて、
非常に心強さを感じた。
協力し合うことで、全員でそれを作る。
このプロジェクトには他にも何十人も関わっている。
大変なことも、楽しいことも、空間を作る前に、様々な躍動の空間があることを、想像させられた。

板金工場。ピンと均衡が取れた空間。

本日はお話を中心に町をご紹介いただいた。
うむ、吉田町にはこんなにも出来事が起こっていたなんて。

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