深川未貴「たどりつけませんでした(1日目)」
1日目は沼津まで辿り着けませんでした。
出発の日の金沢は朝からいい天気で、冷蔵庫の食材もいい感じ消費できたし、燃えるゴミも出せてかなりいい感じ。
台風来てるっぽいけど、今日はめっちゃいい感じな気がするから、このまま辿り着けるでしょ〜とのんきに出発。
東京駅に着くと、東海道新幹線終日運休で、鈍行も小田原までしか行かないらしい。悔しすぎるけど、小田原とかだったらヒッチハイクとかで沼津まで行けるんじゃない?(小田原どんなとこか知らんけど)
甘かった。
その前の駅まで大したことなかった天気も、小田原に着いたとたんに台風みを出してくるし、駅では殆どの人が多分途方に暮れてる雰囲気。
タクシー乗り場に並ぶ行列を見て、ヒッチハイクなんて甘えた考えが恥ずかしくなった。そういえば京都にいた時に搬入お願いしてた赤帽のおっちゃんも、移動できる手段があるのに対価も払わずヒッチハイクして人に甘えようなんてけしからんみたいなこと言ってたな…。
もう嫌だ〜何にも考えたくね〜心細い…と思って放心状態になっていたら、バスを待っている人のやけに彩度の高い黄緑のトートバックが目に入った。
なんか雰囲気ある人だな…
え?もしかして小橋さんじゃない?
あの彩度の高いトートバックは絶対なんか作ってる人だよね?いや、ただおしゃれなだけの人の可能性もある…どっちや…
小橋さんとは、私が学生の時にSNSで作品を見てくれたらしく、東京のギャラリーで突如展示させてもらうきっかけを作ってくださった超絶恩人なのである。そんなめちゃくちゃ恩人なのに、実は一度もお会いしたことがなかった。
さりげなく近くに行って顔を見てみるけど、そういえば会ったことないから顔分かんない!でも誰かの投稿でこんな感じのシルエットだった気がする。でも髪型が違う気もする…でもロンTの絵が小橋さんの作品っぽい!でも荷物持っててちゃんと見えないから違う気もする…違ったらどうしよう
という葛藤をしていたら、バスが来て私の前を通り過ぎそうだったので、「小橋さんですかっ」と言ってみたら振り向いてくれた。
かっ、神様じゃ〜〜〜〜〜!
大袈裟じゃなくトートバックくらいの彩度で小橋さんが輝いて見えました。
そして全く学んでいない私は、「めっちゃ今困ってるんですけど助けてくれませんか!」と超絶恩人に対して他力本願最低甘えた発言。
「え、どうすればいいの?」たしかに…どうしてほしいんだよ…
ここで謝らせて欲しいです、超無礼者で申し訳ございませんでした。
そして、なんやかんやで小橋さんのアトリエにお邪魔させていただき、絵の話したり共通の知り合いの話を聞いたり、これって今夢じゃないですよね?って途中思いながら、とにかく励まされて、何って訳じゃないけどレベルアップした気分で元気なって駅に戻る。
色々と嬉しすぎて、直近で三途の川を見る出来事があったら、今日のことを走馬灯で見ると思う。
その日は、小田原駅近くの万葉の湯(めちゃくちゃ天国だった)に泊まり、おじさん達のとんでもないイビキに囲まれながらいい感じに眠りにつきました。
あと一歩のところで足止めを食らったけど、小田原で小橋さんに遭遇するためだったなら全然最高!むしろ台風ありがとう!となった1日目でした。
沼津への道のりはまだ遠い…。