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宇宙軒明星「音頭を取るヒトビト(浜松滞在まとめ)」

盆踊りや民謡の歌い手をしております宇宙軒明星と申します。専門は関西の盆踊り唄・江州音頭(ごうしゅうおんど)。江州音頭は滋賀県発祥の唄で長いモノガタリをよみあげていくというものです。自ら太鼓を打ち鳴らしながら生唄、生演奏で踊り手さんをのせてゆく、といったようなことをしております。ときにはエレキギターの旋律との二重奏や自作のバックトラックにのせてダンスフロアを盛り上げます。こういう役割を盆踊りでは「音頭取り」といいます。一般的には、そうですね、乾杯の音頭を取る、という言い方もありますが。これまた古い言い回しでしょうか。物事の先頭にたって、指揮をとるといいますか、全体をみまわして、場の進行がうまく運ぶようにコーディネイトしてゆくといったかんじです。音頭取り。


1.浜松

新幹線に追い越されたよ~

東海道。関東在住でわりと関西方面によく向かう方なので、どうしても東西の流れに目が向くけれど、今回鈍行列車の旅でのんびり静岡県を横断したところ、富士川、安倍川、大井川といった大河川にかけられた橋をわたりながらの道すがら、これは東西だけでなく、水運の時代には南北にも河川を通じて、物流だけでなく、文化の伝来もあったんだろうなあと思いを馳せました。つまり静岡の海岸沿いはハブ(集約点の方です!)だらけだったことになりますね。
で、いよいよ天竜川を渡りますってえと浜松に到着~。

2.ホストと旅人

受入れ先のFABLAB HAMAMATSU/Take Space外観

今回のマイクロ・アート・ワーケーション。どなたがどういった場所がホストなのか、募集のときはふせられていました。
明かされた一枚の写真は、田園地帯的なところにある家の壁面に謎の絵が描かれたもの。なぜかここが良い!と直感だけで浜松を希望し、願いがかなったわけです。
さて、くだんの写真の場である、ホストの竹村さんファミリーが主宰されているファブラボに辿り着きました。ファブラボとは「ほぼあらゆるもの」をつくることを目標とした、3Dプリンターやカッティングマシンなど多様な工作機械を備えた工房のこと。大量生産によらないものづくりをめざした、市民にひらかれた場なのです。

ファブラボで鹿の角の笛づくりをする明星
お気に入りの絵本「フィンダスのたんじょうび」のワンシーンみたいなファブラボ

この工房でつぎつぎに音頭取りが現れました。この工房を普段利用していらっしゃるかたがたがそれぞれに工具の使い方を教えてくださったり、制作のアドバイスをくださったり、おやつのりんごをむいてくださったり。
近くにこういうところがあったら良いなあと強く思いました。ファブラボというのは世界的なネットワークがあるそうです。あなたのお住まいの近くにもあるかもしれませんよ!

3.引佐(いなさ)の横尾歌舞伎

歌舞伎の小道具をみせていただく

今回訪れるホストが決まり、どこの駅が最寄りなのだろうと地図で調べていたら、ホストのファブラボの近くには雄踏街道という道が通っていて、なんて読むのかなあと調べたら「ゆうとう」と読むのだなるほど、と思ってたら、検索結果のなかに雄踏歌舞伎というワードを発見し、地歌舞伎あるんだ!と認識。ホストの竹村有希さんに尋ねたところ、雄踏歌舞伎について、楽器博物館で展示があったようなので、学芸員さんにコンタクトをとったり、浜松市内には雄踏歌舞伎と横尾歌舞伎があり、もしかしたら保存会さまと連絡とれるかも!とお話をすすめていただき、引佐の横尾歌舞伎保存会さまのお衣装部屋を訪問することができました。
こちら、浜松駅からは20キロほど北へいったところ。バスで30分位。山に入っていく手前の集落で、みかんの木がたくさん植わってました。
こちらにお伺いして思ったのは、地域のかたがたが、横尾の歌舞伎をとても大切にしていらっしゃることです。
そう!つぎつぎと横尾の歌舞伎について、愛をもってお話してくださる方が。江戸時代から伝わっているという細やかで華麗な刺繍がほどこされた着物をたんすから出して見せてくださり。代々この地で受け継がれてきた時間が凝縮されているようでした。
役者、囃し手、衣装の着付け、床山、化粧と全て地域のかたがたで、手分けしてこなしているとのことで、それが今も続いているというのはほんとにすごいことだと思いました。ここでの音頭取りは、会長がまずいらして、そして個人個人が自分の担当分野でイニシアティブをとっていかないとこんな大掛かりなお芝居はなりたたないだろうと想像します。

4.プスプス by ZING

リソグラフのスタジオ訪問
夕タンとオバケダイガク(明星の別名)共作のZINE「のとらへん」

今年の夏に震災の前の能登の旅をふりかえった小冊子「のとらへん」を制作した私は、浜松にもZINE(ジン:自主制作の小冊子)を作るスタジオがあるときき、さっそく駆けつけまして、見本誌を置いていただいています。浜松の皆様、ぜひお手にとってくださいませ!
リソグラフという孔版印刷機を備えたスタジオでは、リソグラフというメディアの特性なのか、手作り大好きなDIY人脈が一段とネットワークを強固にしたという印象。浜松にいても能登にいても東京にいても埼玉にいても、それぞれの地域でDIYで作ってしまう仲間、印刷物に限らず音楽や踊り関係、イベンターまで、スタジオ主さんとなんでこんなに知り合い多いんだろうとびっくり。今まで知り合ってなかったのが不思議なくらい。私が勉強不足なだけですが…。今後はぜひぜひつながりを作りたいと思いつつ、この浜松体験記もリソグラフ印刷でZINEにしたいと思っています。

プスプスのすずしさん、吉田朝麻さん、旅人の明星、タン・ルイさんで記念撮影

5.DIYと音頭取り

浜松で出会う人、なぜかDIYなヒト数多く!ないものはつくる、ほしいものをつくる、できた良いものは交換したり、ほしいヒトに売ったり。独立独歩の6次産業的音頭取り体質なヒトがたくさんいるゾ、浜松。

MAW2024、宇宙軒明星の浜松滞在記noteはこちら
1日目 https://note.com/microart2024/n/n2961049029fe
2日目 https://note.com/microart2024/n/n29046567d4d7
3日目 https://note.com/microart2024/n/nba5a60cc6aa1
4日目 https://note.com/microart2024/n/n3a5d6a8b2a90
5日目 https://note.com/microart2024/n/nc4a18b71e0b3
6日目 https://note.com/microart2024/n/n70807bcc8c20
7日目 https://note.com/microart2024/n/nd20cd5960a3d

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