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C104で生き物の微細構造の本を出しました

C104に参加しました。これで4回連続のサークル参加&同人誌も4冊目となり、ここで一度区切り(C105には申し込まなかった)となるので、思ったことなどを残すことにしました。自分用の備忘録なので、文章が長いです。


今回の本について

やりたかったこと

今回の本は、これまでの「携帯獣の微細構造」に関する発信を1冊にまとめようというのがモチベーションでした。ほぼ達成できたので、作ってよかったと思っています。表紙デザインでもそれを表現できたので、かなり満足しています。

こちらは新刊の目次。センスは皆無だけど、イメージに近いものが具現化できたのでこれも結構気に入っている。


サークルカットの段階では、バイオミメティクスの空想企画展の図録!というもう少し広めのテーマでしたが、執筆開始時は非常にモチベが低い状態で、新刊を諦めることまで考え始めていたので、まとめ本にしようという決断をしました。
C101の最初の同人誌は、自分の顔となる本、挨拶の本を作ろう、という思いで作りました。ただ、あの本は色々な画像をお借りして作った本だったので、胸を張って、私の本です!とは言いにくい状態でした(そもそも二次創作ですが)。そんな「最初の本」の在庫が昨冬についになくなったこともあり、改めて自分の顔となる本を作る絶好の機会が訪れた、という思いがありました。今回は、この思い一本で書き切りました。

「蛾の光学」の再挑戦

これまでの本にはもうひとつ心残りがあって、これも同時に解決してしまいたいという思惑があました。それが、C102で頒布した「蛾の光学Ⅰ」です。「Ⅰ」と付けた理由はあとがきにも書きましたが、あの本はやりたいことが半分しかできなかった本でした。加えて、あの本には致命的な欠陥がありました。それは、携帯獣の話題がほとんど書いてない、ということです。基本的に私の本は、携帯獣の本の顔をした微細構造メインの本だということには、手に取ってくださった方はお気づきかと思います。だまされた!と思われただろうな、と毎回反省しています。書きたいことを書いていくと、気づいたらいつもああなってしまうのです。
(その点では、C103で出した「超空想本」は、あちら側の世界観をベースにした本だったのでバランスが取れたのではないでしょうか?ただ、あの本は8割嘘を目標に書いた「でたらめ」な本でしたが…)

こういったこともあり、いつか「Ⅰ+Ⅱ」を作りたいと思っていて、今回の本でそれもやってしまおう、と思い至りました。「蛾の光学」の再頒布を望んでくださっている方がリアルやTLにおり、大変ありがたい限りです。それに応えることはできないのですが、エッセンスは今回の新刊にしっかり移植したということは、自信をもって言っておきます。

参加までの色々

本文デザインを思い切って変えたこと

本を作る時は毎回何らかの新しいチャレンジを自分に課しているのですが、今回はフォーマットをいちから作る!という無謀なことをやりました。

手に取ってくださった方はお気づきと思いますが、これまでの3冊はすべて同一フォーマットでした。何よりもまず本が出ることが大事なので、完成された環境をお借りすることは近道のひとつです。私は、技術書典界隈の有志の方が作成された、技術書っぽい本に仕上がるフォーマット作成サービス、Re:VIEW Starterを利用していました。(ただし、私は元々Latexのほうに慣れていたので、Re:VIEWの内側で動かしているLatex部分を直接いじる異常ユーザーでした。もちろん、想定された使い方ではないです。)

ではなぜ今回フォーマットを崩そうと思ったかというと、①C103で超空想本を出した時に、この技術書チックなフォーマットが世界観と合わなかったから、②将来的にフルカラーの本などを作るとして、もっと自由に変えるにはどうしたらいいか模索していたから、です。

PowerPointで同人誌を作る!

そして行き着いたのが、PowerPointで作る!というものでした。長年のスライド作りで最も使い慣れている&いつもお世話になっている印刷所様がPDF入稿に対応している、ということで、チャレンジしてみました。どうだったでしょうか?結構いい感じに仕上がったのではないかと思っています。同人誌作成ソフトとしてはかなりのイレギュラーだと思いますが、私の本のような分野だと相性がいいのではないでしょうか?

ただし、PowerPointは印刷物を作ることを想定したソフトではないので、以下の追加作業が必要でした。

  • PowerPointのA5などのサイズ指定は独自寸法になっているので、「ユーザー指定」で規格サイズ+塗り足し分を直打ちした。(21.6cm × 15.4cm)

  • トンボを付ける機能が無いので、塗り足しや仕上がり線は印刷所の指示に合うように全て自分で計算する必要があった。

  • PowerPointからそのままPDF化すると画像の画質が悪くなるので、Acrobatの有料版機能でPDF化した。(PowerPointの設定「ファイル内のイメージを圧縮しない」でも解決しない)

特に3つ目は回避策がありそうですが、時間がない時こそ王道ということで、7日間無料体験を使わせてもらいました。一応、入稿後の印刷所様からの確認連絡なしでそのまま印刷作業に移ったので、大きな問題はなかったみたいです。

頒布数、足りない…?

今回、一番想定外だったのは、告知ツイートが予想をはるかに超えて伸びてしまったことです。「ホウエンきのみ図鑑」のNyalaさんやAR写真家のかわづのさんがリツイートしてくださったタイミングなどをきっかけに、幅広い方々に届いたようで、たくさんの方に興味を持ってもらえました。それ自体はとてもありがたいことだったのですが、ひとつ問題があり…。私のような〆切ギリギリでなんとかやっている人間は、脱稿後、つまりイベント直前に告知をします。要するに発注数が全然足りませんでした。
今回は、いつもより少し多めに発注して、余るくらいに調整したつもりでした。BOOTH分もあらかじめ想定して、自宅に送ってもらっていました。告知ツイートのブクマ数が発注総数を超えた辺りで、BOOTH分を現地頒布に回す決断をしました。行きの荷物がすごく重くなってやや後悔しましたが、こういう予感ほど的中するもので…。なんと、13時になる前に完売してしまいました。

当日

両隣りのサークルの方々との交流

今回はサークル配置が本当にすごいことになってしまい…びくびくしながら会場入りしました。
まず、左隣が「ホウエンきのみ図鑑」のNyalaさんのサークルでした。現地は本当に盛況で、すごいなぁと眺めていたのもつかの間、きのみ図鑑を手に入れた方々がそのままうちのサークルにやってくるではありませんか。午前中は、ありがたいことにうちも大忙しでした。そのまま、気づいたら昼に在庫がなくなってしまった、という感じでした。(きのみ図鑑の完売はもっと早くて、嵐が去ったようでした。Nyalaさんお疲れさまでした。)
午後の余裕ができた時間帯に少しお話ができて、(粘土の)きのみの作り方などを教えてもらったりしました。

そして、右隣は対戦動画などの配信者のとさいさんのサークルでした。対戦動画をほとんど見ない私がなぜとさいさんを知っていたかというと、「さむいギャグ集」です。あれがほんとうに、ほんとうにおもしろくて…!動画で何度も聴いたことのある声が右側から聞こえてくる…!となって、終始脳がバグってました。

とさいさんのサークルを手伝っていたご友人が、私の本をすごく気に入ってくださったようで、とさいさんからお礼を言われるという特殊エピソードが発生しました。おみくじも引かせていただきましたが、確か「CS252ヘイラッシャでランクマ潜ると中吉」でした。いつかチャレンジしm…頑張ります。

という感じで、左右のサークル主さんがフォロワー数5桁越えという大変恐ろしい配置でした。どちらの主さんとも隙を見て色々とお話ができて、本当に貴重な時間でした。

これまでの配置の思い出

思い返せばC102でも、お隣のサークルはパラセクトのSFチックな長編漫画を出していらっしゃる方々で、初参加のようでしたが、これまた嵐のような盛況ぶりで、午前中で完売させて颯爽と片づけて去っていったのが印象的でした。パラセクトの漫画を求めてやってきた方々が、表紙に蛾の絵が描かれているうちの本に興味を示さないはずもなく…。「蛾の光学」が完売したのは、間違いなくあの方々がお隣だったからです。
さらにC103では、あの愛されスリーパー「ドブやん」のエッセイ漫画でおなじみのやっちゃんママ、まるかわさんのサークルがお隣…!こちらもたくさんの人がエッセイ本を求めてやってきて、一部の方がうちの本にも興味を持ってくれました。

C101は、初参加にも関わらず、なぜかお誕生日席でした。そのおかげもあって参加者の目に留まりやすく、間違いなく通り過ぎようとしていたのに足が止まり、そのままサンプルを手に取ってくださった方がたくさんいました。C101に限らず、毎回こういった方がとても多くて、まさに「現地」だからこその体験でした。また本を出したい!というモチベーションにもなったので、サークル配置に助けられてここまで来たなぁと常々思っています。同時に、私の本はジャンル内ではちょっと特殊な部類なので、配置担当の方は毎回頭を抱えていたのではないか…とも思ったりします。いつもありがとうございます。

参加を続けてよかったと思った出来事

参加回数を重ねることで、色々と語れる思い出が増えてきました。こんなことは、初参加の時は想像もしませんでした。
中でも一番想像していなかったのは、挨拶ができるサークルさんができたこと。憧れではありましたが、憧れというのは幻想の世界の話で…みたいな認識でした。特に初参加の時にお隣だったサークルさんとは、挨拶に行ったり、来てくださったりで、気づけば毎回顔を合わせています。C102でクルマユとパルデア&キタカミの里を旅する妄想の本を出されていたのが、DLC配信直前に本当に実装が確定して妄想が現実になったのは、私も勝手に感動してました。

あとは、毎回買いに来てくださる方がいるということを、4回目にしてやっと実感したというか、自分事として認識できるようになりました。C103では、文章が好きと言ってくださった方もいらして、本当にありがたい限りです。続けてよかったです。

当日以降の色々

いただいた感想

ありがたいことに、Twitterや感想用フォーム、あとはBOOTHの注文フォームからも数件感想をいただきました。

その中に「物理学初心者でも分かりやすい内容でした」「科学の話をこんなに楽しいと思って読み進めたのは初めて」「専門的なのに説明が分かりやすくちゃんと理解できる」といった言葉がありました(学生の頃に出会いたかったといったお声もいくつかありました)。
専門的な話を専門外の人にどう届けるか、は博士課程時代から考え続けている永遠の課題なので、今回こういった感想を貰えたことで、成果を少しだけ実感できました。
まだまだ未熟ですが、少しでも物理や微細構造に興味を持ってもらえるようなアウトプットは、今後も続けていきたいです。

あと、感想をくださった方の中に、私と同じく学生時代に携帯獣の生態に興味を持っていたという方がいて、まさに同好の士に届いたことがわかって嬉しかったです。

宿題

今回の本はまとめ本という立ち位置でしたが、新しい話題も入れたいということで、「さめはだ」についてのトピックを追加しました。ただ、現実世界のさめはだ、まだまだわかっていないことが多く、説も混在していて…私自身が理解しきれない状態で執筆してしまいました。
まず自分が理解して、それをかみ砕くことでわかりやすさを調整していくのですが、この手順を踏めなかったので、ふわっとしていて、読み込んでも最終的によくわからない文章になってしまっていたと思います。
極めつけは、挿絵がないこと…!これは本当に反省しています。いつか、さめはだについての補足記事を書きたいと画策しています。

次の本について

「好奇心を保つことは、動くこと!」
コロナ禍中に参加したウェビナーで、その分野の世界的権威の先生が、ご高齢でも新しいことに挑戦し続けるモチベーションについて聞かれ、少年のような笑顔で「助平心です!」と言い放ちました。この先生の言葉をメモした付箋が、今も作業机に貼ってあります。2年前に思い切ってコミケに申し込んでから、結果的に4冊も作ってしまった身としては、この言葉の力を考えずにはいられません。

今のところ、次の本の予定はありません。どういう本を書きたいかのイメージもない状態です。漠然となにか作りたいと思った時は、先に〆切を作れ(つまり、イベントに申し込め)と言われたりもします。〆切がないと動けない人間なので、とても説得力のある言葉です。
C105に申し込まなくて本当によかったのか?という考えは、ずっと脳内を漂っています。でもそれは、もう動かずにはいられない人間になっているということでもあります。であれば、次の本はいずれ出ます。ただ、それが本の形をしているかどうかはわかりません。もっと言うと、ジャンルすら違うかもしれません。期待されている方に応えられるかどうかはわかりませんが、どんなものができるか、自分でも楽しみです。


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