エスラさんの場合
※この記事は全編無料でお読みいただけますが、文末に寄付へと繋がる有料ボタンと、任意の金額をお送りいただけるサポート機能を設けております。いずれも全額、各記事でご紹介しているガザの方へ送らせていただきます。
エスラさんからのメッセージ(2024/11/25)
私の2歳2ヶ月だった息子のマハは、今では3歳半になりました。彼が知っているものといえばミサイル、戦車、飛行機、爆撃のことだけです。数日前も果物が欲しいと私に頼み、自分で持っていると言いだしました。私が果物は手に入らないのと言うと、彼は「じゃあ、(検問所から)入ってきた時に買ってよね」と言いました。検問所のイスラエル兵たちは、幼い彼の答えに驚いていました。
また、数日前、マハが兄のヤヤと遊んでいるのを見ていたら、彼はブラウスの中に手を隠して、ヤヤにこう言いました。「見てよ、ヤヤ、僕の手は切り落とされちゃった。イスラエル兵が切り落としたんだ。」と。
今、小麦粉一袋が300ドルもします。
今うちにある小麦粉にはダニが湧いていて、とても臭います。私は子どもたちのためにそれをご飯やパスタと混ぜて出すのですが、ヤヤは泣いて、美味しくないし臭いと言うので、無理やり食べさせます。すると彼は空腹からそれでも全部食べてしまいます。
また、2日前、ヤヤは私に「ママ、鶏肉が食べたい。何ヶ月も食べていない」と言いだしました。するとマハが「お肉が食べたいって言われると、子どもたちに健康的な食事という最低限の要求を満たすことができないから涙が出ちゃう」と言いました。(※お母さんのエスラさんが言うことを真似したのだと思われます)
エミコ、最近ではほんの少しの物さえ買えなくなってしまったことを知っていますか?ここでは全てのものが以前よりもずっと高くなっています。数日前にインドミー(パレスチナで人気のインスタントラーメン)を頼まれましたが、1パックの値段は4ドルもしました。
私たちは、今までに見たことのない本当の飢餓を経験しています。
野菜は売ってはいるけれど、とてもとても高価です。夢のようなものになってしまいました😞😞
テントはとても寒く、私も子どもたちも病気になってしまいましたが、治す術がありません。
エスラさんの11月末現在のテントの様子
いっそのこと、ミサイルが直撃して私たちを殺してくれれば、この苦しみとこの忌まわしい生活から解放されるのにと思うこともあります。
(この地獄の中では死が苦しみから抜け出す唯一の方法であり、一番の幸福だと口にする人を多く見かけるようになってきました。返す言葉は見つかりません。)
以上が、普段は疲労と落ち込みからあまり言葉を発することのないエスラさんが数日前に送ってきてくれたメッセージです。どれほど切羽詰まっているのかを感じていただけるかと思います。そして、エスラさんと同じように飢えや寒さ、そして止まない爆撃に苦しめられている人たちがたくさんいます。どうか、ご縁のあった方だけでも気持ちを繋げていただけたらと思います。
花金エスラさん募金について
8月の終わりに、毎週金曜日にエスラさんへの募金を呼びかける「金曜日はエスラさんの日」というキャンペーンをインスタグラムで投稿しました(現在は「花金エスラさん募金」に改名)。
金曜日を選んだのは、(人によりますが)土日を前に1週間で一番開放感があり、心に余裕が生まれる曜日だと考えたからです。金曜日のワクワク感を少しずつおすそ分けしてもらうイメージです。また、私が他にも6組のガザの人々をサポートしていることから、エスラさんに「私のことも忘れないでね」と言われがちだった自分を変えたくて始めたことでもあります。
寄付が多く集まっても少なくても、とにかく金曜日に呼びかけを続けて、翌週水曜日に送金するというこの企画は、PayPayで100円から寄せていただけることもあり、たくさんの方の温かいサポートで14回目を迎えることができました。エスラさんも、定期的に寄付が送られてくることが心の安定に繋がるととても喜んでくれました。(100円募金は、インスタグラムの「にゃむたろさん」という方のアイディアを真似させていただきました。)
そんな中、数日前に上記の切羽詰まった内容のDMを受け取り、通常の花金募金に加え、エスラさんからのメッセージと共に緊急募金を呼びかけました。翌朝、いつもの約2倍近い方々がエスラさんへ気持ちを寄せてくださり、花金企画開始以来の募金額をお送りすることができました。
下のビデオは、そのことに対してのエスラさんのお礼のボイスメッセージです。テキストでは「私の目にようやく世界が美しくみえるようになった」と伝えられました。(声が掠れているのは、極寒のテントで風邪をひいてしまった為で、本来はとても美しく可愛らしい声の持ち主です)
Masha'Allah, Masha'Allah, Emiko, Masha'Allah,
I love you, I love you, sister, I love you
Thank you , thank you, sister Emiko, thank you thank you
I am very happy
マシャアッラー、マシャアッラー、エミコ、マシャアッラー、愛しています、愛しています、姉さん、愛していますありがとう、ありがとう、シスターエミコ、ありがとう、ありがとう、私はとても幸せです
(マシャアッラーとは、イスラム教徒が感謝や喜びなどを表す時によく使われる言葉です)
私の名前ですが、皆さまからのお心寄せのおかげでできたことですので、この場でも改めてお礼を申し上げます。
毎週、私のインスタグラムを通して呼びかけている「花金エスラさん募金」、よろしければ是非ご参加ください。PayPayへは100円からお寄せいただけます。(他にもPayPalや銀行振込も受け付けております。また、当記事からのご寄付も同じようにエスラさんのGoFundMeへ代理送金させていただきます)
もちろん、金曜日を待たずとも直接のご寄付はいつでも喜ばれますので、是非、下記のGoFundMeからよろしくお願いします。
ここからは、エスラさんについてより深く知っていただくためのQ&Aです。
ご出身はどちらですか?
ガザのディル・アル・バラで生まれ育ち、結婚してからはガザ北部に住んでいました。
ご両親についても教えていただけますか?
私の両親は、私たちのために多くの苦労をいとわなかった素晴らしい人たちです。父の失業中、母は父がファラフェルやサラダを作るのを手伝い、父はそれをサンドイッチにして売っていました。それから神様が父に仕事を与え、わずかな給料であっても、父は私たちにすべてを与えてくれました。
私たちは10人家族でしたが、父は誰からも何も奪いませんでした。
エスラさんの幼少期はどんな感じだったのでしょう?
子ども時代は素晴らしく、私はいつも一番の生徒でした。父は私をとても愛していて、私は今でも父のお気に入りです。
ふたりの愛らしい息子さんたちについて教えてください。
5歳のヤヤは従順な子で、モスクに行くのが大好きでした。彼にとって一番の楽しみはおじいちゃんの家に行くことでした。末っ子の3歳のマハは幼く、生まれてから今まで戦争のない時はありませんでした。彼はおしゃべりを始めるようになって、私たちに何が起きているのかをよく知っていました。ふたりとも、侵攻前は遊園地で遊ぶのが好きでした。侵攻は彼らを変えてはいません。彼らはいつも神に祈るようになりました。雨が降っている時は、特に。
侵攻が始まる前は、エスラさんはどんなことが好きでしたか?
私はお菓子やおいしい食べ物を作って飾り付け、SNSでストーリーとして公開するのが大好きでした。
一番好きな食べ物はなんですか?
ブドウの葉、ベシャメル、シャワルマです
ガザで一番好きな場所はどこですか?
海です。特に休日に、家族と一緒に座って一日中過ごすことが好きでした。
編集後記
7月の終わりにエスラさんが初めて連絡をくれた時、私はハナから逃げ腰で一度サポートを断った。他にすでにサポートしている人たちがいたし、これ以上は無責任になると思ってのことだった。でも、すでに何百人もの人に断られて絶望している彼女を見て、少しでもできることはあるだろう、と結局引き受けさせてもらうことにした。
ムハンマドもそうだったのだけど、一度は断ったもののやりとりを続けるうちにそれぞれの個性や人間性が見えてきて、ただ「寄付を乞う人」なんかじゃなってくる。こんな状況に置かれる前の彼らの笑い声や顔や生活が思い浮かべられて、輪郭がくっきりしてくる。その瞬間は、向こうにも伝わるようで、次第に寄付以外の話もしてくれるようになる。言葉が違っても、国が違っても、結局人間同士だからわかる。エスラさんとも、過酷な状況の中でもたくさんの笑い話もしたこともお伝えしたい。
寄付はあくまで対処療法であって、彼らが二度とこうして暴力や飢えに怯えたり、毎日寄付を請い続けたり、尊厳を奪われることのないようにする為に「問題の根源」に対しても働きかけ続けなかれば焼け石に水であることは承知の上で、今ある命を消さないために、寄付を呼びかけ続けていきたい。
お願い
子どもたちに今日食べさせる小麦粉にも困窮しているエスラさんへ、どうか温かいご支援をお願いします。既出のGoFundMeに直接寄付いただく以外にも、当記事を通した下記の方法もございます。いずれも、全額をエスラさんへお送りします。
【記事からのご支援方法】
①「ここから先は有料部分です」の下にあるボタンから500円をお寄せいただく
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