名残手 -nagorite-
音楽ユニット "nagorite"
突然だが、私にとっての nagorite について書いてみたいと思う。
彼らは今年4月28日、結成1周年を迎えた。
これまでの nagorite の歴史については、nagorite 発起人であるタニー・グレイスが2022年10月にnoteを書いているので、是非読んでもらえたらと思う。
私は、メンバーのタニー・グレイスと松尾渉平とは大学の同期で、大切な友人だ。佐々木詩音くんも含め、大学時代には一緒に映画を作っていた。
大学を卒業してからも、タニーと渉平とは折に触れて、悩んでいること、今考えていることなど、話す機会を持てた。私にとってかけがえのない存在だし、辛い時に支えになってくれたり、励ましてくれたり、新しい道へ踏み出す時に応援してくれたりしたことも忘れていない。
また俳優としての彼らや、物作り・表現に対する彼らの姿勢や創造力、ものの見方を尊敬していた。私にはないものを持っていた。だから私は彼らを追いかけるばかりで、同じ目線に立てていないようで、いつも自分は周回遅れしている気がしていた。それでも彼らの表現が好きで、ずっと見ていたいと思っていたし、応援していた。例え見ていることしかできないとしても、尊敬する彼らに何か力になれないか、と一時期ずっと考えながら追いかけていたことがある。
タニーにとって音楽は、とても大切な存在なのだなと、大学時代からヒシヒシと感じていた。
渉平も、音楽をどんどん好きになっていっている様子を垣間見ていた。色んな種類の音楽を聴いているようだった。
そんなタニーから昨年、遂に音楽活動を始めるという話しを聞いた。彼はそれまで悩んでいた。俳優として活躍する為に試行錯誤し、挑戦し、もがく姿を見てきた。同時に、のびのびと自分の表現したいことを表現したい方法で表現することを望んでいるようにも見えていた。
だからその決断を聞いた時に、良かったな、彼が一番呼吸しやすいように生きられたらいいな、イキイキしている姿を見られそうだな、と思った。タニーの創ったものに久しぶりに触れられることを想像すると高揚したし、私も自分の環境で頑張らないとと思った。
そして2022年4月28日、youtubeで『永遠のそば』の lyric videoが公開された。nagoriteにとって初めての楽曲だ。
私は大切な友達の大切な 1歩目に乾杯したくなった。創作意欲を刺激され、そのままの勢いでnoteをしたためた。
タニーが大学を卒業してから身につけた、アニメーションのスキルも活かされていた。学生時代にはなかった表現が更新されている、だけど根本は変わっていないように感じられて、なんだかとても嬉しかった。
それに詩音くんの声もとても魅力的だった。心をザワつかせたと思ったら、今度はすっと入り込んできて、寄り添ってくれているようだった。だけどその奥に闘志も見え隠れして。タニーが詩音くんに声をかけた理由がわかった気がした。
それからリリースされる楽曲たちはいつも私の日常をそっと鼓舞し、救いの手を差し伸べてくれていたように思う。大学時代に毎日一緒に顔を合わせていた頃は、コンビニの前であぁでもないこうでもないと駄弁ったり、悩みを打ち明けたりしていたが、すぐには会えない距離にあっても、あの頃と形を変えて「うんうん」と話しを聞いてくれているようだった。一緒に歌おうと誘ってくれているようだった。
渉平もnagoriteメンバーになったことで、また彼らが一緒に物作りをしていることを微笑ましく感じた。
*
そして1年が経った。私は仕事を辞め、またもや岐路に立たされていた。
転職活動をぼちぼち始めた頃、タニーから突然電話がかかってきた。私の今後の生活について、タニーの近況について、nagoriteの活動について、久しぶりに様々なことを話し、聞いた。
そうして話している内に、私もnagoriteに携わることとなった。何がどうなってこうなったのか、自分でもよくわかっていない。でも反射的に、こんなに何もない自分にも力になれることがあるのならそれは嬉しいだろうなと思ったし、頼ってもらえることが嬉しかった。私は「是非」と言っていた。
だが、そうと決まったもののどうやって関わっていけば良いかまだわかっていない。音楽についても無知に近いし、音楽活動において何をどうしていくのが良いのか、感覚的にもわかっていない。言い訳がましいけれど、転職活動も本格化してきてしまったので、正直何もできていない。
少し焦りがあった。責任だけが全面に出てきてしまう癖があるので、何もできていないことに申し訳なさを感じたりする。だけどその気持ちを吐露すると、タニーは「楽しんで欲しい」と言ってくれた。きっと私自身の性格を知ってくれているからこそ出てきた言葉であろう。有難い。どうやらタニーはマネジメント能力も向上させてきている‥‥!それに、私に限らずnagoriteに関わる人たちには自分らしく居て欲しい、というタニーの愛情を感じた。
そうか、ならばここは胸を借りてみようか。「私が彼らの支えになるんだ!」なんて100年早い。元々私は彼らを見ているだけで精一杯だったではないか。支えるつもりで、力になりたいと思っていたけど、もたれかかることが多くなるかもしれない、ごめんね。
さて、楽しめるように携わるには何をどうしていこうか‥‥。
そうして私はウダウダしつつ、漸く転職活動に終止符を打ち、
彼らnagoriteは、2023年7月1日、1stフルアルバムをリリースし、収録曲『来航』のMVも公開した。
過去にリリースされていた楽曲についても、アルバムver.にニューバースしている。nagoriteに、新しいサウンドが爽やかに鳴っていると感じた。
そしてやはりnagoriteの魅力の1つはMVであると、改めて感じた。メンバーの松尾渉平がディレクションを担当している。彼は優れた俳優であると同時に、ディレクターとしても独創性と寛容さを持っている。
今までのMVはアニメーションの他に、メンバー3人が出演する形をとっていたが、今回は3人以外の演者たちも登場している。どんどん新しい風を取り込み、いろんな人の視点を得て、nagoriteが進んでいっているのを感じる。
過去のMVも是非観てみて欲しい。
私はここ数年、文章を書くことがどんどん好きになっている。書くスキルは全く向上していないけれど、でも書くことは楽しい。だから、ここに至るまで超ゆっくりペースだったけど、nagorite 1stフルアルバムリリースをきっかけに、私に今できる精一杯の楽しみ方をやってみることにした。彼らのことを書くのは、とても楽しかった。
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