シンプルでモノクロなロックンロール。シャロン/ROSSO
このROSSOというバンドは、元BLANKEY JET CITYのベーシストの照井さんが中心となり2001年末に結成。結成当初のメンバーはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTでボーカリストとして活躍していたチバさんがギターを携え、そこにドラマーのMASATOさんを加えた3ピース体制であった。後にメンバーチェンジを経て4人体勢になるが、3ピース体制での唯一のリリースが1stアルバムの「BIRD」であり、その中でもMVも制作されたリードトラックが今回紹介する「シャロン」という楽曲である。
3ピースのシンプルなロックンロールにチバさんのしゃがれ声が、熱く、悲しく、そして優しく乗せられている。彼にしか表現できない世界観が更にモノクロを基調としたのMVで際立って見えるよう感じる。演奏している姿を映し続けているだけなのに見ていられるし、チバさんのギター「ホワイトファルコン」もかっこいいし、その重量感に圧されて目が離せない。
楽曲中では「シャロン」は人名の様に、憧れの人の様に歌われているが、この言葉を調べてみると人名の他に、冥王星の衛星の名、フランスまたはイスラエルの地名と出てくる。歌詞に「冬の星」と歌われており、楽曲発表当時はまだ太陽系の惑星に分類されていた、表面温度が約マイナス230℃ほどの冥王星も思わせる。そう妄想を繰り広げてみながら、いささか難解な歌詞を眺めてみるのも面白い。
曲の長さは6分と、一般の楽曲に比べて少し長いものの、抽象的な歌詞も相まって時間を忘れ直線的に、静かに感情的に進んでいく。そんな中、リズム隊が消えると同時にいきなり身近な固有名詞が現れ「あの娘はきっとパルコにでも行って今頃茶髪と眠ってるだろう。ワンダーランドはここじゃ無いって知っているから」と現実に一気に引き寄せられハッとさせられる感覚に陥ったまま、また繰り返しのサビに入ると、同じ歌詞なのに一度目とは全く違う景色に見える。最後に叫ばれるシャロンの声が泣いている様にすら聞こえる。チバさんの声は本当にずるい。かっこいい。
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