アマゾンが日本の調剤DXを一気に進めてしまいそう(2022.9.6日経新聞 朝刊)
今年の2月に、「調剤DX」に関する日経新聞の2件の記事を紹介する投稿を行いました。
あれから、半年、今日の日経新聞 朝刊の記事は、一気に調剤DXを進めてしまおうと目論むアマゾンの施策がすっぱ抜かれていました。
2023年1月より医療機関や薬局での電子処方箋の仕組みの運用がから始まる予定であり、その時期に向けてアマゾンが一気に処方薬販売への参入を行うようです。
1.2022年2月9日の投稿より:調剤DX進まぬ改革
昨今のデジタル時代に、処方箋を紙でもらい、薬局に行ってその紙の処方箋を出すというのがそもそもナンセンスと思っていました。
この日の日経新聞に、【真相深層】の中で、「調剤DX 進まぬ改革」についての記事が載っていました。
そもそも薬剤師の仕事は、
❶対物業務(調剤・包装、処方箋受取り・保管、薬の在庫管理)
❷対人業務(処方内容チェック、患者状況から医師に処方提案、在宅者訪問による薬管理)
に大別されます。
その中で、経団連は、「❶対物業務」のうちの調剤業務の外部委託を提言しているそうです。
そうすると、各薬局の「❶対物業務」の負担が軽くなり、「❷対人業務」に充てる時間を増やすことができる。
その結果、薬剤師は自宅にいながらの服薬指導が可能になり、子育て・介護とも両立しやすくなるというシナリオです。
ところが、薬剤師会などは、外部委託解禁は、中小薬局淘汰の引き金になりかねないと反対しており、調剤DXがなかなか進んでいないようです。
2.2022年2月13日の投稿より:処方薬 コンビニ受け取り
この日の日経新聞 朝刊に、「処方箋 コンビニ受け取り」サービスに関する記事が載っていました。
セブン&アイ・ホールディングスと調剤最大手アインホールディングスが処方薬をコンビニ店舗で24時間受け取れるサービスを川崎市で始めるという内容です。
薬剤師からオンラインで服薬指導を受け、その時に渡されたパスコードをセブンイレブンの宅配ロッカーに入力することで、24時間、薬を受け取ることができるようです。
この投稿の中で、私のコメントとして、『あとは、自宅にいながら「バイク便」「Uber」「ドローン」等で当日届けてもらうという点が残っていますが、これも時間の問題でしょう。』と書いています。
今日の日経新聞の記事では、どうやらアマゾンが独自の配送網を使って薬局から薬を集荷し、患者宅や宅配ロッカーに届ける仕組みを検討しているようです。
3.Amazon、処方薬ネット販売に参入 中小薬局と患者仲介【日本経済新聞2022.9.6朝刊、9.5電子版】
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それでは、本日の日経新聞の記事について紹介します。
2章のセブン&アイ・ホールディングスの取組みも優れものですが、今回のアマゾンは、さらに進んだサービスを検討しているようです。
アマゾンは、日本で処方薬販売に参入するため、中小薬局と組み、患者がオンラインで服薬指導を受ける新たなプラットフォームを検討しているようです。
究極的には、利用者は
❶「オンライン診療」を受け、
❷アマゾンのプラットフォームで「服薬指導」を受けた後、
❸アマゾンが最適な薬局を選択して、独自の配送網を使って、素早く、そして安価に自宅(または、宅配ロッカー)に「配送」する
ということが実現しそうです。
つまり、利用者は診療から薬の受け取りまでネットで完結でき、自宅で薬を受け取ることができるようになります。
4.なぜ、今、調剤DXを進めることができるのか
こういうDXが次々進んで行くのは、以下のような背景があるようです。
❶2020年4月
薬剤師による服薬指導のオンライン化が、新型コロナウイルス禍を受けた時限的、特例的な措置として全国で解禁
❷2022年4月
薬剤師による服薬指導のオンライン化の恒久化
❷2023年1月
紙の処方箋をデジタル化した電子処方箋の運用が開始(予定)
この流れに、素早く対応しているのが、今回の記事のアマゾンです。
5.さいごに
「調剤DXがなかなか進まない」という内容の投稿をした半年後に、その時の課題の大部分が解決し、診療から薬の受け取りまでがオンライン化できる目処が立ってきました。
今回は、厚生労働省の規制の撤廃によるところも大きいとは思います。
ますます、DXを使えば、頭に思い浮かんだ理想が次々実現する世の中になって来ており、非常に楽しいです。
一方では、薬剤師会が懸念しているように「外部委託解禁は、中小薬局淘汰の引き金になりかねません。
記事には、参加する中小薬局は業務のデジタル化を進めることができ、新たな顧客を見つけるビジネス機会が得られるという利点が書かれていますが、このデジタル化の波に乗れない中小薬局や大手薬局チェーンは、淘汰される可能性も大いにはらんでいます。
【引用、参照記事】
◆電子処方箋とは 薬局、システム導入が必要 きょうのことば【日本経済新聞2022.9.6朝刊、9.5電子版】
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◆[朝刊1面を読もう] Amazon参入、処方薬ネット販売は広がる?【日本経済新聞2022.9.6電子版】
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