自動車メーカーのカーボンニュートラルへの第一歩: 温暖化ガス排出実質ゼロの車部品工場建設
今日の日経新聞「ビジネス2面」には、扱いはやや小さいものの、日本の自動車メーカーのカーボンニュートラル実現に向けた大きな一歩を記した記事がありましたので紹介します。
1. 日本の自動車メーカーのカーボンニュートラル目標
2020年10月26日、前内閣総理大臣の菅氏が所信表明演説において、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
それに呼応するかのように、一般社団法人日本自動車工業会が、「2050年カーボンニュートラルに向けた課題と取組み」という資料を発行しています。
その資料の中で、自動車のカーボンニュートラル化の「CO2規制の対象」を下図のように明確にしています。
即ち、自動車のライフサイクル全体、即ち、
「材料」⇒「部品製造」⇒「車両製造」⇒「燃料製造」⇒「車両走行」⇒「廃棄」
の全てを対象としています。
注)図の中の「WtW規制」とは:
日本で2030年度から実施予定の燃費規制のことで、「Well-to-Wheel(一次エネルギーから走行まで)」で規制値を決める。
現在、自動車メーカーは、まずは、「車両製造」「燃料製造」「車両走行」にフォーカスして、技術開発を推進しています。
一方、上流の「材料」「部品製造」、下流の「廃棄」に関しては、まだ具体的な着手がなされていないように感じます。
【引用、参照website】
◆2050年カーボンニュートラルに向けた課題と取組み【2021年4月28日、一般社団法人 日本自動車工業会】
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/carbon_neutral_car/pdf/004_04_00.pdf
2.今日の日経新聞「ビジネス2面」記事より
今日の日経新聞の記事(↓参照)は、上流の「部品製造」に関するカーボンニュートラルの取組みに関するものです。
◆ヨロズ、温暖化ガスの排出実質ゼロ工場 岐阜に120億円【日本経済新聞2022.6.22朝刊、日経電子版】
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この記事は、自動車部品大手のヨロズが、カーボンニュートラルの工場を2024年1月稼働に向けて建設するという内容です。
車部品大手メーカーで脱炭素工場をつくるのは、国内で初めてとのことです。
具体的には、使用する電力を全て再生可能エネルギーにし、ガスを使用する製造工程も全て電化するとのこと。
今回の投資は、自動車メーカー各社が掲げる2050年までのカーボンニュートラル実現のための大きな一歩だと思います。
記事の中で、ヨロズ社長が「日本の部品メーカーのモデル工場にしたい」と言われていますが、こういう先進的な動きは、自動車メーカーの信頼を勝ち取り、取引量アップに繋がって行くのではないでしょうか。
3. さいごに: ライフサイクルとスコープ3
これからのカーボンニュートラルは、ライフサイクル全体(下図参照)で考えることが非常に重要です。
以前の投稿(↓参照)で、ライフサイクルで考える重要性を記事にしていますので、是非、一読下さい。
また、スコープ3という考え方で、自社のカーボンニュートラルの現状を捉えることも重要です。
以前の投稿(↓参照)で、脱炭素については、2022年の最重要キーワードは「スコープ3」であるという記事がありますので、参考にして下さい。
今回の自動車部品は、上流のスコープ3のカテゴリー❶「購入した製品」に該当します(下図参照)。
この記事のように、自動車メーカーのカーボンニュートラル実現に向けた、具体的な動きが今後加速していきそうです。
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