TSUTAYA書店が、これまでできなかった書籍流通を改革【DXで変革、加えてSDGsも実現】
1. 日本の書店の現状
2000年に約21,000店あった書店数は、2020年には約11,000店とほぼ半減しています(資料:アルメディア)。
2000年から2010年までの10年間は、「書店数の減少」「総坪数の増加」の流れでした。
しかしながら、2010年をピークにその流れは変わり、店舗数だけでなく坪総数まで減少しはじめているようです。
その要因としては、
❶スマートフォンの普及に伴い、Amazonや楽天のようなEC(電子商取引出版物)や弟子書籍等が普及したこと
❷東日本大震災で痛手を受けた本屋が閉店を余儀なくされたこと
が考えられるようです。
この間、ECサイトでは、AIを使ってオススメの書籍を紹介してくれたり、簡単な操作で翌日配送してくれたりと、DXの最先端を進んで来たのではないでしょうか。
一方、書店が衰退している中、2020年のTSUTAYA書店の売上が、過去最高を記録したとのことです。
その理由として、
❶独自企画による商品の売り出しを実施
❷街ごとのニーズに合わせた店舗づくり
❸リアル店舗×オンラインで掛け合わせたイベントの開催
があるようで、リアル書店もやり方により、伸ばすことができることを証明しています。
そのTSUTAYA書店が、これまで、なかなか成し得なかった改革をDXで行ったようです。
今日の日経新聞の記事を紹介します。
2.「TSUTAYA」返本減へ自動発注 7000万会員データ活用【日本経済新聞2022.6.3朝刊、電子版】
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この記事では、
TSUTAYA書店が、7,000万人のTポイント会員の購買データから、AIを活用し、新刊本の売れ行きを書店ごとに予測し、適正な部数を自動発注することで、書籍流通の仕組みを変革している
という取り組みを紹介しています。
書籍は取次店と呼ばれる問屋を通して書店へ運ばれます。
日本の書籍流通は「再販制度」といって、書店が書籍を返品できるシステムになっているようです。
要は、本は返品可能な商品ということです。
そのため、この取次店が日々新刊本を運び入れて、返品分をまとめて受け入れてくれます。
新刊本は、年間約70,000タイトルが発行されており、書店毎の細かな需給を把握できないため、一般的に新刊本の3割が売れ残り出版社に返品されているようです。
この書籍流通については、長年変わらず引き継がれてきているようです。
今回のこのTSUTAYA書店が、この書籍流通にメスを入れ、AIを活用して適正部数を自動発注する取り組みで、この3割の返品を1割程度に減らすことに取り組むようです。
その結果、返品に要する物流費、返品後の廃棄、それらの作業に掛かる人件費を減らすことができると同時に、陳列棚の効率的な利用につながり品揃えを改善できるとのことです。
3.さいごに
TSUTAYA書店は、書店数が毎年減少している中で、反対に伸びています。
さらにこのような変革の取組みを行うことで、ますます盤石な体制を築こうとしているようです。
なお、今回のこの取り組みは、これまで、取り組めなかった返品削減にAIを使ったDXで変革を起こしたところが素晴らしと感じました。
また、その結果、
❶返品に要する物流費の削減
⇒ SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲット13.2「 気候変動対策」
❷返品後の廃棄の削減
⇒SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲット 12.5「廃棄物の発生」
に大きく寄与しながら、コスト削減も可能にする素晴らしい取り組みだと思いました。
今回のTSUTAYAの取組みは、SDGsを推進しようとしている企業に大いに参考になるのではないでしょうか。
【引用、参照website】
◆出版科学研究所website: 日本の書店数
◆ガベージニュース website: 漸減中、直近では8789店舗…書店数とその坪数推移(最新)
◆口コミラボ website: TSUTAYAが「過去最高」販売額1,427億円を達成した3つの理由 リアル店舗✕オンラインでイベント再開など
◆自費出版のParade Books website: 本づくり相談室
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