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サウナに入ったら、いい声が出た。サウナとウタ(唄)の関係性

~サウナがよみがえらせた、私の歌声~

あらすじ

12月24日クリスマスイブ。僕は都内のあるキリスト教系大学にいた。

キリストの降誕を祝うこの日に、
僕は聖歌隊としてクリスマス礼拝で賛美奉仕をさせて頂いた。

「Adeste fideres (神の御子は今宵しも)」や「もろびとこぞりて」などを歌い終え、9月からずっと練習してきた聖歌隊のビックイベントが終わった。

でも、あの時サウナと水風呂に入ってなかったら、絶対ここまで声は続かなかっただろう笑。





タイトルを見て、意味が分からないかもしれないのだが、そうなのだ。 長時間サウナに入ったら、入る前とは見違えるほどいい声が出るようになったのである。

2021年12月3日、僕は岐阜県郡上市を訪れていた。

今年の夏にお世話になった、さとのば大学の合宿に参加するためである。



場所は、郡上の方が大切にされている源流の森。

合宿前日の「あそび」の時間。

森のテントサウナに入らせていただく機会があった。
源流の森は、長良川に注ぐ源流が湧き出ている場所で、透き通った小川が流れる、天国のような場所。


ここから湧き出てきた湧水が、最終的には長良川に注いで伊勢湾に流れ出る。

そして、色々な動物や植物がその湧水の恵みを受けてすくすくと育つ。


さまざまな生命を抱くこの森は、まるで自分が還ってくる「源流」であるかのようだ。


ここから湧き出た水が、いのちをうるおす。


早速水着に着替え、テントサウナに入らせて頂いた。






いざ、入ります!!



熱い! 



熱いけど、ずっといられる気がする!


僕は、スーパー銭湯のサウナに入っても全然長く入ることが出来ない。

せいぜい10分が限界だ。


サウナストーブの熱が、直に伝わってくる。


熱が伝わってくるのでは、スーパー銭湯もテントサウナも同じだろう。


だがテントサウナの熱は、どこか身体にスーっと入ってくる感じがするのだ。


「スーパー銭湯のサウナに比べたら、温度や熱の伝わり方が全然違いますよ」
サウナに入っていたもう一人の方が、そう声を発した。


一緒に入った方たちと楽しくおしゃべりをしていたら、全身から汗が染み出ていた。


動物の声が出た


サウナには、30分くらい入っただろうか。噴き出すように出てくる汗に限界を感じてテントの外に飛び出した。


ここからが本番。

テントの前には、山から湧き出てきたばかりの冷たい源流が、僕を待ち受けていたかのように流れる。

周りは、気温が10度を下回る真冬の天気。 


「風邪」という二文字が頭をよぎる。


でもここで「水風呂」に入らずして、帰ることはできまい。


身体に身を任せ、キンキンに冷えている小川に飛び込んだ。


飛び込んだ次の瞬間、


「ヴァアアアアアアアアアアアアアア」


・・・・・・・・・・・・・・・


こえが、よみがえった


まるで、身体に電気が走ったような感覚だった。

サウナの熱を受けて、急激に「熱膨張」していた僕の身体が、

急転直下、冷たい川の水に入ったことで、今までに経験したことのないような刺激が体に来た。


僕の身体はその電気が走ったような刺激に耐えられず、身体が悲鳴を上げた。



あまりに冷たく、川の水が僕の腹から声をしぼり出させた。



いや、そもそも声が出るように僕の身体がプログラムされていたのかもしれない。


僕の肌に触れる温度が、50℃近いサウナから、5度にも達しないであろう川の水に急降下したことで、

ずっと気温20℃前後の空気を受けて平常運転していた神経の活動が、急に激しい刺激が加わったことでアップダウンを繰り返すような緊張度合いになった。



居合わせた人は

「みっきー!なんか動物が吠えてるのかと思ったよ!!笑」


だって。


自分は動物なんだ。


川につかった感覚を、忘れずに




その経験をした2日後、僕は早くも東京に戻っていた。

僕が所属する聖歌隊の、クリスマスコンサートに出演するためである。


朝、眠気を押し殺して音取りに向かう。


僕はベースパートなので、主に低音を出すことが多い。

発声練習をしてみると、なんということか。


あの 「ヴァアアアアアアアアアアアアアアア」


という雄叫びを出した時の感覚で声を出すと、


なんということでしょう。

サウナに入る前とは、打って変わって、響く雄々しい低音がのどを通っています。





例えば、クリスマスの定番曲「O Tannenbaum」。


これは、ベースパートの音のアップダウンがとても激しい曲で、突然1オクターブ上がったとおもったら、いきなり2オクターブ急降下する。


降下した後の音が安定しなくていつまでたっても音が合わず、本番1週間前になっても頭を悩ませていた。



でも朝の音取りの時はあの時川に浸かった時に叫んだあの感覚が、僕の腹と喉にはっきりと残っていた。


あの感覚で声を出してみると、どうだろうか。

「vie treu sind dei ne bre tel 」


見事に、意識せずとも音が出せた。



おまけに、我ながら声も深みがある低音が出るようになった。



本番でも、実は意識していた。

あの森で体験した、あの感覚を・・・・
あの時の声の出し方で歌っていこう、、、


ソプラノ、アルト、テナー、ベースの4パートで音出しをしたときに、


指揮者の先生からは、

「ベース、今日は調子がいいね」


と(初めて...)言われた。


そして迎えた、クリスマスコンサート本番。



緊張しつつも、無事8曲すべてを歌い終えることが出来た。


「みっきーは、見違えるように良くなったよ」


本番後の打ち上げで、ベースの先輩からそう言われた。


心から嬉しかった。

ジブンに、還る時間


それは、今回の源流の森に行ったように、
自分には自然に入って自分をリセットする時間が必要だということ。


よく東京で勉強や仕事をしていると、頭を使いすぎてしまって空回りすることがある。


そんな時、今回のサウナ、水風呂のように
一旦身体に刺激を加えて、自然の中で子供のようにに遊ぶことで、


五感がまたビンビンに働くようになってくる。


僕らはつい、人間関係だったり、勉強のことだったり、
自分の外のことに意識が向いてしまっって、自分の心をないがしろにしている気がする。

今年の夏、郡上の川に入った時の気持ちよさはこの上なかった。


川に入ったあと、
自分ってなんだっけ? と、どこか自分に思いが巡った。

自分って、何をやりたいんだっけ?



確かに、あのような山奥に行くためにはお金も時間もかかる。


東京にずっといる生活も、楽は楽だ。


でも、思い切って自分の足を動かしてみると、

東京にいては絶対に体験できない経験をすることが出来る。


そうして自分の五感のセンスを取り戻すと、東京に戻っても活き活きと生きていくことが出来る気がする。


さらに言えば、
このような体験を味わうことは、Zoomでも、最近流行りのメタバースでも絶対に経験することはできない。


さてさて、
みなさんの、心の「源流」はどこにありますか?
是非、お話を聞いてみたいです。

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